傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

NHKスペシャル:「中国激動 空前の農民大移動」を視聴して(雑感)

2013-10-08 09:20:51 | 独り言

6日放送のNHKスペシャル『中国激動 空前の農民大移動』(再放送:10月10日午前0時40分~1時29分)は、中国が農民から都市民へ戸籍制度を変えて農村を都市化へ動きの現状を報道。
日本の田中角栄元首相の『日本列島改造論』を連想させたが、規模が桁違いの大規模であり、成否に問わず日本、世界に影響を与えることになるでしょうね。

番組『中国激動 空前の農民大移動』(再放送:10月10日午前0時40分~1時29分)の番組紹介を転載すると、

”「世界第2位の経済大国へと成長を遂げた中国――。
しかし今、成熟期を迎えたがゆえのさまざまな課題に直面している。中国では、今一体何が起きているのか――。
これから中国はどこへ向かうのか――。
習近平国家主席が率いる新体制下で進められる対策とその課題、そして人々の葛藤を、徹底した長期ルポを通じて克明に描写。2週連続で、次なる中国の姿を探る。

1回目の舞台は、中国内陸部の都市・重慶。郊外に林立する高層マンションでは、くわやかごを背負った住民が行き交う。彼らは住み慣れた農地を離れ、マンションに移住してきた元農民だ。中国では今、農村の都市化が進められており、重慶はその政策が最も進む最前線の街である。
これまで中国では、戸籍制度によって都市民と農民を分け、待遇に違いを付けてきた。その結果、人口の多数を占める農民は経済発展から取り残され、広がる格差に不満を募らせてきた。“格差是正”を掲げる共産党新執行部にとって、農民を都市民に変え、豊かさをひとしく享受できる社会を実現することは、避けて通れない課題となっている。

ところが、中国経済の減速が、重慶の“農村都市化”に影を落とし始めている。元農民の雇用を確保するための企業誘致が、思惑通りに進まなくなっているのだ。憧れの都市民になったはずが、厳しい現実を突きつけられている元農民たち。揺れる農村の都市化の現場をルポする
。」”

です。

中国は改革開放路線で沿岸部開発の労働力不足に農民の出稼ぎが急増し、出稼ぎ農民には都市民の権利が認められず格差拡大し、格差解消に内陸部の農村都市化の全国展開で、現在の都市民4億人、農民9億人を2030年には都市民10億人にする計画を策定。
番組は、内陸部の重慶市の農村都市化の実験の紹介で、都市民に変えることで中国全土に豊さを広げて行けるのかの試金石になると。

北海道と同じ面積の重慶市が、住民3000万の2/3の農民を、10年で農民を1000万に減らす農民戸籍から都市戸籍に転換する計画の紹介です。
中国では、農村戸籍の住民には耕作権を許諾するが社会保障の享受は制限があり、都市戸籍の住民には各種の社会保障が供与され、男性は60歳から女性は55歳から年金(二人で1000元/月)受給権利を得られる。
重慶市の計画は、農村を雇用場を創出する都市化で、農村から都市に移動する農民には、高層マンションの「安置房」が用意され、雇用紹介を受けられる。

番組では、都市化で生活安定化を期待し開発促進を望む農民が多数で、自給自足の農業継続者を望む農民は少数とし、「安置房」に入居待ち、入居中の新・都市民が地元での雇用機会がなく出稼ぎを決断する模様や、沿岸部の企業が重慶市が開発地域の進出に難色する場面も紹介していました。
地元での雇用は若い年齢層向けが多く中高年齢層の雇用機会が少ない事や、中国政府の金融政策の変更(金融緩和から引き締めに)で都市開発が割高になり沿岸部の企業には魅力が薄くなってきている事を紹介しています。

当方は、番組冒頭の農地の開発場面や高層マンションが立ち並ぶ場面に接し、「日本列島改造論」を連想しましたが、途中から、島国日本と超大陸国・中国との国土違い、法律違いがあっても改革規模・スピードの違いに圧倒されました。
中国の農村都市化政策が順調に推移するか?不調で終息するか?に問わず、超大国中国の動向は世界に影響を与えることは確実と思いましたね。

日本列島改造論」は、”「過密になやむ住民には、経済の集中にかえて分散をうたい、過疎になやむ住民には、悪名たかいコンビナート都市にかえて内陸工業基地=25万都市構想」”、”「工業再配置と交通・情報通信の全国的ネットワークの形成をテコにして、人とカネとものの流れを巨大都市から地方に逆流させる “地方分散” を推進」”など考察があるが、浅学の当方には「日本列島改造論」の功罪を論評する見識はないが、「破壊と創造」の社会変革を是認する当方は、中国の農村都市化政策はハードランデイングでも過激し過ぎるという印象を持ち、超大国・中国の宿命と思いますね。

内陸部の農民は、生活安定を期待し開発促進を望んでいるが、番組で「誰が食糧を作るのか?」を農業継続を希望する農民の声を紹介していたが、現在の中国の都市民4億人、農民9億人を2030年には都市民10億人の計画には、過剰生産を危惧し疑問を覚えます。
本ブログ「中国、「ITソースコード強制開示」は、中国の覇権主義の表れでしょうね(追記)」(2009-04-24)で、

”「当方は、世の中、パワーゲームという考えであり、しばらくは、世界は、中国パワーには、振り回されるでしょうね。
中国にとっては、深刻な国内問題(12億人口と格差)を抱えながら、経済成長しなければならない宿命があり、世界の食料、エネルギーの暴食が、世界を破壊するのではないかと思えますが、人口プラミットから、近い将来には、中国も高齢化社会が到来するのは確実であり、世界の姿も変るだろうと思っています。
限られた地球資源を、世界が協調せざるを得ないでしょうね。
それまで、地球が環境破壊しないことを願うだけです
。」”

と、超大国中国による地球の環境破壊を危惧すると書きました。

中国の高齢化については、「JBpress」が姫田小夏女史のコラム『中国のお金持ちの夢は「日本で老後を」』 を掲載しており、姫田小夏女史は、

”「中国の医療・介護サービスは「無愛想で気が利かない上、金銭で釣らなければ動かない」のが現状だ。食品の安全は、もはや求める方がナンセンスと言ってもよい。老人になるほど「何を食べさせられるか分からない」という不信感はつのる。それがイヤならこの国を出るしか方法はない。」”

と、中国の高額所得者は「日本で老後を送りたい」とし、一方、受け入れ側の日本について、

”「沖縄は今では中国人旅行者だらけ。青い海を見てボーッとしたくても、耳に飛び込んでくる中国語がけたたましく、沖縄ファンの僕からすれば魅力半減も同然だ。けれども、沖縄は中国人観光客を選んだ。県民を食べさせていくにはこれしかないということだろう。その選択はきっと苦渋に満ちていたと思う」”

の意見を紹介し、

”「現在、「中国人は嫌だ」「中国には依存したくない」というのは、多くの日本人の偽らざる心情だろう。しかし、その苦渋を乗り越えてあえて行う“ギアチェンジ”こそが、日本経済を救う第一歩なのかもしれない。」”

と結んでいます。
姫田小夏女史の意見には一理あるが、日本の10倍強の超大国・中国の潜在パワーは、島国・日本人の想像を超越する規模であり、利・理はあっても慎重さは不可欠ですね。

番組『中国激動 空前の農民大移動』で、当方が印象的な場面は、都市民になる農民が、「将来の次世代の為に」「国家発展の為に」と自分らは政府方針に甘受する意見でした。
土地の所有権を認めず耕作権を許容する共産主義国家の中国と、日本は農地法があり登記簿の地目が農地だと、一般庶民は農地を取得できない制度の日本は、姫田小夏女史の意見に一理ある問題提起であるが、中国との付き合いには、両国の社会改革で国民が平穏に暮らせるまでは戦略的互恵関係を堅持することが無難でしょうね。

本ブログ「中国との戦略的互恵関係の深耕は不可避!?」(2011-01-27)で、管・前首相の中国との戦略的互恵関係について、

”「菅首相は、日米関係の堅持を基幹とし、中国とは従来通り戦略的互恵関係でと表明したが、当方は中国の中華思想、覇権主義の人治国家・ダブルスタンダードには抵抗感があるが、中国の経済力の現実を鑑み、中国とは深耕が不可避ではないかと思いますね。」”

と書いたが、中国を敵対視せずに時間をかけながらソフトランディングすることが賢明と思っています。

中国の格差是正で農村都市化が進行すれば、食糧危機・生産過剰のリスクもあり、アメリカの復活も不確実になり、世界の流動化が顕在化するでしょうね。
やはり、世界は多極化・流動化しておりj地力をつけることが賢策と思いますね。



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