午前10時半。
そろそろ朝イチのミーティングが終わって一息つく頃かな。
それでは、と…
ふんぎりつけて受話器をあげ、だいたいソラで憶えている番号に順にダイアル。
相手は、前の旅行会社でお世話になった手配先の業者さん。
目的は、「銀のステッキ旅行」設立のご報告――。
海外ツアーの企画手配、そして添乗が、前の職場での主な仕事。
航空会社やランドオペレーター(海外の現地手配会社)の方々には、
本当にお世話になりました。
たとえば、カナダ専門手配のAさん。
東から西までたいていの街を、自分の庭のように知っている。
添乗を前に、バンクーバーのお勧めレストランを尋ねたら、
「あ、あのレストランはあきません。最近シェフが変わって味が落ちてね。
この店のサーモンがお勧めですよ」と、さらさらっと地図を描いてくれた。
Bさんは航空会社の担当。
とくに近年、めまぐるしく変わる航空券の予約や発券システム。
「電話ではさっぱり分かりません。教えてください!」と泣きついたところ、
半ば呆れながらも、向かい合って2時間みっちり特訓してくれた。
暑い国なのにいつもきちんとYシャツ姿が印象的な、バリ島在住のCさん。
Cさんと一緒に企画したのが、バリ最大の祭り「ニュピ」を訪ねるツアー。
ところが出発1ヶ月前になって、総選挙のために祭りを自粛するよう政府から通達が。
蒼ざめる私に、Cさんは休日に山奥をバイクで走りまわり、
こっそり祭りの準備を進めている小さな村を見つけてきてくれた。
そして、にっこり。「リアルに『ウルルン滞在記』ですが、それでよければご案内します」
皆さん、私の数倍もキャリアを積んだ、その道のスペシャリスト。
そんな方々に、この私が起業だなんて、正直おこがましくて気恥ずかしくて…。
最初は小さくなりながら喋ってたのですが、
恥ずかしがってる場合じゃないと途中で気づき、
しだいにそっくりかえって声もでかくなり…。
電話口での皆さんの反応はそれぞれ。
「えっ…」 しばし絶句する人。
「えーっ!!!」 声が2オクターブぐらい高くなる人。
「はぁ」 …なかには、こちらが拍子抜けする人も。
それでも皆さん、最後には「おめでとう! 応援してますよ」 と。
仕事でも人生でも大先輩の方々へのご報告をすませたことで、
いよいよ後には戻れないよと、ファンファーレが心のどこかで鳴っていました。
今日のお電話で、一番うれしかったひとことがこちら。
「頑張ってくださいね。ちゃんと、以前と同じレートで出させてもらいますので」
一人前の旅行会社として見てもらえたようで、感慨深かった。
でも本当は、一人前どころか、まだオギャアと生まれてすらおりません。
残すは、旅行業の認可のみ。
それが終われば――
いよいよ銀のステッキ旅行、いきなりのよちよち歩きが始まります。
そろそろ朝イチのミーティングが終わって一息つく頃かな。
それでは、と…
ふんぎりつけて受話器をあげ、だいたいソラで憶えている番号に順にダイアル。
相手は、前の旅行会社でお世話になった手配先の業者さん。
目的は、「銀のステッキ旅行」設立のご報告――。
海外ツアーの企画手配、そして添乗が、前の職場での主な仕事。
航空会社やランドオペレーター(海外の現地手配会社)の方々には、
本当にお世話になりました。
たとえば、カナダ専門手配のAさん。
東から西までたいていの街を、自分の庭のように知っている。
添乗を前に、バンクーバーのお勧めレストランを尋ねたら、
「あ、あのレストランはあきません。最近シェフが変わって味が落ちてね。
この店のサーモンがお勧めですよ」と、さらさらっと地図を描いてくれた。
Bさんは航空会社の担当。
とくに近年、めまぐるしく変わる航空券の予約や発券システム。
「電話ではさっぱり分かりません。教えてください!」と泣きついたところ、
半ば呆れながらも、向かい合って2時間みっちり特訓してくれた。
暑い国なのにいつもきちんとYシャツ姿が印象的な、バリ島在住のCさん。
Cさんと一緒に企画したのが、バリ最大の祭り「ニュピ」を訪ねるツアー。
ところが出発1ヶ月前になって、総選挙のために祭りを自粛するよう政府から通達が。
蒼ざめる私に、Cさんは休日に山奥をバイクで走りまわり、
こっそり祭りの準備を進めている小さな村を見つけてきてくれた。
そして、にっこり。「リアルに『ウルルン滞在記』ですが、それでよければご案内します」
皆さん、私の数倍もキャリアを積んだ、その道のスペシャリスト。
そんな方々に、この私が起業だなんて、正直おこがましくて気恥ずかしくて…。
最初は小さくなりながら喋ってたのですが、
恥ずかしがってる場合じゃないと途中で気づき、
しだいにそっくりかえって声もでかくなり…。
電話口での皆さんの反応はそれぞれ。
「えっ…」 しばし絶句する人。
「えーっ!!!」 声が2オクターブぐらい高くなる人。
「はぁ」 …なかには、こちらが拍子抜けする人も。
それでも皆さん、最後には「おめでとう! 応援してますよ」 と。
仕事でも人生でも大先輩の方々へのご報告をすませたことで、
いよいよ後には戻れないよと、ファンファーレが心のどこかで鳴っていました。
今日のお電話で、一番うれしかったひとことがこちら。
「頑張ってくださいね。ちゃんと、以前と同じレートで出させてもらいますので」
一人前の旅行会社として見てもらえたようで、感慨深かった。
でも本当は、一人前どころか、まだオギャアと生まれてすらおりません。
残すは、旅行業の認可のみ。
それが終われば――
いよいよ銀のステッキ旅行、いきなりのよちよち歩きが始まります。