傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

原発事故:「専門家の緊急建言」・・・「事故は現場で起きている!」を連想

2011-04-05 00:48:48 | 社会

佐藤優氏がコラム【佐藤優の眼光紙背】で『菅直人首相は、原子力安全委員長経験者たちの緊急建言を国益のために活用せよ』で、原子力安全委員長経験者たちの「福島原発事故についての緊急建言」を活用せよと提言。
「緊急建言」の要旨は、電源と冷却システムを回復させ冷却する機能の回復と現場体制強化ですね。

佐藤優氏の紹介した3月31日に発表された「福島原発事故についての緊急建言」の全文を転載すると、

”「福島原発事故についての緊急建言

 はじめに、原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。

 私達は、事故の発生当初から速やかな事故の終息を願いつつ、事故の推移を固唾を呑んで見守ってきた。しかし、事態は次々と悪化し、今日に至るも事故を終息させる見通しが得られていない状況である。既に、各原子炉や使用済燃料プールの燃料の多くは、破損あるいは溶融し、燃料内の膨大な放射性物質は、圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている。
 特に懸念されることは、溶融炉心が時間とともに、圧力容器を溶かし、格納容器に移り、さらに格納容器の放射能の閉じ込め機能を破壊することや、圧力容器内で生成された大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである。

 こうした深刻な事態を回避するためには、一刻も早く電源と冷却システムを回復させ、原子炉や使用済燃料プールを継続して冷却する機能を回復させることが唯一の方法である
現場は、このために必死の努力を継続しているものと承知しているが、極めて高い放射線量による過酷な環境が障害になって、復旧作業が遅れ、現場作業者の被ばく線量の増加をもたらしている。
 こうした中で、度重なる水素爆発、使用済燃料プールの水位低下、相次ぐ火災、作業者の被ばく事故、極めて高い放射能レベルのもつ冷却水の大量の漏洩、放射能分析データの誤りなど、次々と様々な障害が起り、本格的な冷却システムの回復の見通しが立たない状況にある。
 一方、環境に広く放出された放射能は、現時点で一般住民の健康に影響が及ぶレベルではないとは云え、既に国民生活や社会活動に大きな不安と影響を与えている。さらに、事故の終息については全く見通しがないとはいえ、住民避難に対する対策は極めて重要な課題であり、復帰も含めた放射線・放射能対策の検討も急ぐ必要がある。

 福島原発事故は極めて深刻な状況にある。更なる大量の放射能放出があれば避難地域にとどまらず、さらに広範な地域での生活が困難になることも予測され、一東京電力だけの事故でなく、既に国家的な事件というべき事態に直面している。
 当面なすべきことは、原子炉及び使用済核燃料プール内の燃料の冷却状況を安定させ、内部に蓄積されている大量の放射能を閉じ込めることであり、また、サイト内に漏出した放射能塵や高レベルの放射能水が環境に放散することを極力抑えることである。これを達成することは極めて困難な仕事であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束ない。
 さらに、原子炉内の核燃料、放射能の後始末は、極めて困難で、かつ極めて長期の取組みとなることから、当面の危機を乗り越えた後は、継続的な放射能の漏洩を防ぐための密閉管理が必要となる。ただし、この場合でも、原子炉内からは放射線分解によって水素ガスが出続けるので、万が一にも水素爆発を起こさない手立てが必要である。

 事態をこれ以上悪化させずに、当面の難局を乗り切り、長期的に危機を増大させないためには、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、関係省庁に加えて、日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所、産業界、大学等を結集し、我が国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的な取組みが必須である。
 私達は、国を挙げた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである。

                             平成23年3月31日

青木 芳朗  元原子力安全委員
石野 栞   東京大学名誉教授
木村 逸郎  京都大学名誉教授
齋藤 伸三  元原子力委員長代理、元日本原子力学会会長
佐藤 一男  元原子力安全委員長
柴田 徳思  学術会議連携会員、基礎医学委員会 総合工学委員会合同放射線の利
用に伴う課題検討分科会委員長
住田 健二  元原子力安全委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
関本 博   東京工業大学名誉教授
田中 俊一  前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
長瀧 重信  元放射線影響研究所理事長
永宮 正治  学術会議会員、日本物理学会会長
成合 英樹  元日本原子力学会会長、前原子力安全基盤機構理事長
広瀬 崇子  前原子力委員、学術会議会員
松浦祥次郎  元原子力安全委員長
松原 純子  元原子力安全委員会委員長代理
諸葛 宗男  東京大学公共政策大学院特任教授
」”

そして、作業環境、作業体制について次の提案を行っていると、

”「・作業を速やかに実施するためには、作業環境、作業体制を整えること。
--作業場の放射線量をできるだけ下げること。
--重層的な作業体制をつくって、24時間体制で実施できるようにし、個人の被ばく線量を抑制すると同時に、作業者が適切な休養・栄養・睡眠をとって思わぬ災害やトラブルを起こさないようにすること。
 高レベルの放射線量下での作業は、2-3時間で交代できるようにすべき。
・前線の作業本部はサイトまたはアフサイトセンター内において、サイト内の現場作業と一体になって取組む(被ばくも苦労も分かち合うこと)。
・一個人に役割を集中させず、柔軟な役割分担も必要(現場所長等の超過労に配慮
)」”

と紹介しています。

要は、専門家の緊急建言は、”「深刻な事態を回避するためには、一刻も早く電源と冷却システムを回復させ、原子炉や使用済燃料プールを継続して冷却する機能を回復させることが唯一の方法である」”と外部電源で接続で冷却システムの復旧せよということですね。
また、現場作業環境を増強せよと。
専門家の緊急建言を、素人の当方に言わせれば、原発の専門家は現場作業には無知であったと。

当方は、事故当初から、現場体制の増強外部電源の確保を先決課題とブログで書いてき、本ブログ「原子力発電事故:外部電源で冷却システムの一部復旧を・・・船頭多く現場が犠牲?」で、
”「要は、停電で水冷機能停止が主因で、非常電源では限界で、外部電源の確保が不可欠は、当初からの課題で、今頃、外部電源の確保したとは、原子力発電には博学であるが、現場の実学に乏しい集団が仕切っていたからです。」”
と書き、本ブログ「原発事故:深刻化させたのは外部電源の接続の遅れが起因」で、現場作業に軽視・無知な人間が仕切っていたので、現場作業員が苦労し、事故を深刻化させたと書きました。

現場作業環境については、本ブログ「原子力発電事故:50名の現場作業員に国難を賭ける馬鹿さ!(追記)」で、
”「船頭の多い体制で、現場に余計な負担をかけさせ、馬鹿なトップのおかげで現場作業員は苦労しており、メディアは保安院の説明を報道しているだけで、事故現場を命賭けでの取材活動もせず、臨場感のない報道では、現場作業員は浮かばれないですね。外電が50名の命賭けの現場作業員を賞賛しているという報道は、50名に、日本の国難を賭けるのかという苦言ですね。」”
と、現場体制の増強・現場環境の良化しないことを批判しました。

そして、石田慈宏氏主張
”「想定外のことが起きたら、無関係な人間が出張るのではなく、現場に任せて、逆に後方から使えそうなリソース情報を提供したり、バックアップ要員をおくりこんだり、指揮権も大幅に委譲するしかないでしょう。
想定外のことが起こったら、現場をしらない経営者や管理者、コンサルなんて、糞の役にもたたないと知るべきです
。」”
の意見には同感と書きました。

本ブログ「原発事故:線量計不足で作業先送り!・・・お粗末も度が過ぎる」で、3月28日の東電OLの過酷な現場環境をメールを、「夕刊フジ」が『東電OL現場発“壮絶”メール「私も被災者、過酷な労働…もう限界」』を紹介しました。

3月31日の「専門家の緊急建言」は、何か、フジTVのドラマ『踊る大捜査線』を連想させます。
ドラマ『踊る大捜査線』で、湾岸署の刑事の青島俊作(織田裕二)が、本庁組織に「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」と叫んでいる場面は、東電OLの過酷な現場環境の悲痛・悲愴なメールを連想します。

その後、4月3日、読売新聞の記事『原発泊まり込み作業員「厳しいが士気は高い」、『被災者多い原発作業員、不安も口にせず頑張る』、朝日新聞の記事『「作業員の安全」と「原発収束」と…復旧作業対応に苦慮』、4月3日のTV朝日の「サンディー・フロントライン」で、事故現場に従事した作業員および作業員を派遣した会社社長の取り上げし、現場は「ヒローでなく使命感でしかない」らの報道を接すると、産経新聞が記事『東電「決死隊」1日2食の劣悪環境 一時は水も1・5リットルのみ』と東電OLの「事故は対策本部で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」で悲痛・悲愴なメールが影響したのでしょうね。

それにしても、事故を深刻化させたのは、外部電源の確保の遅れと事故現場体制が要因であることは事実ですね。


1 コメント

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16人の長屋痴呆症老人談義 (怒れる国民)
2011-04-05 02:34:35
あんた達 本当に専門家かい

今やるべき事は持続している
核反応を止めることではないか、
(放出ヨウ素・プルトユウムは核反応
が持続していなければできない)

冷却水を投入すると臨界状態を持続
させる条件を整える事になる、

臨界状態を止めなくて水で冷却できる
ものですか、
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