ついせんだってお正月を迎えたのに、もう明日は３０日です。３１日の次は２月です。
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歳月は早足です。老人になるといっそうこの傾向は強まります。
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今週の土曜日は、月初めの２月１日になっています。
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２月はお釈迦様が入滅をされた月です。１５日には涅槃会が催されます。「如月の別れ」とも言われています。
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禅宗系列のお寺にはたいていお釈迦様の「涅槃図」の長い大きい掛け軸が掛けられます。
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梅の花も蕾をつけます。鴬が梅の木に来て鳴き出します。まだ歌を覚えていないので、チュッチュッチュッとしか鳴けません。
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２月になればわがふるさとの公民館では集落文化祭が開催されます。
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わたしはクレヨン水彩画を提出しようともくろんでいますが、まだ完成していません。急がれます。
わたしが頂く時間。一日で２４時間。１年で８７６０時間。
７９歳の老人のわたしは６９２０４０時間を頂いて、それを次から次に傍の小川に流して来た。
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時間は立ち止まれないが、わたしの俳句は立ち止まれる。過ごした時間をピンでとめることができる。壁に掛けることもできる。
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舞台に上げ、スポットライトを当てて、浮かび上がらせて、クローズアップすることもできる。肩に手を置いて、お礼言上ができる。詫びることもできる。
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反逆を父に母にす霜の朝
山鳩暮風
佐賀新聞俳句、木原選入選の句。
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反逆をしたのは若い頃。高校生のころだった。前の晩、わたしはふてくされて、偉そうに、毒ついた。父をないがしろにしただけではすまず、母も侮蔑した。次の朝は霜の朝だった。寒い。寒いのに、何もなかったかのようにして、あたたかい声をかけられた。悔いた。途端に己の不遜が恥じられた。
俳句は己を振り返るのに適している。過ぎて行くばかりの時間に、これでストップが掛かる。するとそこが静かになって来る。明るくなって来る。過ごしている人生が、やさしく語り掛けて来る。
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コーヒーと日付けの変はるころの雪
埼玉県川越市 諏訪一郎さんの投稿作品。
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この俳句が高野ムツオ選で三席に入賞したいた。
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選者評；受験勉強とも在宅ワークとも取れる。やっと一区切りつき、コーヒーを淹れた。時計を見たら午後１２時過ぎ。折から雪が降り出した。中七から下五の句またがりによるゆったりとした表現が一息ついた充実感を伝える。
さすがは選者だなあ。こんなふうに読み取られると、状況がありありと浮かび上がって来る。
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「日付けが変わる頃」の作者の時間が、おーいと呼びかけて来て、そこで立ち止まって、あったかいコーヒーとあったかい俳句を飲ませているようだ。
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過ぎて行くばかりの時間もこうやって日の目を見て、よろこんでいるだろう。
水前寺清子さんの「三百六十五歩のマーチ」に、「三歩進んで二歩下がる」のフレーズがある。
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三歩進む。そして意図して二歩下がる。
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そこがいいなあと思う。
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下がると、上がった階段がよく見える。
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上がったことに実感が持てる。
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足し引き１段の上がりになることを確かめて感謝する。
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意図しないでも、人生の階段は、三歩進んで二歩下がっているのかもしれないが。
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調子に乗らないところがいい。引き下がることが自分を謙虚にしてくれるのだ。
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三百六十五日の一年に、一段だけ歩を進めて高くなる。これくらいでいい。
小鳥は森の木の実を欲しがるが、森を奪ってきたりしたことはない。
キリンは草原の草を欲しがるが、草原を奪ってきたりはしない。
香魚は川底の苔を欲しがるが、川底を奪ってきたりはしなかった。
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そういう能力を開発しないで生きる工夫を続けて来たのだ。
小さな知恵しか持たなかったが、大きな工夫を知っていたのだ。
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森に平和が保たれることを願ったので、森はずっとずっと平和にして暮らせた。
草原に平和が保たれることを願ったので、草原はずっとずっと平和にして暮らせた。
川底に平和が保たれることを願ったので、川底はずっとずっと平和にして暮らせた。
人のものを欲しがる。人が大切にしているものを、欲しがる。
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侵略をして来る。人のものを奪う。奪って我がものにする。
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簒奪の戦争の、人類の歴史。強欲の歴史。それを正当化する。
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正当化するために、「それは国の為だった」と理屈をつける。
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理屈をつけると、悪者ではなくなってしまうからだ。で、大きな顔をする。威張って銅像まで造ってしまう。
アメリカの新指導者は自国第一主義だといいながら，自国の繁栄のみでは足りないらしくて、カナダやグリーンランドやパナマ運河までを欲しがっているようだ。
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人のもの、よその国土を欲しがる欲張りは、止まない。人類史上の最先端の、２０２５年になっても止まない。そしていよいよますます欲張りを正当化する。
自転車でサイクリング。春風のサイクリングが待ち遠しい。城原川の川土手を下りて、筑後川に注ぐところまでを往復する。
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もうずいぶんと長くやっていない。乗れるだろうか。心配になる。春には御年８０歳になっている。
山里は起伏が多い。行きはよいよい，坂道の帰りは恐い。筋肉痛を起こして歩くしかなくなってしまう。
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自転車屋さんに行ったら、５段階切り替え自転車の値段が４万円近くだった。
（流行のアシスト自転車は１０万円だった。これがラクチンだが、望外だ）
新品に乗りたい。これだったら軽快に、軽やかに進むだろう。すいすい進むだろう。運動不足の解消にもなるだろう。
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でも、高い。手が出ない。
でも、欲しい。
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春まで待とう。それまでにお金を算段するとしよう。
はたして実現するか。
テレビをつけると戦争のニュース。A局も戦争のニュース。B局も戦争のニュース。どの時間帯にも悲惨なニュース。暗くて残酷すぎるニュース。
人類の恥ずべきニュースがこんなにも大胆にあからさまに、これでもかこれでもかという具合に、毎日次々と、茶の間まで届けられて来る。
一家団欒があって安らいでにぎわっている全世界の茶の間に。そんな場合か、のんびり食事なんかしている場合かと突きつけて来るかのごとくに。平和に暮らす人たちの平和を、糾弾するが如くに。
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あんまり見たくない。そっぽを向いてはならないのだろうが。見たいとは思わない。
午後３時半の１月２９日、水曜日。気温５・３℃。手先が寒い。外は小雨。降ったり止んだりしている。
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いつもいつも小鳥が近くの電線に止まっている、２０羽から３０羽、それ以上いることもある。我が書斎から見える。雀より大きいが鳩より小さい。はっきりは見えない。いつもいる。朝も昼も夕方も。何をしているのだろう。去って行ったかと思うと戻って来る。そして列ぶ。電線は４列あるのに、きまって一番東の１列に列ぶ。もしかしたら、近くに何か餌でもあるのだろうか？ そこが小鳥の港町かもしれない。
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３時半はコーヒータイム。家内に、おいしいコーヒーを淹れてもらった。熱いので、ちょびちょびと飲む。ゆっくり飲む。
お、おおっ、晴れて来たぞ！
空が晴れるとこちらの気分も晴れて来る。
どっかで、人間と空と繋がっているのかもしれない。糸のようなもので。
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それは植物でも同じことが言えるかもしれない。
鳥でも魚でも。獣たちでも。虫でも。
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晴れ晴れとして来ると、子供に戻る。
はしゃいで来る。
駆けっこでもしてみたくなって来る。
