K君ありがとう。
昼間、きみは僕の家の玄関に立った。
親戚宅へ行った帰りだと行って立ち寄ったのだ。
僕がこのところ体調を崩してずっと意に染まぬ暮らしを強いられているので、
見舞いにやってきたのだ。
「よお、どうしてる」
「少しはいいかい」
「早く元通りになってまたいっしょに遊ぼうよ」
親戚宅で分けてもらった2箱の上等イチゴのうちの1箱と、
おもらいしたザボンと、借りて耕している畑でとれたばかりのキャベツとを置いて、
彼は早々に立ち去っていった。
きみが僕の見舞いにやってきたのは、この1月でもう3回目だ。
K君ありがとう。
僕はきみが去った後、しばらく玄関先に立ち尽くしていた。
ハクモクレンが蕾をふくらませていることに、このとき初めて気がついたのだった。
曇り顔なんかしているんじゃないぞ、僕は僕にそう言い聞かせ、
幾分か明るい顔を取り戻してゆっくり春の空を仰いだ。
昼間、きみは僕の家の玄関に立った。
親戚宅へ行った帰りだと行って立ち寄ったのだ。
僕がこのところ体調を崩してずっと意に染まぬ暮らしを強いられているので、
見舞いにやってきたのだ。
「よお、どうしてる」
「少しはいいかい」
「早く元通りになってまたいっしょに遊ぼうよ」
親戚宅で分けてもらった2箱の上等イチゴのうちの1箱と、
おもらいしたザボンと、借りて耕している畑でとれたばかりのキャベツとを置いて、
彼は早々に立ち去っていった。
きみが僕の見舞いにやってきたのは、この1月でもう3回目だ。
K君ありがとう。
僕はきみが去った後、しばらく玄関先に立ち尽くしていた。
ハクモクレンが蕾をふくらませていることに、このとき初めて気がついたのだった。
曇り顔なんかしているんじゃないぞ、僕は僕にそう言い聞かせ、
幾分か明るい顔を取り戻してゆっくり春の空を仰いだ。