傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

都知事選結果について・・・将来ビジョンなき現実的選択とネット保守の顕在化(雑感)

2014-02-13 10:37:32 | 独り言

都知事選結果は、舛添要一氏が当選し、宇都宮健児氏が細川護煕氏に競り勝ちとメディア予想通りであり、メディアの論調は、舛添氏の厚生労働大臣の実績、社会保障の精通が都民に支持を得たとし、細川氏は出馬出遅れに原発ゼロのワンイシューが争点にならず支持を得られなかっとし、宇都宮氏は組織票に社会保障の主張で細川氏に競り勝ったとし、田母神氏には若年層が支持したと。
メディア予想通りの結果とは、都民は現実的・打算的に無難な選択したことでしょうね。

都知事選結果がメディアの予想通りとは、日本社会は生活に余裕が無く、高齢者は老後の安定を、子育て世代は育児不安解消をと社会保障の現実面を重視し、原発ゼロは理想論とし脱原発路線の無難な選択したのでしょう。
待機児童、待機特養らの社会保障の現実的な問題は、行政現場が一番精通しており、舛添氏、宇都宮氏、細川氏の誰がトップでも、トップの方針に現場は最適解を導き出す専門集団であり、社会保障分野は代わり映えしないのですが。
当方には、舛添氏の都政の「今近遠」の将来ビジョンが見えなかった印象ですね。

都知事選の結果について諸々の考察・所見があります。
片山善博・慶應義塾大学法学部教授が「ダイヤモンド」サイトに寄稿【都知事選をつまらないものにした政党の責任】で、

”「防災に力を入れるかどうかは争点にならないのだが、少し観点を変えて筆者は候補者の考えを聞きたかった。それは、首都機能の移転をどう考えるかということである。大地震のリスクに備えて、国は首都機能を地方に移転させる方針を法律で定めている。東京への一極集中を避けるためである。ところが、法律制定後既に20年を経過したというのに、移転のための作業は一向に進んでいない。」”

と、原発については表層的テーマで終わり響かなかったし、防災については、首都機能の移転についての考えを聞きたかったとあったが当方も東京一極集中には不安視しています。

片山善博・教授が、都知事選をつまらないものにした要因にメディア報道があったのでしょうね。
「東洋経済」サイトが掲載したAERA編集部の【官邸がおびえる小泉元首相の「次の一手」 終わらない「小泉劇場」】で、

”「郵政選挙であれほどヒートアップしたテレビ各局は今回、「公正な報道」という大義名分のもと、小泉氏の存在を徹底的に無視し、「小泉隠し」にまわった。代わりにコメンテーターたちは、細川氏の「政治とカネ」問題を執拗に指摘する。

そこでブレ始めたのが、細川陣営だった。強まるネガティブキャンペーンに、陣営は選挙方針をめぐって分裂し、それまで距離を置いていた民主党や労働組合に支援を要請する始末。1月31日夜、細川・小泉両氏がそろって国会議事堂前の反原発デモに参加した際の一幕が、その混乱ぶりを象徴していた
。」”

と、テレビ各局が「公正な報道」という大義名分のもと報道を抑制したことが「つまらいもの」の要因の一つですが、都知事選は権力のパワーゲームであり安倍政権の情報戦が巧みだったということです。

当方も、深谷隆史・自民党東京都連最高顧問のブログ『細川氏晩節を汚すか』に感化され、細川氏は佐川急便の一億円提供問題の禊が不可欠と思ったと書きました。
舛添氏には母親介護や政治資金でグレイなすキャンダル情報があり、「olivenews」の徳山勝氏のコラム『女性蔑視候補へのネガキャン』をも一読し、舛添要一氏の資質に疑問を持っています。
佐川急便問題も舛添氏のグレイ事案も何事も無く舛添氏優位で選挙戦が終わりましたね。

当方が、この度の都知事選の結果で印象的だったのは、泡沫候補と思えた田母神俊雄氏に若年層が60万票を投票した現実です。
田母神俊雄氏が若年層の支持うけ610,865票、投票率12.5%については、日本社会が変動している徴候ではないかと思われますね。
この件について、諸々の考察、所見がありますが、12日の朝日新聞の文化欄の『宇野常寛さん、都知事選読み解く』(若者に届かぬリベラル)は納得性があると思いました。

宇野常寛氏の【若者に届かぬリベラル】(全文は「付記」に転載)は、「ネット保守」と呼ばれる層、特に20代の4分の1が田母神俊雄氏に投票した事実は、リベラル勢力は自分たちの言葉が届かない若い層が多数いることを軽視してはいけない。マスメディアだけの問題ではないと思うという問題提起に、

宇野常寛氏は、

”「ある種の大衆蔑視

僕の考えでは、こうした若いネット保守層は甘く見られてきた。承認欲求が満たされない「かわいそうな若者」とレッテルを貼り、ただ軽蔑して済ませていた。しかし、ネット保守層はこうした「かわいそうな若者」にとどまらないのではないか。現実に東アジア情勢は緊迫し、北朝鮮の状況も混迷している。この状況下で、防衛、外交方針を具体的に打ち出す保守派に対して、リベラル勢力は数十年前から更新されない言葉で教条的かつ精神論的な憲法9条擁護論を繰り返すだけで、現実に存在する国民の不安に対応しようとしない。

 たとえば、自民党が国防軍の明記などを盛り込んだ憲法改正草案を発表したとき、多くのリベラルな憲法学者たちは「憲法とは何かを分かっていない」と自民党案をバカにした。もちろんこうした指摘自体は妥当だったと思うし、個人的にも支持します。しかし、リベラル勢力はこうして相手をバカにするだけで自分たちは具体的な、現実的な処方箋(せん)を出せていない。これでは、実際に国防に不安を抱いている人々を安心させるどころか、「この人たちは自分たちの話を聞いてくれない」と心を離れさせるだけです。

私見では、国家に軍事力が必要であるとことも、近隣諸国の反日ナショナリズムの問題も一通り認めた上で、保守派の掲げる「重武装化」や「強気外交」以外の現実的な選択肢を提示することが、リベラルの側にもっとも必要だと思う。性急な改憲や重武装化以外の手段を講じた方が、国防に結びつくというアピールが足りていない。その背景にあるのは、リベラル勢力のある種の大衆蔑視だと僕は考えています
。」”

と語り、リベラル勢力の劣化で社会環境が変容した現下に、ネット保守勢力に集中してしまうことに危機感をもち、インターネットからネット保守以外の政治文化を生み出すスキームが必要と語っています。

当方は、この宇野常寛氏の意見に共感を覚えます。
”「リベラル勢力は数十年前から更新されない言葉で教条的かつ精神論的な憲法9条擁護論を繰り返すだけで、現実に存在する国民の不安に対応しようとしない」”の問いの解が、国民は現実的になり、ネット保守を生む土壌と言えるでしょうが、それが田母神俊雄氏に向うことは社会の歪と思えますね。
また、インターネットはIT分野の世界から社会のインフラとなり、特異な位置付けから生活に根ざしたネットワークになり、ネット保守と言われるのも死語になると思うが我々が順応できるかでしょうね。

「付記」

『宇野常寛さん、都知事選読み解く』(若者に届かぬリベラル)
ー 現実の不安に無策 ネット保守に対抗できず ー

平和や公正を重視する「リベラル」の声は、若者に届いていない。東京都知事選の結果をそう読み解くのは評論家の宇野常寛さんだ。注目するのは、既存の保守層よりタカ派色の強い訴えをした田母神俊雄氏が得た61万票余り。届かないのには理由がある――。

 「ネット保守」と呼ばれる層に人気が高いとされる田母神俊雄氏の票数は衝撃的でした。マスメディアの出口調査によれば、投票した20代の4分の1近くが彼に投票しました。かなりの割合が「ネット保守」と考えると、リベラル勢力は自分たちの言葉が届かない若い層がこれだけいるということを軽視してはいけないと思う。マスメディアだけの問題ではないと思います。僕を含めた30~40代のインターネットに足場を持つ若いジャーナリストや言論人の言葉が、ネット保守の動員力に対抗出来ていない。

■背景にある種の大衆蔑視

 僕の考えでは、こうした若いネット保守層は甘く見られてきた。承認欲求が満たされない「かわいそうな若者」とレッテルを貼り、ただ軽蔑して済ませていた。しかし、ネット保守層はこうした「かわいそうな若者」にとどまらないのではないか。現実に東アジア情勢は緊迫し、北朝鮮の状況も混迷している。この状況下で、防衛、外交方針を具体的に打ち出す保守派に対して、リベラル勢力は数十年前から更新されない言葉で教条的かつ精神論的な憲法9条擁護論を繰り返すだけで、現実に存在する国民の不安に対応しようとしない。

 たとえば、自民党が国防軍の明記などを盛り込んだ憲法改正草案を発表したとき、多くのリベラルな憲法学者たちは「憲法とは何かを分かっていない」と自民党案をバカにした。もちろんこうした指摘自体は妥当だったと思うし、個人的にも支持します。しかし、リベラル勢力はこうして相手をバカにするだけで自分たちは具体的な、現実的な処方箋(せん)を出せていない。これでは、実際に国防に不安を抱いている人々を安心させるどころか、「この人たちは自分たちの話を聞いてくれない」と心を離れさせるだけです。

私見では、国家に軍事力が必要であるとことも、近隣諸国の反日ナショナリズムの問題も一通り認めた上で、保守派の掲げる「重武装化」や「強気外交」以外の現実的な選択肢を提示することが、リベラルの側にもっとも必要だと思う。性急な改憲や重武装化以外の手段を講じた方が、国防に結びつくというアピールが足りていない。その背景にあるのは、リベラル勢力のある種の大衆蔑視だと僕は考えています。

■ITが政治変える

今回の選挙で僕が支持したのは、30代のIT起業家、家入一真氏です。ほとんど何の準備もなく出馬し、ほぼインターネットのみの選挙戦を戦うことになりました。獲得票数は9万票足らずと、もちろん合格点にはほど遠い。でも、新聞やテレビが拾い上げられない若いマイノリティーの声を、インターネットから少しでも拾い上げることが今の政治には必要だという家入氏の確信は間違っていない。
 戦後的な中流家庭が崩壊した後、新しいホワイトカラー層とブルーカラー層が生まれ始めています。家族構成も労働環境も従来の政治を支えてきた人たちとは違う。こうした人々の声を拾う回路がネット保守勢力に集中してしまうことに、僕は強い危惧を覚えます。
 この10年でもっとも日本の都市の風景を変えたのは、まさに家入氏のようなIT起業家たちでした。政治文化は短期間では変わらないし、短期間には大した動きにはならないかもしれない。しかし家入氏のような勢力が今回の運動で得たネットワークを元手に、彼の本来の領域である民間サービスやNPO活動の領域で、政治的なコミットメントを増やしていくことは重要だと考えます。メディア上のポピュリズムではなく、生活に根ざしたネットワークの形成への移行が必要なのではないか。それがインターネットからネット保守以外の政治文化を生み出すための、中長期的な連動のかたちなのだと思います。



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