わがそばにいてほしい人どこかこうふんわり白い夏雲に似る 薬王華蔵
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少年のわたしに、いてほしい人がいる。ここにいてほしいという人がいる。そういう人がそこにいてくれるだけで,少年のこころが安らげる。恋人と呼んでもいい。呼ばなくたっていい。見知らぬ人だっていい。まったくの架空の、イリュージョンだっていい。そこにその人の位置を確保しておきたい。少年は中々大人になれない。独り立ちが出来ない。
わたしの「傍」といってもくっついていて呉れなくともいい。遠く離れた夏雲であったっていい。青い山であったっていい。もちろんエンジェルだったっていい。天邪鬼だったってかまわない。やさしい会話が成立すればいい。言葉も要らず、以心伝心だったらもっといい。
その人の勝手なイメージを抱く。一、ふんわりしている。二、ほんのり白い。三、実体がない。
一人はつまらない。わたしの傍に誰かいてほしい。やさしい雲のようにふんわりとして。老爺になっても、これは変わらない。外見は老いていても、その内容物は老成せず、少年の日のまま。まったく成長をしていないからだ。
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ふ。これもやっぱり落選歌だった。
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