その犬はナントカと云う名前の珍しい 純血種、血統書付きでもあった。奥さんも思い出していた。確かペットショップでも高かった。
その犬は突然ではなかったが 妊娠してしまった。勿論理由はあったが それに気が付いた飼い主は堕胎させようと思い、堕胎させられそうになった事に気が付いて、この犬は家を飛び出した、お腹の子を守るために。純血同士の交尾を考えていたらしい。だがその犬は性は飼い主と云えども自由にはならない、好きなオスの子を産みたいと思うのが自然の理、犬の種類が同じだから好きになるものではない。
なかなか理屈言いの犬ではあった。
帰ってきていた 彼は、
そんな家に戻る事はない。ここでゆっくりと静かに出産しなさい。生まれた子供も我々が飼ってあげる
と強く言った