のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

2010年01月26日 | 日記・エッセイ・コラム

 スキーヤーとしてヘリで山に登ってスキーで降りてきたことはありますが、山屋として足で歩いて山に登ってヘリで降りてきたことはありません。

 日曜日、長野県の氷壁で山岳会の若い衆が滑落し、足を複雑骨折して県警のヘリで救出されたそうで、そんなことちっとも知らずに昨日は八海山で快適に遊んでいました。一夜明けたら今日は猛吹雪。

 山岳会のたまり場に行ったらシュラフやテントが広げられて陰干しされていたので、だらしねえなと思ったら滑落事故があったことを知らされました。

 事故の話をきいたら、クライマーにはなれても山屋になれなかったがゆえの事故だったみたいで、安全確保に問題があったようです。アイスバイルと体を結ぶ工夫が何もなされていなかったがために、手が離れたことで滑落の憂き目にあったようです。

 「個人のスタイルの問題ですから」と言う意見もあったが、どんな惨めな姿で登ろうが落ちたらアウトが山屋の基本。実際、長野県警のヘリが出動しています。これが民間のヘリだったら何十万円請求されたか?ヘリがいけない場所だったら?

 部分的なテクニックは向上しても、基本的なことがないがしろになっていることは常々感じていましたが、こういう事故をきっかけに「どげんかせんといかん。」しっかり総括すべきでしょう。

 大学や高校の山岳部上がりが入ってきた時代と違い、まったくの素人が若さと体力でただ単に登っている昨今。基礎をしっかり見につけさせるために出陣をと期待している重鎮がいるのですが、このパーティーを率いていたのがこの重鎮。

100126 2月号が出たからもういいかな?2010年度版の岳人1月号。特集の「雪崩に遭うということ」は参考になりました。雪崩から奇跡の生還をした人たちの体験談ですが、なぜかこの重鎮もインタビューを受け、岳沢の雪崩で足を骨折してヘリで降りてきた体験談が出ています。以後どこに行くにも「帰りはヘリで降りてくるの?」と不名誉な事故でした。

 面白いのは雪崩にあった人全てが「危ない」とうすうすわかっていはいたけど、パーティの仲間に対して言い出せず迷っているうちにドカーンと押し飛ばされている体験談。お互いが「相手はやる気になっている」と気兼ねして言い出せない。人と人との駆け引きの迷いが自然との駆け引きの足かせになっている。

 確かに私も同様の「言い出しにくい」雰囲気を感じたことがありますが、それが嫌な事もあって単独で山に行くようになり、行動範囲は狭くなりますが、余計な駆け引きが一つ減る。

 記事を書いたのは自らの雪崩経験でこの企画を思いついた角幡唯介氏。体験談を話してくれたのが清野啓介、太田幸介、佐藤祐介。みんな名前に「介」がついています。しかもよく見ると「介」の字は山から雪崩が落ちてくるようなイメージの字です。雪崩を呼ぶ名前なんだろうか?

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