のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

水泥棒

2013年06月20日 | 日記・エッセイ・コラム

 台風がまた近づいているので水不足は解消されそうです。この1重間ほど雨がよく降っていますが、思ったほど川の水が増えていないのが気になりますが、山が吸収し、程ほどに吐き出してくれることでしょう。

 今月前半の水不足で大幅に田植えが遅れた地域の知人と水泥棒の話になりました。

 この知人が夜中の二時ごろにこっそり自分の田んぼに水が入るように水路の水の流れを操作し、朝6時ごろに奥さんが見回りに行ったら、既に水路は別の農家の田んぼに水が多く行くように操作されていた。

 「我田引水」のことわざどおり、自分の田んぼに多くの水を施すために24時間姑息な水取り合戦が繰り広げられているので、農家同士で会議を持って水泥棒対策を論議したそうです。が、基本的に全員水泥棒なので全うな解決策が出るわけがありません。

 夜警をして担当者が夜に見回りをしたそうですが、この夜警の担当者が自分の田んぼに水が行くように操作してしまうので、水泥棒の当番制になってしまったと笑い転げていました。

 隣接しあう集落通しが仲が悪かったり、近隣の村同士が昔から対立していたなんてことは良くあることで、その根底に水不足のときの水の奪い合いが大きな要因となっています。

 今の時代では「なんだかわからねぇけど、昔からあの集落とは仲が悪いんだよな。」とその伝説だけは残っていますが、普段は何事もなく交流していても、何かのときにこうした昔の因縁が出てきます。

 近隣の村では細い川を挟んで隣接しあう隣の村との「喧嘩みこし」がお祭りの目玉になっている土地があります。水の取り合いのいさかいをお祭りの神輿に託して解決、というのか、憤懣のはけ口にしたのでしょうが、かように農業と水は密接な関係にあります。

 雨が少なければ水不足、ちょっと多めに降れば洪水。お天気の微妙なさじ加減の中で何とか生き延びてきた日本人です。

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