僕の7行詩 「天空のおばば様」
天空まで続く高い高い塔が立っている
扉を開けると螺旋階段がぐるぐる巻いている
辿り着くとそこは真っ赤な宮殿だった
おばば様がぬっと顔を出して肩に手を置いた
いきなり5000ボルトの電流が流れて来た
ここで僕は目が覚めた
それからはおばば様の顔が忘れられなくなった
僕の7行詩 「天空のおばば様」
天空まで続く高い高い塔が立っている
扉を開けると螺旋階段がぐるぐる巻いている
辿り着くとそこは真っ赤な宮殿だった
おばば様がぬっと顔を出して肩に手を置いた
いきなり5000ボルトの電流が流れて来た
ここで僕は目が覚めた
それからはおばば様の顔が忘れられなくなった
五行詩 「雲よ」
おおい 雲よ
雲に呼びかけると僕は雲とふたりになる
詩人山村暮鳥になる
振り返っても振り返っても
雲がずっと菅生橋までついて来ている
幾つも幾つも10行詩を書いてみたが、晴れ上がらない。わたしの入り江に潮が満ちてこない。いっこうに満ちてこない。このまま夕暮れが来てしまうのかもしれない。
10行詩 「幼い頃のこと」
「ここでさよならよ お見舞いありがとう
ここから先はあなた一人よ 走るのよ」
七歳の僕は夕風の中で一人になった
小川に木の橋が架かっている
星が遠くにいて手招いている
僕は病気をして学校を休んだ友達を
学校の帰りに見舞いに行ったのだった
友達の姉さんが途中まで送ってくれた
木の橋を渡り終えたところで振り返った
川土手のススキと白い手が風に揺れていた
わたしの10行詩 「お人形」
わたしはあなたにやさしくしたいのです
やさしくしてもらいたいという人を
あなたにします
その役を買って出ているのはお人形です
わたしがやさしくできるのはお人形です
夜明けに太陽が明るく太く昇って行きます
夕べにはきらきらして沈んで行きます
その間わたしはまじろぎもせずに
お人形ではないあなたを待っています
あなたを人形から人間にしてあげたいのです
わたしの書く10行詩 「レンゲ草とレンゲ草」
さようなら
あなたとはまた一つの処でお会しましょう
行くところは一つの処
そこしかないから迷うことはありません
行き着くところは仏国土です
会ったら話が弾むでしょう
10万億土を超えたところにありますが
仏国土から仏国土への引っ越しだから
なあに あっという間です
レンゲ草がレンゲ草との別れを惜しみました
わたしの書いた10行詩 「説法」
「あるひとときを釈尊は
シュラーバーステイのジェータ園にいて
多くの弟子たちに
法を説いてお聞かせになりました」
今朝、経典がわたしに語って聞かせました
わたしはそれを聞いて幸福になりました
その多くの弟子たちの中に
いまのわたしがいたからです
はい わたしの信心はあっけないのです
わたしの熱い熱い涙腺がそれを信じさせたのです
10行詩 「笑い顔」
宮崎君は実に実ににこやかで穏やかでした
怒らせようとしても怒りません
「仏の顔も三度まで」なのに嫌な顔をしません
いつも分厚いドタ靴を履いていました
磨り減ってぺったんこの分厚い靴です
その彼が大学を出てとある高校の野球部の
メッチャ恐いはずの部活顧問になりました
指導が実って地方の強豪校になりましたが
あろうことか彼は現役で夭折してしまいました
今日は彼の笑い顔が僕に会いに来ています
わたしの10行詩 「仲良し」
義之君は読書家です
速読が得意です
図書館へ行って3冊借りて来ます
それを一晩で読み上げてしまいます
わたしは1冊がやっとでした
ふたりで八畳の部屋を借りていました
もうかれこれ50年以上前になります
それ以来彼は消息を絶っています
仲良しだったんです
仲良しって頼りないものだなあと思います
わたしの10行詩 「冬空」
死んだら?
死んだらここにはいません
ここにわたしはいなくなります
いなくなるって?
いなくなるってどういうことなんだろう
わたしはここにいます
目を見開いて遠くの冬空を見ています
ここから必ずいなくなってしまうのに
そんな明白な事実に抗うこともできずに
青白くて寒そうな冬空を眺めているきりです