もうすぐで、ここに居られなくなってしまう。居られなくなってしまうんだもんなあ。この世には。
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でも、あの世、次の世がある。
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いのちの河は途切れることなく連綿と続いて流れているのだから。
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終わりは始まりに通じている。
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この世の始まりは、だから、前の世の終わりに繋がっていたのである。
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記憶をなくしてあるので、それをそうだと言えないところがあって、もどかしいのだけれど。
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たぶん、生と死の1セットが終了すると、そこでワンランク、或いはそれ以上、高くなって、次へ進むことになるので、前の記憶が通用しなくなるせいではないかと、思う。
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わたしたちは進歩と向上を次々と辿って行けるようになっているのだろう、きっと。
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そのたんびに、よろこびが大きくなるのだ。輝きが大きくなって行くのだ。
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わたしたちは良い方向へ良い方向へ導かれているのだ。と思う。
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だから、ここを去って行くことを無闇に悲しまないでいいのではないか、とわたしは思う。
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次のよろこび、次の歓喜、次の輝くに会えるんだから、楽しみに待っていていい。そう思う。
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そう思っても、やはり切ない。此処を去って行くのは切ない。
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此処には此処の美しい大空と美しい大地、明るく輝く大空と明るく輝く大地があったんだから。