銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

三陸ツアーにて その② 鉄の町で聞いたこと

2014年03月31日 | のほほん同志Aの日常
三陸ツアーの初日、
お客さまを前にしての最初のご挨拶でのこと。

寸前まで何を話せばいいのか迷っていたのに、
いざマイクを持ったときに自然と出てきた言葉がありました。

「桜を見たり、紅葉を見たり、
 ツアーではふつう、見ることが中心になりがちです。
 
 でも今回は見るだけではなく、たくさん聞いていただきたい、
 そう思っています」

そうでした。
「見る」だけではたぶん不十分。
「聞きたい」…というのは私の本音でもありました。

だからこそ、バスには被災地をまわっているガイドさんに乗っていただき
大船渡市では仮設住宅を訪問したり、気仙沼では語り部さんのお話を伺ったりと、
ただ通り過ぎるだけではない、「聞く」ための時間を随所に設けていたのでした。

そうして実際に、いろんな方々の声を聞きました。
そのなかで、ずっと頭から離れない言葉があります。

「国のために何ができるのか」

もしこの言葉を発したのがテレビのなかの政治家だったなら、
なんだか厭な匂いがする空疎なことばとして
わたしの耳を素通りしていったでしょう。

でも、その言葉を発したのは、被災地の方でした。
岩手県の釜石で生まれ育ち、
これからも釜石で暮らしていこうとされている方でした。

「釜石が大きな被害を受けたのは今回が初めてじゃないんです。
 先の戦争でも、製鉄所があったから艦砲射撃で狙われて
 甚大な被害を受けたんですよ」

「でも当時、釜石の復興は速かった。
 国策としても鉄が必要だから、
 どんどんお金も人も集められて、ほんとうに短い期間で復興できたんですよ」

でも今は…とつづけられます。

「けっきょく、国のために何ができるのか。
 いま、釜石にはそれがない。
 三陸にはそれがない。だから…」

阪神大震災のときとはまったく違うんです、と断言されました。

「ずっと役所で勤めてきました。
 一度でいいから人口が増えてほしいと思いましてね。
 でも私が勤めている30数年間、ただの一度も増えることはなかった。
 ずっと、減る一方でした。」

最盛期には人口9万人を超えたという釜石市。
けれども、製鉄所の合理化縮小に伴って減りつづけ、
高炉が廃止された今では3万7000人足らずだそうです。

一方、私の生まれ育った神戸市の人口は150万人あまり。

人口の差に顕著にあらわれているように
同じ日本のなかに、強い地域と弱い地域があり、
今回の震災では、弱い地域が大きな被害を受けたのだということ。

私はそれを、強い地域から遠くに見ているんだということ。

「神戸では…」
「阪神大震災のときは…」

お話を聞くためのよりどころにしていた自身の小さな体験。
かんたんに並べおけるものではないのだよ、そうやんわりと突き放されたようでした。

でも
聞けて、ほんとうによかった。

「お話、胸にしみました。ありがとうございました」

日本の製鉄史をいまに伝える「鉄の歴史館」の館長さんに
深々と頭を下げて、かつての鉄の町をあとにしました。


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三陸ツアーにて その① 銀ステ市場ご報告 

2014年03月30日 | のほほん同志Aの日常
怒涛の1週間が終わりました。

いろいろあったなかで、きょう日曜日にいたるまで重い余韻を残しているのが
月火水と2泊3日で訪ねた東北復興支援ツアーです。

訪ねたのは、宮城から岩手にかけてつづく三陸海岸。
松島、石巻、気仙沼、陸前高田、大船渡、釜石…
津波が襲った三陸の町と、かつて町だったところです。
(写真は陸前高田。高台移転のためのベルトコンベヤー)

ご参加は決して多くはなく、一桁の数のお客さまでした。
ふだんの国内ツアーであれば、じゅうぶん余裕をもってご案内できる人数です。

けれども3日間のツアーを終えて伊丹空港に戻ってきたとき、
これまで感じたことがないほどの疲労感におそわれ、私はふらふらでした。

足は引きずるように重く、とても家まで帰りつけない…と
空港ホテルに予約の電話をいれたほどです。
けっきょく満室で断られ、なんとか電車を乗りついで帰宅したのですが。


今回、私の仕事は「添乗員」ではなかったように思います。

では、なんだったのでしょう。

…配達人?

この三陸海岸のツアーに先駆けて
銀のステッキでは東北大震災への寄付金を募るために
会員の皆様から寄せられたお品で、フリーマーケットを行ないました。

たくさんのお品のご提供があり、
また、たくさんの方々にお買い上げをいただきました。

「現地の方に直接、渡してきてくれるんでしょう。お願い」と
何も買わず、ただ現金を預けてくださる方まで、いらっしゃいました。

仙台空港では、24人乗りの貸切バスが待っていました。

用意した座席表には、数名のお客さまと私の名前。
空席の目立つ車内でしたが、
寄せられたお金のふくらみを封筒の上から確認しながら
私は、50人も60人もの方々とご一緒しているような気持になっていました。

大勢の方の思いを受けての三陸ツアーだったから。

でも、伊丹空港で感じた疲労の理由は、
きっとそれだけではありません。

夜なのにネオンで明るく、パリッとした服装の人があふれ、
電車が10分も待たないうちに、どんどんやってくる大阪や宝塚の街。

そんな明るく眩しい自分の街に戻ってきて、
三陸で目にし、聞いたことを、どう受け止めていけばいいのか。
周りの人たちに、これからどう伝えていけるのか。

暗い夜だった海岸線の町とあまりに違う風景にとまどいながら、
でも、すぐになじんでいく自分も感じながら、
仕事は終わったのではなく、これから始まるのだということに気づいて
その重さに、足をひきずっていたのだと思います。


【ご報告】

フリーマーケットの売上金は
今回、訪問してお話を伺った岩手県大船渡市の
仮設住宅の自治会の皆様と、
4月に全線復旧を果たす三陸鉄道に寄付いたしました。

ご協力をいただいた皆様、ありがとうございました。


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巡礼スパイラル

2014年03月29日 | Hの生きる喜び、それは
先日、銀のステッキでは初めてとなる熊野古道歩きに
皆様をご案内して参りました

当時のまま残る石畳は人々の知恵
石段だと、歩くたびに大きく足を上げないといけませんが
斜面の石畳だと、そんな必要はありません
そろそろと足を前に出せば、自然と少しずつ標高が上がり
石段ほど疲れず歩けるのです
また、土道だと大雨でどろんこ道になりますが
石畳はその危険性も回避してくれます

伊勢神宮から続く道を、何とか歩きやすくしようと
考えられた古人の知恵の証が熊野古道なのです

そんな話を語り部さんから聞きながら
一歩、また一歩と進んでいき
全員で無事峠越えを果たしました!

気づけば私、最近の添乗と言えば
巡礼・寺モノほとんど

2年前にスタートした四国巡礼、
結願を先に見ながら、四国巡礼半ばで西国巡礼がスタート
月1回の四国巡礼と西国巡礼をダブルでお参りする日々
そうこうしているうちに四国が無事結願を迎え
ほっと一息つくのもつかの間

再び、四国巡礼2014がスタート
今年2014年は、
弘法大師が四国巡礼を開創して1200年という
節目の年にちなんで、各寺院で御開帳やイベントが
いっせいに催されこれを逃す手はないからです

再び、西国と四国のダブル巡礼の日々が戻ってきました

そして、先日の熊野古道歩き
一度歩いてみると、また次も、またその次も…と
シリーズでご案内したくなるのが私の悪い癖
ひそかに企んでいます

四国、西国、熊野古道…

それだけでも十分のようですが
欲を言えば、四国の別格霊場や奥ノ院、
新西国巡礼や、関西花の寺、など
実は、他にも、いっぱい、いっぱい
皆さまとまわりたい道はあるのです

気づけば、自分自身が巡礼スパイラルに陥ってしまい
抜け出せなくなっているようです

であれば、こんなに恵まれたことはありません

なぜって、昔は巡礼ひとつ、命を懸けて廻っていたのですから

―終わりなき巡礼道

いつしかこれが私のライフスタイル

出口は当分先で結構です
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真夜中の出航 ~クィーンエリザベス号~

2014年03月23日 | のほほん同志Aの日常
4日前の朝のこと。

添乗やら営業活動やらで、
スタッフの出入りの激しい銀のステッキ。

毎朝のミーティングで、
その日のそれぞれの動きを全員で確認するのが恒例です。

「今日はお昼前に事務所を出て、
 神戸港までクイーンエリザベス号の見送りに行ってきます」

担当スタッフの言葉に、

いいなぁ…

羨望のまなざしが集まりました。

「わたしもお見送りに行きたいです!」

思わず声になりました。

…と、「どうぞどうぞ」

あっさり快諾?!

かと思いきや、

「出航は夜中の12時だから、仕事終わってから勝手にどうぞ」

ですって。

…ん?

でも、それも案外いいかも。

「じゃ、みんなで神戸でごはん食べて、見送りに行こうか」

わぁ、それいいですね!!

珍しく、あっという間に話がまとまって
各々、営業先から夜の神戸に集まることになりました。


――そうして中華をたらふく食べたあと
皆でくりだした夜のポートアイランド、神戸港。

巨大です!
迫力です!
…そして、ため息が出るほど優雅です。

港の向こう側のポートピアホテルも、オリエンタルホテルも
なんだかチャチに思えるほどの、豪華さ、重厚さ。

もう夜の9時をまわっているというのに
ひとめクィーンエリザベス号を見に駆けつけた人で、真っ暗な港は大賑わいです。

ほかのスタッフも興奮気味に、わーわー言ってきました。

「これに比べたら、飛鳥はたこフェリーですね!」 …うん。

「微動だにしてませんね。おがさわら丸と違って、これなら酔いませんね!」 …うん。

「これじゃあ、紙テープ持ってきたところで、デカすぎて届きませんね!」 …うん。


こちらは、なんだかもう、言葉になりません。

この巨大な船のなかに乗船されている○○さんは
小さな小さな方なのです。

海外添乗でご一緒すると、入国審査の台が高すぎて、
いつも審査官を見上げるように、伸び上がるように、
パスポートを渡しておられていた、その後ろ姿がよみがえりました。

オーロラの旅にご一緒したときは
もこもこしたスキーウェアを着込むと、もうペンギン歩きしか身動きがとれなくて
脱ぎ着するたびに、私が前にまわりこんでは
チャックを上げたり下げたりさせてもらいました。

なんとかの子には旅をさせよ、とは言いますが

とても強い方だし、おひとりで大丈夫とは分かっていますが

あ~、ご一緒したかった! 
せめて、次の寄港地の長崎までだけでも (え?)

後ろ髪をひかれる思いで、港をあとにして、
自宅にたどりついたのが、深夜0時。


巨大建築でもあるかのように微動だにしなかったクィーンエリザベス号は、
そのころ、ぶるんと身震いし、神戸港を出港したはずです。

小さなお客さまの、55日間におよぶ船旅がはじまりました。



☆クィーンエリザベス号、本日、上海沖を航海中です☆

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え?まさかのそれですか!

2014年03月21日 | 見かけだおしNのつぶやき
二日前の朝のこと・・・

「携帯持ったか?」
「事務所の鍵持ったか?」

はいはい、持ちましたよ
うるさいなぁ~

毎朝、恒例の出勤前のやりとり

そこに今朝は
「紙テープ持ったか?」が加わりました

「紙テープ???」

「ちょっと待って、待って」

慌てて鞄の中を見て、

「アカン、忘れたわ」

・・・・

「ってあるかい!」

はい、朝の忙しい時間です
我が家の玄関先で
おっさんとおばはんが
小ネタの披露

あ~我ながら馬鹿だねぇ~

しかし、馬鹿は承知で、今日は仕方ないのです
家族の者にも、ここ数日、私の緊張感が伝わっていたのでしょう

そうです【クィーンエリザベス号】です

いよいよ今日、神戸港よりお客様が旅立たれるのです
しかもおひとりで!
しかも銀ステ手配で!
しかも御歳○●歳で!

こちらもクルーズ初体験で全てが緊張の連続でした

実は、この緊張感から一刻も早く解放されたい思いもあって
今日の日を首を長くして待ち望んでいました

こんな長旅、大冒険に出られるのですから、
ツワモノ?!のお客様のはずですが・・・

でも、

逆瀬川から神戸港まではどうもご不安のようで
駅から待ち合わせて、ご一緒しました

御馴染の駅前のアピアで待ち合わせ、椅子に腰かけ、

「あなた、まずは貴重品のチェックしてよ」

そうですね、万が一があっても今なら
ご自宅へ取りに戻れますもんね

「パスポート、Eチケット、保険書、クレジットカード・・・」

ギュウギュウの鞄から、いちいち取り出され
OK、OK、OK・・・
念入りです

「万事OK!」
そんな私の一言で、ほっと安堵の顔になられました


さて、ちょうど昼時とあって、三宮で、
お昼をご一緒することにしました

「船では洋食が多くなりますし、
今回のルートは、香辛料の国(西アジア圏)が多いですから
お蕎麦か、おうどんでも、いかがですか?」と私

これからの洋上での長旅を思い、
ダシのきいた麺類でも、とお蕎麦屋にご案内しました

もう一度いいますが、
気を利かしたつもりで蕎麦屋に入りました

「何になさいますか?」と私

「そうね~私はカレーうどん!」と即答

「はい、はい、カレーね、香辛料のたっぷりきいた」

・・・・

「ってなんでやねん!ダシちゃうんかい!!」

本日二度目の小ネタ劇場

今から、ベトナム、スリランカ、インド、アラブ・・・
確か、そんな航路だったはず

日本での最後の晩餐(昼餐)に

カレーかい!!それ以前にうどんかい!!

「私、昔からカレーうどんが好きなのよね~」

って今そんな情報いらんし~

ご丁寧にお店の方から白い前かけを掛けられ
こじんまりとカレーうどんをハフハフされるお客様

かの豪華客船クィーンエリザベス号に今から乗船されるお客様

ハフハフ
前かけにカレーが飛びました
ハフハフ
動じず


あかん、カッコよすぎます



「ありがとうね、私楽しんでくるね」
ぎゅっと小さな手を握りしめました
そして、すいこまれるように巨大な船内へ
大きなリュックを背に一人きりで行かれました

「その土地でしかないものを見たい、聞きたい、感じたい」
そう仰っていました
食もしかり・・・ですね

この方ならきっと大丈夫、今になって確信するとは・・・

船上で80歳を迎えられます

■銀ステ市場開催中!!■
ご来店お待ちしております

 日時:2014年3月20日(木)~23日(日)
    10:00~17:00
 会場:銀のステッキ旅行・事務所内
 交通:阪急今津線「逆瀬川駅」徒歩5分


収益のすべてを岩手・三陸海岸の旅(3月24日発)で
現地の方に手渡ししてまいります
ご協力のほどよろしくお願いいたします

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