傍観者の独り言

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普天間基地問題:アメリカの国防戦略が確定し、基地問題が流動化?

2010-02-12 01:38:01 | 沖縄基地

一昨日、TBSラジオを聴いていたら、北マリアナ諸島が普天間基地の受け入れニュースについて、軍事ジャーナリストの神浦元彰氏が「NG、時間的に遅い。北マリアナ諸島は、過去に調査済みで、湾の水深が浅く、不可能という報告書が提出済み。アメリカは2月1日に、QDR(4年ごとの国防政策の見直し)を発表し、沖縄基地の存在意義が変る」と電話取材に回答していました。
TBSラジオにゲスト出演していた時事通信の何某は、「QDRについては重要情報で、鳩山首相に有利に展開する可能性がある」と発言していました。

軍事ジャーナリストの神浦元彰氏は、「QDR」について、
QDR米国防政策 「二正面作戦」脱却 アフガン勝利優先』で、コメントを述べています。転載すると、

”「出典:毎日新聞 2月2日夕刊

記事の概容

米国防総省は1日、国防の指針となるオバマ政権で初めての「4年ごとの国防政策の見直し」(QDR)を発表した。

このQDRでアメリカは冷戦後の「同時に発生した二つの地域戦争に対応する二正面作戦」を改め、対武装勢力、対テロ作戦を重視した柔軟な国防体制に転換する方針を表明した。
また、アフガンやイラクで続く「今日の戦争」に勝利することを最優先課題とすることを明確にした。

装備の調達に関しては、アフガン戦争を念頭に、監視能力を高めるための無人偵察機の増強、不足が指摘されていたヘリを優先調達、特殊部隊も増強することを決めた。

同盟国や友好国との関係を重視する方針を明確にし、友好関係確立の米軍の外国語や外国文化の習得の重要性を指摘した。

潜在的な敵国に関する記述では、イラン、北朝鮮ともに中国に言及。攻撃型潜水艦や空母の建造、コンピューターネットワークや宇宙空間での攻撃能力向上など、幅広い分野で近代化を進めていると指摘した上で、「近代化の長期的な意図が何であるか疑念を生んでいる」と懸念を表明した。

日米関係では、在日米軍の再編で日米合意した「在日米軍の存在を確実にし、グアムを安全保障の拠点にするもの」と指摘し、計画に変更がないことを強調した。

コメント

これは昨日の夕刊の記事だが、今日の朝刊各紙を読んでも、アメリカが二正面作戦を転換したことの重要性を示す記事はなかった。(毎日新聞の社説が触れていた)

アメリカがいう冷戦後の二正面作戦とは、ひとつはイラン(中東)で、もう一つは北朝鮮だった。いや、もうひとつは欧州だという人がいるが、ロシア軍の衰退(通常兵器)と旧東ヨーロッパ諸国のNATO加盟で、冷戦後の欧州をアメリカの正面にするには無理がある。

また、中東の正面はイランではなくイラクだったという意見には、アメリカはイラクの旧フセイン体制がイラクの多数派であるシーア派に倒され、イランとイラクを合わせた巨大なシーア派帝国が誕生し、周辺のサウジなどスンニ派諸国に勢力を拡大することを恐れたと指摘できる。だから中東におけるアメリカの正面はあくまでイランだったのである。

そこでイラクのフセイン政権を倒し、イランが勢力を伸ばす前に、イラクに親米的な政権を作ることが、イラク戦争を始めたネオコンの戦略だった。(その目論見は失敗した)

そしてアメリカはイラクとアフガンの戦争で泥沼に足を取られている。予測したアメリカの二正面戦略とは関係のない戦争にである。

ゲーツ国防長官は1日の記者会見で、「二正面戦略は時代遅れだ。すでにアメリカは二つの作戦を展開しており、新たな敵が出てきたらどうするのか」と言い切った。QDRでは「前方展開している米軍はもはや、安全地帯にいると安心していられない」と記述。中国の軍拡や北朝鮮の核開発の脅威に直面する在日米軍基地が、攻撃される危険性も想定していることを明らかにした。(毎日新聞 2月2日 夕刊)

今までアメリカは前方展開戦略を見直す米軍再編の理由は、米軍の長距離・高速機動能力の向上、前方に武器・弾薬を貯蔵する事前集積船や事前集積所の多用、それに同盟国部隊との一体化(海外基地の共有化、共同訓練や兵器の共通化)によって、アメリカ軍がドイツ、韓国、日本の常時駐留から米本土やグアムに後退できると説明していた。

アメリカの前方展開戦略の重い経費負担の問題や、海外駐留で起こる地元との摩擦、異文化で暮らす米兵のストレスなども指摘されていた。

それが今回のQDRで、新たに中国や北朝鮮に近すぎて危険であることを明記したのだ。すでに韓国や沖縄の米軍は、中国軍の巡航ミサイルの射程圏内に入っている。これは新しい認識を加えたことになる。

同時に、北朝鮮の崩壊前であっても、韓国や沖縄から駐留米軍が撤退できることを正当化させた。
そこでドイツに駐留する米陸軍の第1歩兵師団(機械化)と第1機甲師団、それから韓国に駐留する米陸軍の第2歩兵師団(2個機動旅団)、それに沖縄の米海兵隊第3師団(実勢は約1万2000人)を撤退させることを再確認したのである。(最初は04年8月にブッシュ前大統領が公表。それが米軍再編のロードマップ(計画書)なのである。

普天間移設問題で鳩山首相が今まで待っていたのは、このQDRだったといっても間違いではない。
アメリカがクリントン元大統領時代にジョセフ・ナイ氏などによって位置づけられた前方展開戦略(東アジアに10万人の米軍駐留)を転換し、韓国や沖縄から2014年までに在韓米軍が撤退するなら、沖縄に海兵隊の巨大な基地建設は不要である。(ブッシュ前大統領は04年から10年以内に撤退完了と公表した)

このように今回のQDRは普天間移設問題にも大きな影響を与えることになる。

昨日、小沢幹事長と国会内で会談したキャンベル米国務次官補は、QDRに書かれた東アジアから米軍が撤退する新戦略を説明し、ゆえにキャンプ・シュワブ沿岸に海兵隊の巨大基地を建設する必要性を訴えた可能性が高い。

しかし訪日中のグレグソン米国防次官補は、この会談に同席しておらず、米国防総省と米国務省の考え方に違いがあることを感じさせた。

米国防総省の考えは、1日に都内で講演したグレグソン米国防次官補のように、日米同盟を幅広い関係に再構築し、辺野古沿岸基地に拘らない意向のように思える。QDRが示した新戦略では、辺野古新基地よりも日米の幅広い同盟関係がより重要になる。(例えば、日本がアフガンの安定と復興に協力する体制)

キャンベル国務次官補はクリントン政権時代にジョセフ・ナイ氏の下で働いたことがあり、普天間移設を話し合う米側の責任者だった。このままキャンベル氏があくまで国務省で辺野古沿岸移設を固守すれば、オバマ政権から更迭される可能性が出てきた。

それほど今回のQDRは日米間だけでなく、東アジア全体の軍事情勢に強い影響を与えると思う。

まさに鳩山首相が普天間移設問題の5月決着に拘った背景には、今回のQDRでアメリカが二正面戦略と前方展開戦略を見直すことを知っていたからではないか。
※私が提案している嘉手納弾薬庫を活用する案は、韓国や沖縄から米軍が撤退することを想定した案である。
」”

と鳩山首相は、このQDRの動きを知っており、普天間移設問題を5月末までに決着させると表明していたとコメントしています。

鳩山首相は、就任当時から、普天間移設問題については、「沖縄県民の民意(負担軽減)を第一とし、時間をかけて決断する」と述べてき、野党・メディアが「優柔不断」「安全保障政策が不安、日米同盟関係の信頼を損なう」と非難の嵐でしたが、発表されたQDRで、アメリカの国防政策の見直しで、沖縄基地の存在意義も見直しが確定的であれば、普天間移設問題は新たな局面になり、鳩山内閣の支持率浮上につながりますね。

当方は、安全保障については疎く、QDRについても、神浦元彰氏の人物評価も出来ませんが、神浦元彰氏のQDRの見解通りであれば、鳩山政府にとっては好材料ですね。
当方は、普天間移設問題については、辺野古沿岸移設の既定路線を安直に継承する事は、反対で、沖縄基地問題は国民全体負担で、時間をかけても解決すべきという意見者であり、鳩山首相の姿勢には賛同していました。
しかしながら、鳩山首相の姿勢が「理念先行気味」で、不安があったのは事実ですが、もし、QDRの動向を知って、「結論先送り」していたら、たいした役者ですね。

TBSラジオの時事通信の何某が、神浦元彰氏のQDRの動きの話を聞き、「鳩山首相にとっては好材料だ。5月上旬には、米国側が小沢幹事長を米国招致しており、5月末に普天間移設問題が決着すれば、参議選にも好材料」とコメントしていました。
QDRと沖縄基地問題は、今後、注視する内容ですね。

「参考」

神浦元彰氏の見解については、★阿修羅♪ の掲示板で、「QDR米国防政策「二正面作戦」脱却 アフガン勝利優先(日本軍事情報センター、2.3)【鳩山が5月決着にこだわった理由」でも紹介されております。



1 コメント

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Unknown (KCIO)
2010-02-12 21:58:43
逆神神浦君の記事はあまりあてにならんからなぁ

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