傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

原発事故:国産ロボットの出番・・・活躍を期待(雑感)

2011-06-13 05:17:31 | ビジネス

千葉工大などの災害支援ロボット「Quince」が原発事故現場で出番と報道あり。
汚染除去システムはフランス、アメリカ製であり、無人調査ロボットはアメリカ製であり、大型放水機は中国製であり、日本で発生した原発事故を国産の技術で沈静化できないもの寂しさがあったので、国産の災害支援ロボットの活躍を期待したいです。

日経BPサイトの記事『【東日本大震災】「いよいよ福島の原子力発電所へ出発します」、千葉工業大学などの災害支援ロボット』で、
”「千葉工業大学、東北大学、国際レスキューシステム研究機構(IRS)は2011年6月8日、三者によるプロジェクト・チームによって、福島の原子力発電所の事故への対応に向けて改造された災害支援ロボット「Quince」が、原子炉の内部での作業に使われることを明らかにした(千葉工業大学の発表資料、Tech-On!関連記事1、同 関連記事2、同 関連記事3)。Quinceは東京電力に貸与され、早ければ10日午後にも、福島の原子力発電所に向けて搬送される。東京電力は、Quinceを放射線量が高い原子炉に投入し、原子炉の地下に溜まった汚染水への水位計の設置や採取に使う。

 Quinceは、福島第一原発に搬送され、5号機で試運転をした後、3号機、1号機、2号機の順で、それぞれ4つに分離された地下の汚染水の調査に使われる見通しである。

開発を指揮した千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター 副所長の小柳栄次氏は、「原子炉の建屋の内部の状況は、まだ一部しか把握できていないと聞く。Quinceを使えば、汚染水を把握するだけでなく、建屋全体の放射線量や放射線源の状況を把握できる。本来の任務で使わない時間にできるだけ多くの場所を走行させて、レーザー・スキャナで逐次計測したデータを使えば可能だ。そうすれば、作業者の被ばく量を抑制できるだろう。ロボットの開発はあくまで、人の活動をより良くするためである。できるだけ早く原子力発電所の安全を確保し、避難している方々が早く自宅に戻るために役立ってほしい」とする。

 Quinceの特徴は、がれきの重なった場所や、急な角度の斜面や階段でも高速に移動できることである。今回、原子炉の建屋内での移動や作業に最適化するために、三つの改造を施した。(1)有線通信で700mの遠隔操作に対応するための改造、(2)原子炉の内部において水位計を設置したり採取したりするための改造、(3)(1)と(2)に必要な装備を追加した状態で原子炉内の環境にあわせた運動性能を確保するための改造、である。

 (1)については,車体に長さ500mの巻き取り式の通信ケーブルを搭載した。さらに、原子炉の建屋の入り口から作業者が制御する場所まで、200mのケーブルが接続され、遠隔操作される。Quince自身が、長さ500mのケーブルを伸ばしたり巻き取ったりしながら移動する。

 (2)については、車体に水位計を投下したり、汚染水を採取するための機構、放射線の測定機器を搭載した。

 (3)については、重さ27kgの車体の上に、今回の改造によって23kgの重量が加わった状態で、必要な走行の性能を確保した。重心のバランスの制御や、走行速度の抑制、落下時の衝撃を吸収するための部品の変更などによる。

 また、カメラの追加やソフトウエアの修正などによって、前後どちらにも自由に進行し続けられるようにした。原子炉の地下には、幅が90cm、傾斜が42度の階段がある。長さ約130cm、幅が約50cmの車体では、反転して戻ることができないためである。

 さらに、原子炉の建屋の内部は、湿度が高い状態が続いている。そこで、カメラの内部を真空にした上に、レンズを外から温める機構を加えて、レンズが曇らないようにした。

 こうした改造について、小柳氏は、「われわれが一から作製したロボットであるために、部品一つひとつまで知り尽くしているからこそできること。外注先任せの開発では対応が難しいだろう」とする。

 原子炉の建屋内の状況調査においては、これまで米iRobot社の「PackBot」が使われてきた。しかし、PackBotは、行動の範囲が無線の届く範囲内に限られていたため、地下の様子までは確認できなかった。また、がれきの上を自由に走行したり、階段を上るだけの運動性能は備えていなかった
。」”

と、福島第一原発事故仕様に改造し、近々に、現場導入を報道。
国産ロボットの投入で、事故沈静に貢献できることを期待します。

当方が、記事で、注目したのが、小柳副所長の”「われわれが一から作製したロボットであるために、部品一つひとつまで知り尽くしているからこそできること。外注先任せの開発では対応が難しいだろう」”の言葉です。
世の中、物つくりが自主開発からグローバル調達の競争になり、仕様に合致する部材を世界から調達し、短期間に安価に大量にアセンブリーのビジネスが主流になりましたね。
災害支援ロボットのような特注品・特殊品であれば、すべて自主開発できるが、汎用市販製品で、どこまでを自前のコア技術とし、どこまで外部調達するのか難しい問題です。

また、過日、2号機取水口付近に「ひび割れ」で、高濃度汚染水が海に流出し、海洋汚染の緊急問題になり、それを食い止めたのが、中小企業の技術でした。
ゲンダイネットの記事『【原発・大震災 報じられない裏と事件簿】暴走原発に立ち向かった零細企業 従業員20人の技術力』で、
”「4月上旬、福島第1原発の2号機から放射性物質を含む汚染水が流出した。これを食い止めるべく投入されたのが、中村建設(山口県)の高分子吸水土のう「水ピタ」だ。従業員はわずか20人の会社である。「水ピタ」は海水も真水も吸水し、体積が約20倍に膨らむ。地下道や家屋への浸水を防ぐ目的で使用されることが多い。中村建設の中村廣義社長が言う。
「『水ピタ』を使ったことは後から知りました。もともと装備してあったものを使ったのでしょう。ただ、その後、私のほうから原発専用の製品を作ったらどうかというアイデアを出しました。床の隅にたまった放射能汚染水を手で触れることなく除去が可能になる製品です。試作品を作っている最中です」
 前田工繊(福井県)や太陽工業(大阪府)は、海中の汚染水拡散を防止するためのシルトフェンスを製造している。本来は護岸工事などで使われるものだ。いずれも従業員数百人程度の中小企業だ。
 太陽工業の関係者は、「汚濁防止が目的ですから、放射能への効果があるかどうかは分かりません」と話すが、汚染水の広がりを食い止めるのに役立つはずだ。
 トンネル工事などで地盤を強化するために注入する薬剤も活躍した。東曹産業(東京都)の水ガラスや、菱晃(東京都)の土壌硬化剤である。これらが亀裂から海中にダダ漏れしていた高濃度汚染水を止めた。
 汚染水流出の経路確認に使われたのは、バスクリン(東京都)の入浴剤だ。栗田工業(東京都、東証1部)の合成樹脂「クリコート」は、原発施設内に残るガレキに付着している放射性物質の飛散を防いだ。
 6月からは仏原発大手アレバの放射能汚染水浄化装置が稼働するが、その裏では国際的なビジネス競争があった。仏政府は大統領直々に売り込みに来て、スッカラ菅は飛びついた。
 日本の技術力を分かっていたのかどうかは大いに疑問だ
。」”
と報道。

日本の製造業が沈滞化した背景に、官僚主導と業界協調による規格大量生産の製造工程依存体質と言われる一方で、現場の技術者が自分たちの価値観の中で最良を追求すると、ますます精巧で複雑な物をつくり、市場から遊離したと言われていますね。
手前技術に拘ると市場競争に苦戦し、外部依存し過ぎると問題があったときに迅速な対応できず、難しい問題です。
政治の世界の「自立と共生」ではないが、ビジネスの世界も「自立と共生」のバランスなのでしょうね。


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