のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

光の王国展

2016年03月28日 | 日記・エッセイ・コラム

 高崎のシティーギャラリーで開催されている「フェルメール光の王国展」に行ってきました。

 リ・クリエイトと言ういわゆるコンピューターを用いた複製の絵画なんですが、前売り券800円と言う価格を考えればそれも納得です。油絵の上にニスを塗ったような光沢の絵でしたが、フェルメール特有の光の加減による色彩の変化がしっかり出ていました。まあ、だいたい本物がこんな田舎の美術館に来るはずもない。雰囲気だけでも大満足です。

 会場に入るなりどう見ても怪しい人物がいました。チリチリ頭に黒縁眼鏡と無精ひげ、襟なしのマオカラーと呼ばれるスーツを着込んだおじさん。「科捜研の女」風に推測するには画家でも美術研究家でもないけど口先がうまくて資産家に取り入って本物横流しして贋作展示している画商。山林の中の他人様の別荘で毒殺されているようなキャラクター。予想通り奥の売店で記念品と複製画売っているおじさんでした。

 春休みで母娘で見に来たと思われる二人連れ。多分察するに高崎女子高、2Fでこの高校の書道部の展示会があったので、そのついでに見に来たんでしょうね。

 この夫婦は元教師。こちらは絵を趣味とする人かな?袖に絵の具の汚れがあるぞ。なんだかわかんねけど、幼稚園児らしい10人ほどの集団も来て賑やかでした。

 複製画と最初から頭に入っていたこともあって最初の一回りは荒さがしして絵を眺めてしまいましたが、気を取り直して二週目は椅子に腰かけながら眺めたりのんびり味合わせてもらいました。

 やはり違和感があったのは、「ネコがいない!」。鮮明なラピスラズリ(瑠璃色)で人々を魅了した「真珠の耳飾りの少女とネコ」「牛乳を注ぐ女とネコ」「青衣の女とネコ」。他にも「窓辺で手紙を読む女とネコ」「レースを編む女とネコ」宗教画ともいえる「マリアとマルタの家のキリストとネコ」など名だたる名作が並んでいましたが、ネコがいない。 

 察するに、日本入国の際の検疫で引っかかったか?イスラムテロで情勢不安なヨーロッパなのでネコを隔離して保護しているのか?

 ネコがいないとちょっぴり物足りない。

 記念品販売のブースにも行ってみました。先ほどの別荘で毒殺されていそうなおじさんが身なりのこじんまりしている御夫人に言葉巧みに複製画を売りつけようとしていました。

 恰幅のよさそうなおじさんが30万円ほどの複製画を買っていました。やがてこのおやじさんが亡くなって苦労知らずの孫の代ともなればこの絵を巡って遺産相続の争いになり、「祖父が残した遺品で」となんでも鑑定団に出て「2万円!」なんて鑑定結果が出て、「2016年頃流行った複製画で随分出回っています。本物なら億単位の価値ですよ。でも、額縁が実にいいからおじい様の形見として大切に保管してください。」なんて言われてね。お~、不幸の種をまいているなぁ。と眺めてしまいました。

 ボケ~っと突っ立っていると、画商のお姉さんに声をかけられました。こんなもん買うほど金持っているのかよく人を見極めて声をかけて来いと思いつつも、「科捜研の女」風に考察すると別荘で毒殺された画商のおじさんにそそのかされて絵画販売を始めた資産家の娘で、中世の画家が絵の具を作るために使った毒性の強い顔料を使ってしまったがために沢口靖子に犯行を見抜かれてしまいそうなタイプで、毒殺された画商のおじさんの爪に彼女の皮膚がついている。やはりくび筋だろうか?手首だろうか?お!左手の甲にバンドエイドが!これがあのおじさんを殺した時の証拠だな!犯人はこのお姉さんだ。

 犯人のお姉さんがしきりに47万円の複製画を薦めてくるのですが、”0が一つ多いですね。”と言うと「こちらの重い額縁ではなく、軽い額縁にすれば19万円でお買い求めになれますよ。」え?単純計算で額縁だけで28万円も差が出るの?それじゃ、元の複製画っていったいいくらなの?いえいえ、ささいなことが気になるタイプでして。どうぞお気になさらないでください。これは僕の悪いくせ!っと気分は杉下右京さんです。

 美術館で認められている名作の複製画は原作とサイズが違うことが決まりごとになっているそうです。同じサイズにしてしまうと「贋作」になってしまうのだとか。

 駐車場の料金が心配なのでそこそこで引き上げてきましたが、なかなか楽しめた一時でした。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« るろうに剣心 | トップ | 旅立ちっていいね »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あっ! (プールのひと)
2016-03-29 11:07:53
いつのまにか、マオカラーのおっさん、死んでる…
返信する
やはり (山から下りてきた人)
2016-03-29 17:07:57
 役柄的に殺される役しか見当たらないキャラだったので。
 絵画を見に行って人間観察。風流でありんす。
返信する

コメントを投稿

日記・エッセイ・コラム」カテゴリの最新記事