傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

NHKスペシャル:「中国激動 ”さまよえる”人民のこころ」を視聴して(雑感)

2013-10-15 20:53:31 | 独り言

13日放送のNHKスペシァル『中国激動 "さまよえる"人民のこころ』(再放送:10月17日 午前0時40分~1時38分(16日深夜))は、中国が改革開放の歪が顕在し、中国人民が宗教、思想により所を求め、政府も社会の安定化に宗教、思想を活用する現状を報道。
番組は、格差拡大・汚職腐敗で社会が不安定になり、キリスト教の布教活動、政府の孔子が説いた儒学の復活普及活動を紹介しており、中国の患部を知った印象を持ちましたが、性急さに不安も持ちましたね。

現在の中国の歪について、14日、テレビ東京の番組「未来世紀ジパング」の『緊迫中国第二弾!潜入"12大ゴーストタウン"...人類史上最大のバブルの行方』で、巨大なゴーストタウンを報道しています。

番組紹介を転載すると、

”「中国で今、"鬼城"という言葉が注目を集めている。ゴーストタウンの意味だが、現地メディアが伝えた"12大ゴーストタウン"に潜入!その驚くべき実態に迫る。この背景にあるのが、中国の新たなリスクとして浮上した"シャドーバンキング"といわれる金融問題だ。その全貌を徹底解説。この問題が日本、そして世界に及ぼす影響を探る。

“中国12大ゴーストタウン”に潜入!

 あの反日デモから1年・・・中国にある異変が起こっている。中国全土で雨後の竹の子のように巨大都市開発が進められ、かなりのプロジェクトが建設途中でストップしたり、完成しても入居が決まらずゴーストタウン化しているという。
 特にひどいのが、現地メディアが“中国12大ゴーストタウン”の中で1位に挙げた、内モンゴル自治区オルドス市の新都市開発だ。3万人が住む地域に100万人分の巨大マンション群が出来上がった。日本人には想像できないとてつもなく無謀な都市開発。なぜこうした開発がまかり通るのか…?潜入取材した。

中国の時限爆弾“シャドーバンキング”とは?

 中国全土で繰り広げられる巨大不動産開発。その資金がどこから出ているかといえば、いま注目される“シャドーバンキング”だ。銀行を通らないカネの流れ。その中核となるのが、「理財商品」という金融商品。普通の銀行で販売もされている投資信託のようなものだ。ここを通じて集められた巨額のマネーが、不動産バブルの源泉になったと見られている。しかし今、この理財商品の焦げ付きが表面化し始めた。
 番組では、シャドーバンキングの実態に迫るべく、銀行の販売者、投資金が戻ってこなくなった被害者、償還日を心配しながら迎える市民などを総力取材した
。」”

と性急な改革開放政策の歪を紹介。
番組の結論は、『弾けないバブルはない!』で、中国バブルの破綻は危険度は高く成長鈍化は不可避であり、日本は中国バブル破綻を覚悟し、その備えが肝要だと。

本ブログ「NHKスペシャル:「中国激動 空前の農民大移動」を視聴して(雑感)」(2013-10-08)で取り上げたNHKスペシャル『中国激動 空前の農民大移動』では、中国が農民から都市民へ戸籍制度を変えて農村を都市化へ動きの現状を紹介しました。

中国は、巨大なゴーストタウンが多数発生しているのに、経済成長に農村の都市化を推進しており、その矛盾が中国人民に蝕んできており、宗教、儒教に救いを求めている現状が、NHKスペシャル『中国激動 "さまよえる"人民のこころ』ですね。番組紹介を転載すると、

”「“先に富める者から豊かになれ”小平氏による改革開放の壮大な実験から始まり、急速に経済成長を続けてきた中国。しかし今、貧富の格差が拡大するなど、13億すべての民に「豊かさの約束」を唱え続けることが難しくなってきている。2回目は、経済的な成功に代わる新たな“心のより所”を模索し始めた中国の人々の内面に迫る。

今、人々の間で急速に求心力が高まっているのが、2500年の伝統を誇る中国生まれの“儒教”だ。「他人を思いやる」「利得にとらわれない」ことを重要視する儒教にこそ、中国人の心の原点があるとして、儒教学校の設立や、儒教の教えを経営方針に掲げる企業が続出。現代風にアレンジした新興グループまで登場し、中国全土に儒教ブームが広がろうとしている。
国も、かつては弾圧の対象でもあった儒教を認め、支援することで人々の心を掌握しようとしている。孔子の故郷、山東省曲阜では国が主催する孔子生誕祭が盛大に行われるなど、仁徳の国を復活させるための取り組みも始まっている。
拝金主義の夢から覚め、「心の平安」を求める人々――。次なる時代へと向かおうとする中国の姿を描く
。」”

と、番組紹介では、儒教の見直しだけが記述されているが、実番組では、キリスト教が布教活動が活発になり、入信者が共産党員より多い1億人弱とあり、中国人民はキリスト教と儒教に心の安らぎを求め、無神論のが基本理念の共産党政府は、宗教と儒教で統治の安定化を目指している様子を紹介しています。

動画はネットにアップされておりますが、番組は、【プロローグ】、【キリスト教の布教】、【儒学ブーム】、【地方政府とキリスト教が互恵関係】、【中国に儒学の必然性】、【エピローグ】構成です。

プロローグ】 : 子供が親の足を洗う(洗脚礼)場面、孔子の説いた儒教ブームを紹介場面、政府が社会の安定に儒学を取り入れ宗教を利用し社会安定を目指していると説明

キリスト教の布教】 : 自宅、集会書での多数の信者が集うキリスト教信者の非公認の『家庭教会』模様、『家庭教会』で、救いを求めてきた女性に、拝金主義は悪魔の仕業とし、悪魔よ出て行けと祈る場面、雑居ビルに設けられた沐浴場で洗礼をうけている場面らがあり、無神論を基本理念とする共産党は宗教思想を弾圧してきたが、改革開放政策で政府管理下の宗教自由化を認めたが、キリスト教の場合には、教会は許可制で信者の個人情報を提供を求められる場合があり、当局の管理を受けない『家庭教会』が増大したと。
改革開放当初は、600万信者が現在では1億人に迫り共産党員の数を凌ぐ勢いで信者が増大したと。
絆を意味する「愛」を掲げる公認教会の牧師は、人間の関係に疑問を持ったのは、2年前に車にひき逃げされ放置された2歳の女の子を18人が見て見ぬふりし通り過ぎた事件で、中国人は「道徳観」がどん底まで落ち人間関係が冷え切っているとし、貧しい人は絶望し、成功者は空虚感にさいなまれていると。
そして、拝金主義に嫌気して学生は非公認の家庭教会に集い、地方で人間関係の復活の先導者になっていると。

儒学ブーム・儒学国策化】 : 中国の古来の伝統思想・・・孔子の儒学(道徳の大切を説く)に心の拠り所を求める動きを紹介。
儒学を推進団体(伝統文化論壇)を政府は全面的に支援しているとし、地方政府の幹部の挨拶
”「孔子の思想は中華民族の精神の土台だ。
アジアの国々にも影響を及ぼし
いまや東洋文化の中心である
」”
を紹介し、国の後押しもあり、中国は空前の儒学ブームで、儒学専門学校は1万を超えたと。
それは、一人っ子政策による我侭な子供の(小皇帝)問題があるとし、小皇帝は、他人を思いやる心が希薄の授業場面を紹介。

一方、大人向け儒学教室の大反響で、熾烈な競争に勝ち抜き豊かさを手にいれたが心の隙間を儒学で埋めようと。
儒学で失った大切な物を補おうとする元経営者の女性を紹介。 
その女性は、人の生き方DVDに、”「難逃天網」”(天の網から逃げられない)の言葉に接し儒学に目覚め、心の豊かさが満たされない中間層が集う儒学推進団体(伝統文化論壇)の集会に出るようになり、泣きながら子供が親の足を洗う(洗脚礼)にショックを受け涙を流し、それなりの成功者(老師)の自省講話に感銘をうける。
その後、その女性は、ある集会で老師の任を受け、自分の講話中に自省の余り舞台で土下座する場面に。
中国政府は、改革開放の歪を儒学で求心力を保持する政策に転換し、共産党の最高幹部養成機関の共産党中央党校では教材に儒学を核とした伝統思想を取り入れていると。

地方政府とキリスト教が互恵関係】 : 発展から取り残された地方にはキリスト教を頼みにしているとし、共産党縁のある地方では、公認されたキリスト教会が盛大の礼拝を行い、当局から村の病院(一般病院の1/20料金で運営)を任されており、カトリック教を説いていた神父が、村の共産党幹部に先導され共産党員の相談事を聞き、その場で祈りながら祈祷した水を撒き、悩める共産党員に”「イエス様わたしを助けてください」”と言わせ、イエス様を信じることが一番必要と説きキリスト教に入信を勧める場面に。
神父は、この地方では、共産党とキリスト教は同等の権威があると。
当局と協力しながら信者を増やすキリスト教とし、教会には、中国政府と反目しあう前ローマ法王・ベネディクト16世の写真が飾られていたと。

中国に儒学の必然性】 : 伝統文化論壇の重鎮の浄空法師の紹介。
浄空法師が有名になったのは、10年前 国連でも報告された生まれ故郷で儒学の教育施設を作り、人々の道徳の向上を取り組んだことが有名になり、伝統文化論壇の集会が広まったり、浄空法師の教えを請いたい人々に向ってインターネット、DVDで発信していると。
浄空法師は、中国から倫理観、親孝行、目上の人への尊敬が消え去り、完全なり私利私欲社会が今の中国だと。

前述の儒教に影響を受けた元経営者の女性と浄空法師と面談があり、浄空法師の”「自分の為でなく社会の為に率先して手本になりなさい」”言葉が紹介される。
その後、女性は集会に出席し、自分が触発された伝統文化論壇のDVDを差し上げると言うと、人々は女性に群がり、DVDの奪いあいになる場面に。
女性は、今までは、儒学は自分ためであったが、これからは、多くの人を救うために儒学を広めてゆきたいと。

エピローグ】 : キリスト教の勢いが止まらないと。
【キリスト教の布教】で記述した神父が、市内の高級ホテルで企業家300名の集会に呼ばれる場面で、成功を収めた企業家もキリスト教に引き寄せられていると。
集会に参加の企業家は、拝金主義を招いた社会を憂いを語り、多額の寄付する場面に。
街頭では大規模のキリスト教集会があり、人々は祈りを捧げていたと。

宗教や伝統思想に向かい始めた中国の人々、その広がりは大きなうねりとなって。
社会が抱える問題の解決に、宗教や伝統思想を利用しようと模索を続ける中国は、さ迷い始めた人々の心を掴み国を安定へと導くことが出来るのか?その行くへは、果たして如何に?で結んでいます。

当方は、NHKスペシャルを視聴し、短期間に多数の中国人がキリスト教の感化されているのは意外でした。
また、日本の歴史を見ているようであったが、超大国の規模の大きさに圧倒されましたね。
中国の人々が、拝金主義を自省し儒学に振り返ることは賢明と思ったが、番組の【儒学ブーム・儒学国策化】での地方政府の幹部の挨拶、
”「孔子の思想は中華民族の精神の土台だ。
アジアの国々にも影響を及ぼし
いまや東洋文化の中心である
」”
が気になりましたね。
中国人は中華思想の民族主義から脱皮できないと思いましたね。

当方は、世界の混乱の根源は、宗教と民族性と思っております。
多民族の集合体の超大国中国は中華思想で世界の覇権者を目指す体質は、簡単に体質改善できるとは思いませんが、中国人が拝金主義を宗教と伝統思想で自省することは中国の安定化になり、世界の安定化に寄与するでしょうね。
しかしながら、安定化過程で中華思想が顕在化し、世界の覇権者争いなることを危惧しますね。

マアー、日本は、「「自然(万物)に神が宿る」精神風土に、儒教の影響を受け、死後に極楽を願う仏教も、天国を願うキリスト教も柔軟に取り入れる「」ような特異な体質は、中国との付き合いは文化交流しながら性急に事を起さないことが賢明でしょうね。

「追記」

ブログ「ニュースの教科書編集部」様のエントリー『中国政府が「影の銀行」の推定規模を公表。事実なら、日本や米国のバブルを超える水準』(「BLOGOS」にも掲載)で、

”「中国政府のシンクタンクである社会科学院は10月9日、中国経済における「影の銀行(シャドーバンキング)」の規模が20.5兆元(約328兆円)に達している可能性があることを明らかにした。この数字は日本のバブル崩壊や米国のリーマンショックにおける過剰融資の水準を上回っており、いつバブルが崩壊してもおかしくないことを示している」”

と中国は成長鈍化は不可避とし、テレビ東京の番組「未来世紀ジパング」の『緊迫中国第二弾!潜入"12大ゴーストタウン"...人類史上最大のバブルの行方』も同様な予測していましたね。
アメリカは、債務上限問題で混迷しており、二大大国の混迷で世界は激動・激変の前兆が現出しており、日本は無理した経済成長が望ましいのか大いなる疑問になりますね。

日本社会の現場は、高齢少子化で日本市場が縮小する覚悟でグローバル展開を地道に注力しており、カネでカネを生む構造は邪道であり米中が激変しても耐えられる地力をつけることが賢明と思う昨今ですね。



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