傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

福島原発:ヨウ素剤服用を決断した三春町!甲状腺学会理事長の見解で準備中止した福島県立医大?(1)

2013-11-08 20:00:22 | 社会

朝日新聞の特集連載〈プロメテウスの罠〉はタイトル【医師、前線へ】で、原発事故時、放射線医療に未経験の福島県立医大が原発事故医療基地になり、長崎大学から医師が応援に入り、対応準備に忙殺された状況を記述しており、現在は、福島県立医大内部で甲状腺ガン予防に住民に安定ヨウ素剤の服用させるか否かの経緯を記述しています。

11月6日は、サブタイトル【服用の指示が出ない】では、原発事故後、福島県立医大は住民に安定ヨウ素剤の配布準備と並行し、放射能への恐怖に渦巻く医大内の混乱鎮静に医大関係職場を優先順位付けし、3月12日から安定ヨウ素剤の配布を開始し、服用するかどうか各職場判断に任されたが多くの職員は直ぐに飲んだと。
15日夜、文部科学省の緊急被曝医療調整本部から細井義夫・広島大学教授が来訪し、「4号機の爆発危険性」「200㌔圏が避難地域になる可能性」の話を受け、福島県立医大は職員の子供まで安定ヨウ素剤の配布を決定し、翌日から21日までに各部門の子供分まで配布したと。
配布の事実は外に漏らさないように、と口止めがされた。
一方、県立医大は住民への服用を県に働きかけをしたが、国や県からヨウ素剤服用の指示が出ず、18日に福島入りする長崎大学教授の山下俊一に判断を任せるとしたと記述。

11月7日は、サブタイトル【ヨウ素剤信仰だ】で、福島県の要請で福島入りした山下俊一・長崎大学教授が2011年3月18日夕刻、福島県立医大の職員向け講演会でチェルノブイリ事故を例にし、
”「① 安定ヨウ素剤で甲状腺がんが防げるという誤解が広がっているが、「ヨウ素剤信仰」にすぎない。日本人が放射性ヨウ素を取り込む率は15%~25%。4、5割を取り込むベラシールとはわけがちがう。
② 20㌔圏、30㌔圏以西の被曝量はおそらく1ミリシーベルト以下、チェルノブイリと比べて被曝量が微妙なので、日本政府も安定ヨウ素剤服用の指示をださない。
③ 服用マニュアルは数々の欠点がある。使われない事を祈る
。」”
と、終始、自信に満ちた表情だったと記述しています。

11月8日は、サブタイトル【まさかの広範囲汚染】で、山下俊一・長崎大学教授のヨウ素剤不要論に異議を思った熊谷敦史・長崎大学助教は原発は不安定で住民への急遽服用の必要性があり周知徹底に、県立医大部長と福島入りしてた長崎大学の教授とで善後策を立案し、山下俊一・長崎大学教授の了解を出れば善後案を県に提案する予定だったが、山下俊一・長崎大学教授は当該案を脚下。理由は、
”「① 原子力安全委員会のマニュアルから逸脱する
② 服用量を謝ると危険もあるし、副作用が出た際に対応が困難
③ 飲み物と混ぜた場合に効き目があるかどうかわからないーー
」”
で、日本甲状腺学会理事長をつとめる山下俊一・長崎大学教授の意見は絶対だったとし、3月12日以降、県立医大で議論してきた住民へのヨウ素剤配布案は尻すぼみとなったと。そして、記事は、
”「数日後、山下は想像を超えた事実に驚いたと明かす。以下、ことし6月に山下から取材した内容だ。
 山下を驚かせたのは、11年3月23日に国が公開したSPEEDI(放射能拡散予測システム)の計算図だった。当時のヨウ素剤服用基準は、甲状腺の被曝線量が100㍉シーベルトになると予測されたとき。計算図では100㍉を超える地域が原発30㌔圏外にも大きく広がっていた。
「ありゃー、思いました」
 放射能汚染は山下の予想を大きく上回っていた。
 「日本の原発にはヨウ素とかを取り除くフィルターとかがきちんと付いているものだと思っていた。まさかこんなに広範囲に汚染されているとは思わなかった」
 山下には面会と電話で3回話を聞いた。一問一答の形で山下の記憶をたぐってみる
。」”
と結んでいます。
明日9日の〈プロメテウスの罠〉に、山下俊一・長崎大学教授がどうように語るか関心事です。

当方は、〈プロメテウスの罠〉で、福島県立医大が身内の関係者にはヨウ素剤を配布し、その事実を内密し口外禁止したことは賛否両論があると思うが、最大の問題は、日本甲状腺学会理事長をつとめる山下俊一・長崎大学教授の判断ですね。
山下俊一教授の原子力安全委員会のマニアルに逸脱とか、チェルノブイリとは違うとかでヨウ素剤服用不要の見解が福島県の見解になり、その後の福島県の健康調査に悪影響したのでしょう。

当方は、〈プロメテウスの罠〉のヨウ素剤服用の可否の背景を知り、2012年9月30日、NHKの<証言記録・東日本大震災シリーズ>の番組『「福島県三春町」~ヨウ素剤・決断に至る4日間~』を思い起こしました。番組紹介を転載すると、
”「東京電力福島第一原発から西に50kmに位置する福島県三春町。原子力災害とは無縁だったこの町で、震災4日後の3月15日、安定ヨウ素剤が住民に配られ服用が促された。
この薬は放射性ヨウ素から体を守る効果を持つ重要な薬であったが、服用には国もしくは県の指示が必要とされていた。情報が錯そうする中、三春町の職員たちは独自に調査を行い、独自の判断で服用の指示を決意する。その葛藤から決断にいたる4日間の証言を伝える
。」”
で、詳細は、ブログ「みんな楽しくHappy♡がいい♪」様のエントリー『1.福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 (内容書き出し)』、エントリー『2.福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 (内容書き出し)』、エントリー『3完.福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 (内容書き出し)』で、動画、画像を貼り付けしテキスト化しております。
是非アクセスされることを推奨します。

番組『「福島県三春町」~ヨウ素剤・決断に至る4日間~』では、事故発生時に、原発とは無縁だった三春町は、避難者の受け入れに職員が忙殺し、その中に、偶然、大熊町からの来ていた1職員(石田仁)がおり、三春町の原発事故対策のアドバイザーになる。
避難者の世話をしていた保健師が避難者に見慣れない薬を持っているのを注目し、町内に戻り関係者と調査し、その薬が「安定ヨウ素剤」と判り、副作用があるが念のために町民に「安定ヨウ素剤」配布・服用に保健婦が福島県に薬の調達に行き、準備作業を着手し、放射能の風向きを注視した上で、三春町の責任で町民に「安定ヨウ素剤」配布・服用を推奨した。
その後、福島県の1担当者から電話で、「安定ヨウ素剤」の回収、服用禁止の連絡があるが、国からも県からの何ら情報も指示もなく、町長の責任で服用させたと反論。

番組で、印象的なのは、上位組織から指示も情報も無いなかで、三春町は各人が町民の安全第一に、最善の活動したことです。

災害対策本部の責任者の深谷茂・副町長は、大熊町の職員の石田仁さんを事故対策のアドバイザーに要請し、テレビとネットしか情報が無い中で部下に”「そこに想像力と知恵を働かして判断というものが大事なんだよ」”と言い、自ら、風向きを注視、「安定ヨウ素剤」服用の最終判断には、議長に風向きが判る候補地の助言を求め、議長は風向きの証拠にカメラ撮影を指示する。

配布服用の資料作成をした保健師の竹之内千智さんは、事後に、
”「基本的に劇薬ですし、お薬っていうのは医師の処方があって初めて出せるものだし、服薬させられるものなので、私たちは看護職なので、自分たちだけで薬を飲ませるっていうのは、基本的には無い行為ですよね。
なので、万が一何かあって、責任を問われた時に、やっぱり「自分の保健師、看護士、助産師の職業生命が絶たれる可能性もあるな」とは思いましたね
」”
と語っており、

「安定ヨウ素剤」配布・服用の是非を問う課長会では、工藤浩之・保健福祉課課長は、
”「配布はしたけど飲ませる指示を出さなくて、後で、「実は高濃度でした」という場合のリスクと、
後は配って「念のため服用して下さい」と言って飲ませた場合、結果として高くなかった場合と比べた場合、
「どっちが深刻な事が起きるか?」というふうに考えると、
後になって手遅れになって、結局高濃度の被ばくにさらされてしまった方が、リスクは多いなというふうに考えましたので、「やはり配るべきだろう
」”と課長会の結論を主導し、


鈴木義孝・町長は、
”「いろいろ、その副作用もね、いくらかあるという事も、
保健師やなんかの調査の中でね、やったけれども、
「そんなに人体に影響を及ぼすものではない」という、そういう事の判断から、
「よし」と、
「課長会で結論を出したならそれでやれ」と、
「あとはもう何があっても責任を持つから」ということで、そういうふうな判断をしたと
」”
と課長会の合議結論で決断し責任は持つと語っています。

本ブログ『福島原発:汚染水も問題だが甲状腺異常は深刻な問題を内在(雑感)(追記)』(2013-09-08)で、浪江町の町民への健康管理の問題意識の高さに関心し、現場は仕事しているなーと思いましたと書きましたが、三春町も皆が町民の安全第一に使命を果たしていると思いましたね。

一方、福島県立医大は、甲状腺ガン予防に住民に安定ヨウ素剤の服用の必要性を痛感していたが、日本甲状腺学会理事長をつとめる山下俊一・長崎大学教授の判断に委ね結果的にはノーアクションでしたね。
逆に、福島県の担当者は、三春町の安定ヨウ素剤を服用にイチャモンをつけており、背景は不明ですが、山下俊一・長崎大学教授の権威を錦の御旗にし責任を山下俊一・長崎大学教授に転嫁したいという思惑があったのでないかとも邪推できますね。

SPEEDIを公開せずに、政府が知らなかったで許されるか大いなる疑問であり、日本甲状腺学会理事長をつとめる山下俊一・長崎大学教授が原子力安全委員会のマニュアルは誤りが多いとし、それを放置したままで安定ヨウ素剤不要論の見解も疑問ですね。

やはり、世の中は、現場が仕事しているのです.
世の生成発展の最大の障害は、過去の実績で物を言う「年寄りの跋扈」ですね。

「参考」

ブログ「みんな楽しくHappy♡がいい♪」様のエントリー『中村佳代子原子力規制委員「ヨウ素剤配布服用は汚染検査の後でいい」検討チーム会合12/3OurPlanetTV(内容書き出し)』で、原子力規制委員会の中村佳代子委員の発言に疑問視しています。
興味深い内容です。コメントも。




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