こればっかりはしようがない。打つ手がない。打つ手がなければどうするべきか。しばし考え込んでいるが、行き止まりだ。さぶろうよ、引き返して来い。そしてひとりでできることをしよう。
今日は畑に出てターサイの種蒔きをしよう。袋に余った種があったようだ。日も明るく射して来た。
しようがないと諦めたこととはなんだったか。一人ではできないことである。愛しい人の白いたおやかな手を取って秋の野山を行くことである。和気藹々とゆくりなく。いまし全山紅葉す。
愛しい人は全世界の人の愛しい人にしたままでいればいいのである。そうしようそうしよう。これは名案。万葉集の数限りない相聞歌を読みながら、さぶろうひとりが終始この相聞の埒外にいることを憐れむ。
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