チャイムが鳴ると、キャンキャン鳴く(吠える)本能犬。
全くもう。
お客様をお迎えしてもまだ鳴いてる。
うちの看板犬には困ったものです。
本日も来店を告げるチャイムと犬の鳴き声で、賑やかな玄関先。
お客様の大きな声が、奥の部屋にも届いてきました。
「もう私もすっかり、、うんぬん」わんわん
「だからこれ、、、うんぬん」わんわん
対応したスタッフの声が重なります。
「え?バラですか?!」
そこで、奥の部屋にいた私も耳を研ぎすませました。
だって真夏日に「バラ」「薔薇」って?
確かに聞こえましたが、どうもその場には不似合いなワード。
一体どういうこと!
お尻がムズムズしてきて、やっぱり知りたい、何事か。
「今日はどうされましたか」
お客様のもとに出向くと、
「あら、あなたいたの。いえ、私も92歳になったから、
しんどいし、もうパンフレット止めてもらおうかと思って」
で、このバラは?
「いえ、おたくとのお別れにバラの花束でもと思って」
えーーーっ
ほんと、毎度お客様の心意気にはまいります。
今日も外は炎天下。
汗だくでご来店くださって、その目的が…
うちとのお別れだなんて、すごいな〜、ほんと。
だいたい薔薇の花束って、こんな時に使うものでしたっけ。
笑う。
もっと笑ったのは…
しばらくお話しをして、お茶を飲まれて、その帰り際、
「じゃあ、また秋ね、なんかいいのあったら又誘ってね」
又?
お客様の行動は奥深く、私たちの想像を軽く超えてくる。
まだまだ強い西陽が入る残夏の事務所に、
真紅の薔薇が、自己主張していました。