のら猫の三文小説

のら猫が書いている、小説です。
質問があれば
gmailのnaosukikan
まで連絡ください

新しい子猫たち No.2213

2022-05-29 00:07:43 | 新しい子猫たち 
香奈はその席上 あの独裁者みたいなオッサンの話をして みんなに柔軟性を求めた。


あのオッサンは 真面目過ぎ そして潔すぎだったと香奈は言った。それが彼の欠点だと何回も言ったのに と悔しがった


彼は真面目 真摯 と云う点では、抜きんでていた。あの国の歴史でも稀有の存在だろう。ただあの国で完全な医療体制は まだ できない。神三郎君のエンゼルホープ病院は幾つかの偶然により優秀な医師たちが集まり 神三郎君の天性の医術 そして加代子さんの財力 カヨコファイナンシャルの優れた運営力等もあって 今の世界ではあり得ない程充実している病院になった。そんな病院は 優れた為政者だけで出来るワケがない。


だから 彼の体調不良を聞いて、私は何回も連絡したし、管理から人まで出して エンゼルホープ病院に来るように勧めた。彼は 奥さんを早くなくした事もあって 権力を掌握すると医療体制の充実に努めたらしい。その自分が自国の医療体制を信じず、エンゼルホープ病院に行けないと言ったらしい。


柔軟性が彼に欲しかった。自分でエンゼルホープ病院の医療水準の高さを実感したら、医師を時々勉強させるために送り出す事も出来たし、私に言ってもらえれば財政的な支援もした。いくら正しくても 潔くても それに固執してはいけない。


彼亡き あの国は 折角彼が育て、頑張っている人たちの後ろ盾が突然と消え、そして彼らも自分の権力に溺れだすかもしれない。権力を持てば持つほど 真摯になれる人材なぞ そんなにはいない。


彼は自分の価値を正しく理解していない。彼がいなくては育つ人材も育たない。


香奈がこんなに 人を高く評価するのは珍しく みんな驚いた。

コメントを投稿