銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

緊張の電話

2009年07月03日 | のほほん同志Aの日常
午前10時半。
そろそろ朝イチのミーティングが終わって一息つく頃かな。
それでは、と…

ふんぎりつけて受話器をあげ、だいたいソラで憶えている番号に順にダイアル。
相手は、前の旅行会社でお世話になった手配先の業者さん。
目的は、「銀のステッキ旅行」設立のご報告――。

海外ツアーの企画手配、そして添乗が、前の職場での主な仕事。
航空会社やランドオペレーター(海外の現地手配会社)の方々には、
本当にお世話になりました。

たとえば、カナダ専門手配のAさん。
東から西までたいていの街を、自分の庭のように知っている。
添乗を前に、バンクーバーのお勧めレストランを尋ねたら、
「あ、あのレストランはあきません。最近シェフが変わって味が落ちてね。
この店のサーモンがお勧めですよ」と、さらさらっと地図を描いてくれた。

Bさんは航空会社の担当。
とくに近年、めまぐるしく変わる航空券の予約や発券システム。
「電話ではさっぱり分かりません。教えてください!」と泣きついたところ、
半ば呆れながらも、向かい合って2時間みっちり特訓してくれた。

暑い国なのにいつもきちんとYシャツ姿が印象的な、バリ島在住のCさん。
Cさんと一緒に企画したのが、バリ最大の祭り「ニュピ」を訪ねるツアー。
ところが出発1ヶ月前になって、総選挙のために祭りを自粛するよう政府から通達が。
蒼ざめる私に、Cさんは休日に山奥をバイクで走りまわり、
こっそり祭りの準備を進めている小さな村を見つけてきてくれた。
そして、にっこり。「リアルに『ウルルン滞在記』ですが、それでよければご案内します」


皆さん、私の数倍もキャリアを積んだ、その道のスペシャリスト。
そんな方々に、この私が起業だなんて、正直おこがましくて気恥ずかしくて…。

最初は小さくなりながら喋ってたのですが、
恥ずかしがってる場合じゃないと途中で気づき、
しだいにそっくりかえって声もでかくなり…。

電話口での皆さんの反応はそれぞれ。

「えっ…」 しばし絶句する人。
「えーっ!!!」 声が2オクターブぐらい高くなる人。
「はぁ」 …なかには、こちらが拍子抜けする人も。

それでも皆さん、最後には「おめでとう! 応援してますよ」 と。
仕事でも人生でも大先輩の方々へのご報告をすませたことで、
いよいよ後には戻れないよと、ファンファーレが心のどこかで鳴っていました。

今日のお電話で、一番うれしかったひとことがこちら。
「頑張ってくださいね。ちゃんと、以前と同じレートで出させてもらいますので」
一人前の旅行会社として見てもらえたようで、感慨深かった。

でも本当は、一人前どころか、まだオギャアと生まれてすらおりません。
残すは、旅行業の認可のみ。
それが終われば――

いよいよ銀のステッキ旅行、いきなりのよちよち歩きが始まります。




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