のら猫の三文小説

のら猫が書いている、小説です。
質問があれば
gmailのnaosukikan
まで連絡ください

新しい子猫たち No.1141

2017-05-16 00:07:18 | 新しい子猫たち 

瑠璃興業の新しいビルが出来た時に、この近代的なビルには瑠璃興業も当然入ったが、入居した企業は、ほとんどがジブ不動産部からの紹介で、家賃も高いし、有名な企業がドーンと入っていた


 


ジブとの資本関係のある企業もあったし、ない企業もあった。もはや瑠璃興業が安値で古いビルを叩き買った時代は遠くになって、この辺は既に第二都心とも呼ばれるようになっていた


 


ある有名な企業のエライさんが打ち合わせのために、この新しい瑠璃興業ビルに来社していた。別にこなくてもこちらから打ち合わせに行くと云ったのに、このビルも見たいからと言って、訪問していた。その時にこの会社の中興の祖と呼ばれていた、会長までついてきた


 


会長は一旦潰れかけたこの会社に瑠璃興業から単身乗り込んで、この会社を立て直した。今では、瑠璃興業と何の関係もないと世間では思われていた。瑠璃興業の保有する株式はもう少なく、ワケの判らん会社がかなり出資していたが、世間は判らない。これが瑠璃の個人資産管理会社の一群だった。瑠璃はこの資産管理会社の保有株式をこの会社が立ち直ってから、漸次売っていたので、それほど多くはなかった。


 


あの有名な会長がなぜと来られた企業は大慌てした。話し合いは事前にほとんど決まっていて、あっさりと済んだ。


 


会長は懐かしそうにこのビルの中を見ていた。その時にハゲタカ指南の法律事務所があった。この会社のエライさんが、会長にこの法律事務所に1時間千円で相談に乗りますと書いていて、面白そうに、会長に言った。ある案件を話をしてきたいと会長もそうしな、ここのベランダでタバコを吸って付近を見ていたいと答えた。このエライさんの会長への忖度とも云えた。会長は多分 このビルをゆっくりと見たい、辺りの風景も見たいのに違いない、会長は昔は瑠璃興業に所属していたと知っていた、このエライさんの時間稼ぎであった。