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朝日新聞:〈プロメテウスの罠〉で気象庁データを公開に尽力したのは森ゆうこ議員!

2011-11-19 13:38:08 | 社会

現在、朝日新聞が特集記事『プロメテウスの罠 観測中止令』で、抑制されていた気象庁気象研究所の放射能観測データの公開および観測継続に尽力したのは、森ゆうこ参議院議員と報道。

朝日新聞が特集記事『プロメテウスの罠』で、福島原発事故の放射能汚染、公的機関の調査、情報公開らについて関係者の実名でシリーズを連載しており、現在は、第3シリーズ「観測中止令」で、本日は12回目です。

「プロメテウスの罠」については、本ブログで「朝日新聞:〈プロメテウスの罠〉でSPEEDIを避難案に不活用・・・被爆させた責任はウヤムヤ?」、「朝日新聞:〈プロメテウスの罠〉でSPEEDIを避難案に不活用・・・被爆させた責任はウヤムヤ?(続編)」でも取り上げました。
また、ブログ「「nanohana」様のエントリー『第1シリーズ 頼む、逃げてくれ 〈プロメテウスの罠〉 防護服の男』、『〈プロメテウスの罠〉第2シリーズ 研究者の辞表(1)~(21)』で、第1、第2シリーズの記事全文を掲載しております。

第3シリーズの「観測中止令」は、
1回目(突然 本庁から電話)は、3月31日モナコで国際原子力機関(IAEA)の会議に出席中の気象庁気象研究所の研究者の青山道夫氏に、気象研の調査官の井上卓氏が本庁・企画課から電話で、”「明日から放射能観測の予算がつかえなくなる。対応よろしく」”を受けたとメール連絡を受信からスタートしています。

要は、6時間後に今年度が終わり、明日(来年度)から放射能観測の予算が凍結と本庁から連絡を受け、作業分析の外部委託業者に、明日からの作業中止の連絡するなど混乱に。
気象研の企画室の予算凍結の理由は、”「福島原発事故に対応するため、関連の予算を整理すると文部科学省から本庁に通達があったそうです。緊急に放射能を測らなければならなくなったので、そっちに予算を回したいと・・・・・・」”と。

2回目(無視して採取続けた)は、帰国した青山道夫氏は、予算凍結を文科省原子力安全課に質し、調整第一係長の山口茜氏から、”「気象庁から放射能調査研究費は必要ないとの回答をいただいています」”と回答。
気象研の放射能研究の中核の地球化学研究部の青山道夫氏、環境・応用気象研究部の五十嵐康人氏は、予算凍結を無視し、他の研究機関の水面下から協力を受け、観測サンプル採取作業を継続。

3回目(放射能「高過ぎる!」)は、気象研は、福島原発の爆発事故をTVで知り、観測作業を強化し、15日朝、気象研の屋上の放射線量は、毎時2.2マイクロシーベルト。
五十嵐康人氏が採集した大気中の微粒子の放射能を分析装置にかけ、”「測れない! 高過ぎる」”とうなったと。
今まで経験したことの高レベルの放射能で、測定方法を工夫、異常数値を示している観測中に、観測中止令が出たと。

4回目(せっぱつまった事情)は、予算凍結に関して、文科省原子力安全課の防災環境対策室の山口茜係長と、気象庁企画課調査官の平野礼朗氏との、”「気象研究所の放射能観測はモニタリングでしょうか、それとも研究でしょうか?」”とやり取りで、平野礼朗氏から”「研究なのでデータはすぐに公表できない」”と、”「今年度の放射能調査研究費は必要がありません」”と答え、予算凍結になったと。

文科省と気象庁とのやり取りに齟齬があったようだが、問題は、「研究か、モニタリングか」で、気象庁が研究と応じたことが予算凍結と、今後のデータ公開の障害となって行きます。

5回目(まさかそれが日本で)は、放射能観測を自力で続け、放射能による環境影響の研究で国際的に知られている青山道夫氏の経歴・業績を紹介し、地道な観測が86年のチェルノブイリ原発事故で再注目されたが、また、どこかで原発事故が起きないとも限らないと思いで観測を続けてきたと。まさかそれが日本で。

6回目(ネイチャーに出そう)は、青山道夫氏が、3月末、モナコで国際原子力機関(IAEA)の会議の特別セッションで福島原発事故に関する報告が、研究者仲間の米国のウッズホール海洋研究所のケン・べッセラー氏から英誌「ネイチャー」に掲載を薦められ、青山道夫氏は、海水の動きの権威の(独法)海洋研究開発機構の研究者の深澤理郎氏に声を掛け、青山、ケン・べッセラー、深澤の3人連名で論文を出すことにし、4月18日には、英文の素案がまとまる。
素案は、「過去の大気圏核実験がもたらしたレベルより数けた高く、86年のチェルノブイリ原発事故で黒海やバルト海が汚染されたレベルより少なくとも1けた高い」など。
ネイチャー誌は、大きな関心を寄せ、ただちに掲載を決定。
青山道夫氏は、上司の地球化学研究部長、緑川貴氏から「問題ないんじゃないか」と投稿計画申請の許可印を貰う。

7回目(削除してくれないか)は、上司(緑川貴氏)から許可をもらった青山道夫氏の論文について、翌4月19日、韮澤浩・企画室長から異例の論文説明を求められる。
25日、加納裕二・所長から説明を求められ、韮澤浩・企画室長、緑川貴・部長を供われ、青山道夫氏は加納所長に説明。

加納「専門家は判断できるかもしれない。しかしマスコミは、『福島の海はチェルノブイリ事故の1万倍の汚染』と書きかねないですよ
加納「チェルノブイリ事故との比較は削れないものか

と加納裕二・所長からの削除要求部分は、共同筆者のケン・べッセラー氏が担当した部分であり、
加納「書き直さないなら、『気象庁気象研究所・青山道夫』の名前でこの論文を出すのは許可できない
と、青山道夫氏の論文許可おりず。

8回目(センセーショナル)は、青山道夫氏の論文は、ネイチャー誌は、「所属機関のトップが反対する論文は掲載できない」と、掲載とりやめになる。
青山道夫氏の論文は、地球化学研究部内の情報交換会では、問題なく、「公表すべきだ」の意見であったが、加納裕二・気象研所長は、気象庁に、この論文を見せ、意見を求め、関田康雄・気象庁企画課長は、
”「チェルノブイリ事故時の海のデータと比べるのはサイエンスとしてどうでしょう。誤解を招くのではないでしょか」”
とし、判断理由を、
”「ふだんならいいのですが、こんな原発事故が起きた折、センセーショナルな数字が表に出て混乱を引き起こしたらまずい、と」”。

青山道夫氏は、加納所長は研究畑でない管理職であり、論文の科学的判断ができるのかと納得せず、所長室への質問のやり取りを関係各部長に同報したが、20日過ぎても、所長から回答がなかったと。

9回目(所長があやまってほしい)は、青山道夫氏の論文投稿を不許可になった問題で、上司(緑川貴氏)が韮澤浩・企画室長から聞いた加納所長の考えを青山道夫氏に伝えたが、青山道夫氏は加納所長の判断に納得せず、共同筆者のケン・べっセラー氏、深澤理郎氏に謝罪を要求する。
加納所長ではなく、韮澤浩・企画室長からメールで、”「共著者に対する説明は、青山さんからしてください」とあり、
”「まだ事故が収束の方向にあるのかどうかわからず、報道もさまざまな専門家・機関による発表やコメントを取り上げている現状では、(気象庁)企画課、所長から了解を得ることは難しいと思います」と。

10回目(自分はしゃべれない)は、気象研究所は、放射能に関して外に話せなくなったと。
福島原発事故後、「青山は海、五十嵐は大気」と国内外に知られている青山道夫氏、五十嵐康人氏に、取材や講演依頼が相次いだ。
五十嵐康人氏への新聞取材には、企画室の研究評価官の同席の他、企画室長、五十嵐康人氏の上司の環境・応用気象研究部長までが顔をそろえ、
”「拡散についてはお話しできますが、リスク評価はうちの仕事ではないのでコメントできません。うちの名前や私の名前が出る場合は、公を代表した意見ととられますので」”
と歯切れの悪い受け答えになったと。

青山道夫氏にも同様で、日本アイソトープ協会(社団)が、7月初め、東京での「アイソトープ・放射線研究発表会」に、青山道夫氏の発表を考え、気象研への講師依頼を、企画室は、「手続きが間に合わない」と断る。
代わりに、別の機関の研究者が講師となり、青山道夫氏の海水汚染の研究データを引用しながら発表を、青山道夫氏は、自分の研究データを演壇上の座長席から眺めていたと。
更に、6月初め、日米共同で福島県沖の放射性物質を調査に、青山道夫氏は参加予定であったが辞退を命じられる。
こんな空気を一変させる出来事が6月28日に起きたと。

11回目(予算どうなってるの!)は、6月28日、突然、民主党参議院議員の森ゆうこ議員が気象庁気象研究所に来訪する。
森ゆうこ議員は、事前に予告なく、青山道夫氏、五十嵐康人氏に面会し、そのことはブログで記載されているとし、青山道夫氏によれば、森ゆう子議員は、その場で携帯電話を取り出し、
”「相手は文部科学省のようでした。『予算は一体どうなってるの!』なんて感じで話してました」”
と、そして、まもなく、今年度の凍結された放射能調査研究費は復活したと。
記事の結語は、
”「森はその後、文部科学省副大臣になった。だが、6月当時は関係ない。彼女は気象研の情報を誰から聞いたのだろうか。」”
と、興味を沸かせる内容でした。

本日 19日の12回目(誰が気象研を教えた)は、森ゆうこ議員に、気象研の教示したのは、木村真二氏だったと。
森ゆうこ議員は、木村真二氏が出演していたNHKのETV特集「ネットワ―クで作る放射能汚染地図」を視聴し、木村真二氏に連絡をとり、木村真二氏は「気象研なら放射能の観測データを持っている」と森ゆうこ議員に教示したと。

木村真二氏は、1998年の東海村の核燃料加工施設の臨界事故の際の調査団に参画し、気象研の青山道夫氏、五十嵐康人氏の仕事ぶりは際立っていたと。
ただ、森ゆうこ議員には、”「気象研はひと筋縄ではいかないですよ」”と、自分も気象研に放射能情報の協力を打診したが断れていたと。

森ゆうこ議員は、気象庁の本省の国土交通省に問い合わせし、気象庁企画課の平野礼朗氏は、森ゆうこ議員の事務所に出向いて説明したが、”「答えになっていない」”といわれ、”「それで、直接、気象研へ行かれたのでしょう」”と。
森ゆうこ議員の訪問から間もなく、放射能調査研究費が復活し、7月8日、気象研のHPに、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の移流拡散について」という情報が公開されたと。

朝日新聞の特集記事〈プロメテウスの罠〉は、マスメディアの実力を示す良識のある内容と思っています。
第2シリーズは、福島原発事故後、勤務先の研究所に辞表を出して現場に飛び込んだ木村真二氏の活動内容であり、第3シリーズは、気象研で気象庁の傍流の放射能観測を地道に従事してきた研究者の青山道夫氏が観測中止、論文投稿不許可、外部公開を制限された環境下で、組織判断に異議を唱えていた活動中に、それを打破したのは、森ゆうこ議員であり、森ゆうこ議員に、教示したのが木村真二氏ということです。
面白い人物の繋がりですね。
〈プロメテウスの罠〉が真実性があるのは、実名で報道しているからですね。

〈プロメテウスの罠〉の第3シリーズの結末がどうなるかわかりませんが、研究畑を管理職が判断する場合に組織の影響度を第一に判断基準することによる国民不在ということです。
また、政府は、福島原発の収束に努力しているのは推察されるが、一方、国民には、国民が不安がると情報公開を抑制してきたのは、国民が政府報道に疑心暗鬼になり、政府自体が風評被害を起こし、拡散させてきたという事です。
(要は、皆、宮仕えの宿命で、不条理・理不尽の中で仕事していることですね。)
福島原発事故の汚染水を海に放流したことについては、その真実と影響度は不透明のままですが、海の除染は、自然に任せるしかないということですか?

ブータン国王の宮中晩餐会を政治資金パーティーを第一と欠席する閣僚らがいる民主党の劣化した議員の中で、森ゆうこ議員は、検察審査会制度の不透明を追及だけでなく、政治家らしい活動ですね。
今後の森ゆうこ議員に期待したいですね。

世の中を変える原動力は、やはり、木村真二氏、青山道夫氏、森ゆうこ議員らのような過去の延長線上の思考に疑問を持つ「組織の変わり者」「組織の異端者」ですね。



1 コメント

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アサヒさんを支持 (山内大祐)
2011-11-20 13:38:08
新聞記事がいつも正しいとは思いませんが、今のこのシリーズを毎日欠かさず読んでいます。
国民は、真実を知り、自分で判断する権利と義務を有する。この連載にあるような官僚組織の言い分はありえない。と想います。
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