<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

鹿の子ユリはまだ咲かない

2015年05月16日 11時47分33秒 | Weblog

鹿子ユリはまだ咲いていない。透かし百合だけははやばや一輪二輪咲いている。それからテッポウユリがもう一週間のうちには咲き出してきそうだ。

テッポウユリや鹿の子ユリの生長点が虫に喰われているので、殺虫剤を噴霧器で吹きかけるのだが、このテントウムシほどの大きさの黒い虫は体の外側に甲冑をつける。堅い甲冑ではなく、粘液性である。これで身を守ってしまうから不死身だ。新芽や花芽が次々に犠牲になっていく。地にはオルトランを撒いているいるのだが効き目がない。

撫子がきれいだ。咲き誇っている。セキチクもかすみ草もツリガネソウも後を追う。みんなきれいな娘さんだ。あでやかな着物がよく似合う。嫋やかそうに見えているが、まるで虫が付かない。寄りついていくのはさぶろうという虫くらいである。もったいない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きっとそうなのだ

2015年05月16日 11時26分29秒 | Weblog

さぶろうは実にいい加減な男である。言っていることとやっていることが一致していない。ということは、口が出任せということである。出任せは、当てにはできない。

そのくせ、憧れるのである。仏陀を憧れるのである。仏陀の暮らしを憧れるのである。仏陀とは対極にいながら、月を見るように太陽を見るように、憧れるのである。そう言っておきながら、その実、実生活は泥まみれである。泥がたまって腐って異臭がしている。

とても、仏陀を口にできるような男ではない。距離が空きすぎている。むしろ無縁に近い。仏陀の暮らしをを我が身に生かすようにと導かれていながら、その逆の行状である。真反対の行状である。頭の中を割って見せられるようなことができたら、これはすぐに判明する。判明する方法がまだ確立されていないから、救われているようなものであるが、天然色の煩悩欲心の渦巻ばかりである。

ミヤコワスレは小さな花である。花の直径でも2cmには届かない。薄紫をしている。濡れ縁に鉢植えをして飾っている。20鉢はあろうか。長く咲いてさぶろうを慰めている。こういう慈善家がいてくれなければ、さぶろうの生活はよほど荒んだものになっていたであろう。

それを思うとこの薄紫が救世主にも見えてくる。この小さな薄紫に、今し蝶が来て止まっている。紋白蝶よりも小さい。茶褐色だ。彼もこの男さぶろうの窮状を見かねて飛んで来たのだ。さぶろうの無明を少しでも明るいものにしようとしているのだ。素知らぬふりをして、こちらの気遣いを無用にしているが、きっとそうなのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

諡(おくりな)は大空放哉居士

2015年05月16日 10時43分19秒 | Weblog

こんなよい月をひとりで見ている     自由律俳人 尾崎放哉

この句の句碑が神戸の須磨寺太子堂に建っている。穏やかでいい句だ。よほど快適に過ごせていた時季の作品だろう。不快適であればあるほど快適に憧れるから、或いは不快適時に詠んだものかもしれない。さぶろうの読みはあてずっぽうである。

尾崎放哉の諱は「大空(たいくう)放哉居士」。香川県小豆島第58番札所西光寺南郷庵にて他界した。41才。長く肋膜炎を患って苦しんでいたが、大酒飲みが止まなかった。飲むと暴れ出して人を困らせた。近隣からは困り者とされていたが、近隣に最後を看取られて果てた。山頭火と同じく荻原井泉水に師事した。大学は東大の法科政治学科を出た。鳥取県生まれ。実家は大金持ち。不自由をしない分の我が儘が、後々にもあったらしい。

辞世の句は「春の山のうしろから烟が出だした」の句である。春の山に春の烟が上がっていてこれもおだやかだ。放哉の句に引かれる。句は、自然を歌っていながら、その時その時の己の心情を、吐露している。いざ死のうというときにこれだけの明るさが、まだ残っていたということか。晩年はあちらこちらの寺の堂守をして過ごした。烟は山霧である。山があたたまって噴き上げる水蒸気である。彼もあたたまっていたのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死んだふりが巧いのだ

2015年05月16日 09時58分33秒 | Weblog

死んだふりが上手な植物がある。植物以外でもこれをするのがいる。死んだふりだから、死んだのではない。条件がよくなればまたすぐに芽生えてくる。条件が合わないときには死んだふりをして眠っている。すやすや眠っている。稗がこれをよくやる。粟粒ほどの小さな実は、落ちたところで何年でも深く深く眠っている。そして不意に蘇って来て田圃を埋め尽くす。単子葉の被子植物にこれが多い。で、いつも自然界は緑に覆われている。

にんげんも、実はこれをやっているのではないか。そう思える節もある。死んだふりをしているだけなのかもしれない。何年も何年も消えたようにして、そうやっているように見せかけておいて、またぞろりと生え替わってくる。姿を見せたときには、見せかけ上、別の顔はしているけど。それでいつも、人間界もにんげんで埋め尽くされている。

死ぬということはそうすると見せかけだったのだ、ということに思い当たる。人をも騙し自分も騙して、一応は死んでみせるが、ほんとうは死んでいない。次の時を待っている。もっといい条件が来る日を知っていて、そこまでの期間を<死に態>にしておく。

零下何十度かに冷凍して精子や卵子を保存しておくという休眠の方法もこの頃はもてはやされているが、もっともっと昔に人類は、永久保存の死んだふりシークレット生き残り法を手に入れていたのかも知れない。賢いにんげんである。賢い遺伝子である。それくらいの秘法を編み出していてもおかしくはない。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

それはおまけだ

2015年05月16日 09時38分13秒 | Weblog

お前さん、こうやって毎日ろくでもないブログを書き足すのは、どうしてだい? 風が聞いて来る。風は、さぶろうのことを、親しんで、お前さんと言う。呼びかける。悪気があってのことではない。お前さんのさぶろうは、答えねばならない。<ろくでもない>は余計なお世話だけど。そりゃあね、風さん、あなたと同じ理由だよ。

さぶろうは口を開ける。褒めなけりゃならないのさ。わざとじゃないよ。美しいものを美しいと褒めなけりゃならないのさ。わたしたちの暮らしている自然界では、これだけたくさんの美女連に囲まれているんだからね。風さんが、吹いて回るのもそのせいなんだろう? ぶっきらぼうを決め込んでばかりはいられないのさ。

風さんは、そうだ、というふうに肯いて見せた。褒めるってとこが大事なんだよね。風が同調をしてくる。吹いて撫でて、慰労をして、触って、褒めて回るんだ、おれたちは。そうら、やっぱり同じだった、さぶろうはこれで力を得た。

風も、風の跡を残さない。残さないで消える。ブログも消える。これでいい。美しいものを美しいものとして受け止めて、そしてそれを見せて貰って楽しんだお礼に、お礼状を書いておく。これがブログなのだった。目論んでいたのと、わずかにズレている作品もままあるのだけど、それはおまけだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水紋

2015年05月16日 09時24分19秒 | Weblog

水紋。紋は、織物の地に織り出された文様。綾。波紋。紋は家紋にもなる。紋章にもなる。

静かな湖の水はときおり水紋を立てて遊んでいる。遊ばせているのは、風に舞った木の葉である。この時節、古い葉は新しい葉に交替をする。

古い葉はみずからで抜け落ちて、風に舞い上がる。そして湖に落下する。落下すると水が紋を作って歓迎をしてくれる。

しばらく水面を漂っているがやがて湖底に沈むことになる。湖底で眠っているうちに、腐葉土になって、そこに水草を茂らせる。

五月も中半まで来た。湖面は青い空を映し出すことが多くなった。そして時折、まだ時折、木の葉が、死に場を求めて来て、そこに美しい水紋が立った。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

朴(ほう)の花

2015年05月16日 08時41分06秒 | Weblog

無風だ。蕗の葉も揺れていない。雨も止んでいる。庭を埋めている緑がしっとりとしている。夏鳥が鳴いている。夏鳥たちの「おはよう」「おはよう」が快活だ。

山に入ったら朴(ほお)の木の白い花を見た。次々と見た。盛りを少し過ぎているようだった。この花は芳香があって、山を行く人のために、ここを香道の道場にする。

刺激がないことはいいことかわるいことか。あれば、ブランコが揺さぶられてしまう。なければ落ち着いていられる。あんまり長く刺激がないと、しかしさすがに退屈になる。

何か刺激がほしい。古池や蛙飛び込む水の音。水音がしたら、古池はびっくりして飛沫を上げる。水の輪が立って広がる。これくらいの刺激でもいい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする