雨が降ってるようだ。軒端を落ちてくる雨粒が音を立てている。
僕は書斎の障子窓を30cmそこらだけ開けている。外の世界との接触欲の広さである。
どんよりした空が視界を覆っている。
*
僕は何を考えてもいい。考えることは自由だ。
年齢が幾つになったからそれ相応のことしか考えてはいけない、などとということはない。
病気になって苦しがっているから、楽しいことはいっさい考えてはいけないなどとということもない。
*
つまり、だから、考えていたいことを考えていればすむことである。
病気の身体に精神が拘束されることはない。むしろ、その反対に、精神が肉体をリードしたっていいのだ。
落ち込むことはない。そうすることが好きだというのならそれもやむを得ないけれど。
*
考えていたいことって、では、僕の場合は、いったい何なんだろう?
しばらくこれを考えていることになる。
「人間にはじめてなった朝」のことを考えてみるのは悪くない。
*
そこで僕がどんなふうに快哉を叫んでいたか、嬉しがっていたか。それを想像してみるのである。
それから、僕の人生の河がゆるやかに流れていった。
そして中流を過ぎて下流に来て、勢いはゆるくなって、そこへひたひたと海の匂いがし始めてきた。
*
もうすぐ大きな海に入るのだな、と僕は思う。全体と合一するのだなと、思う。
今度は海流となって世界中を旅して回ることになる。それも楽しそうである。
全体と合一しているはずなのに、僕の頭脳が働いているらしくて、僕はひとりで空の星を見ることもある。
*
僕はどうやら星を希求しているらしいのだ。高く高く昇っていきたいという衝動が起こっている。
この世に居てこの世のあちらこちらを経巡っていくばかりではなく、そこを一気に離脱していきたい。
僕は宇宙を欲しているらしい。
*
法華経の宇宙を欲しているらしい。仏陀と会いたいらしい。
ガンジス川の砂の数ほどの仏陀に会って、教えを乞いたいらしい。
この教えを聞けば僕の魂は100段階も開明進歩をして、100倍ほどの発光をし、欣喜雀躍するのだ。
*
さまざまなところでさまざまな教えを説く仏陀に会う度に僕は100段階を明るい方向へ進んでいく。
僕は見るからに輝いている。精神も、精神の膜も輝いている。
光の明るさの単位ではもはや測定もできないほどに輝いていて、そこでも僕はなおも考えをしている。
*
僕自体がもうすぐ仏陀に成る日が近い、らしい。
仏陀に成れば、荘厳された美しく清らかな国を与えられる。仏国土とか浄土とか呼ばれている。
そして仏陀は仏法を説く。慕い集まって来た菩薩たちにこの宇宙界のダンマを説くのだ。
*
ガンジス川の砂の数ほどの仏陀たちは、そこでとどまっているわけではなく、無限向上をしようとしている。
それで仏陀の国の星々が超新星爆発を起こすのだ。
それから無限に近いほどの時間が経過して、ふたたび歓喜世界が出現する。だがここはもはやこの銀河系宇宙ではない。
*
雨粒が大きくなってきたらしい。庭の植物たちの葉がこれを受け止めて音楽を奏で始めた。
僕は気の遠くなるほどの先にある事象を考えて、そこまでの距離の長さに溜息をつく。
しかし、それを今ここでたっぷり自由に考えることも許容されているので、僕はほほえみを浮かべる。
僕は書斎の障子窓を30cmそこらだけ開けている。外の世界との接触欲の広さである。
どんよりした空が視界を覆っている。
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僕は何を考えてもいい。考えることは自由だ。
年齢が幾つになったからそれ相応のことしか考えてはいけない、などとということはない。
病気になって苦しがっているから、楽しいことはいっさい考えてはいけないなどとということもない。
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つまり、だから、考えていたいことを考えていればすむことである。
病気の身体に精神が拘束されることはない。むしろ、その反対に、精神が肉体をリードしたっていいのだ。
落ち込むことはない。そうすることが好きだというのならそれもやむを得ないけれど。
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考えていたいことって、では、僕の場合は、いったい何なんだろう?
しばらくこれを考えていることになる。
「人間にはじめてなった朝」のことを考えてみるのは悪くない。
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そこで僕がどんなふうに快哉を叫んでいたか、嬉しがっていたか。それを想像してみるのである。
それから、僕の人生の河がゆるやかに流れていった。
そして中流を過ぎて下流に来て、勢いはゆるくなって、そこへひたひたと海の匂いがし始めてきた。
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もうすぐ大きな海に入るのだな、と僕は思う。全体と合一するのだなと、思う。
今度は海流となって世界中を旅して回ることになる。それも楽しそうである。
全体と合一しているはずなのに、僕の頭脳が働いているらしくて、僕はひとりで空の星を見ることもある。
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僕はどうやら星を希求しているらしいのだ。高く高く昇っていきたいという衝動が起こっている。
この世に居てこの世のあちらこちらを経巡っていくばかりではなく、そこを一気に離脱していきたい。
僕は宇宙を欲しているらしい。
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法華経の宇宙を欲しているらしい。仏陀と会いたいらしい。
ガンジス川の砂の数ほどの仏陀に会って、教えを乞いたいらしい。
この教えを聞けば僕の魂は100段階も開明進歩をして、100倍ほどの発光をし、欣喜雀躍するのだ。
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さまざまなところでさまざまな教えを説く仏陀に会う度に僕は100段階を明るい方向へ進んでいく。
僕は見るからに輝いている。精神も、精神の膜も輝いている。
光の明るさの単位ではもはや測定もできないほどに輝いていて、そこでも僕はなおも考えをしている。
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僕自体がもうすぐ仏陀に成る日が近い、らしい。
仏陀に成れば、荘厳された美しく清らかな国を与えられる。仏国土とか浄土とか呼ばれている。
そして仏陀は仏法を説く。慕い集まって来た菩薩たちにこの宇宙界のダンマを説くのだ。
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ガンジス川の砂の数ほどの仏陀たちは、そこでとどまっているわけではなく、無限向上をしようとしている。
それで仏陀の国の星々が超新星爆発を起こすのだ。
それから無限に近いほどの時間が経過して、ふたたび歓喜世界が出現する。だがここはもはやこの銀河系宇宙ではない。
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雨粒が大きくなってきたらしい。庭の植物たちの葉がこれを受け止めて音楽を奏で始めた。
僕は気の遠くなるほどの先にある事象を考えて、そこまでの距離の長さに溜息をつく。
しかし、それを今ここでたっぷり自由に考えることも許容されているので、僕はほほえみを浮かべる。