家で取っている地方紙の論説欄から--
<年老いた私が ある日 今までの私と違っていたとしても どうかそのままの私のことを理解してほしい>
<服の上に食べ物をこぼしても・・・同じ話を何度も繰り返しても・・・あなたの人生の始まりに私がしっかり付き添ったように 私の人生の終わりに少しだけ付き添ってほしい>
これは、シンガーソングライター、樋口了一さんの「手紙」という曲の歌詞なのだそう。論説は、このあと介護について書きつづられていくのだけれど、私は年老いた親が子に語りかけていくせつなさに、心が震えてしまった。
人は、誰しも年老い、体の自由もきかなくなり、この世から消えていく準備を始めなくてはならなくなってしまう。 生まれたばかりの赤ん坊の時の、天使みたいな笑い顔、生きることが楽しくて仕方ない小さな子供時代をへた後の「戦い」としかいいようのない、苦しみや喜び。 人生とは、楽しい映画みたいなものではない。 そうした葛藤や時々の幸福を通り過ぎた後、老年期が、心暖まるものであれば、と誰しも願っているに違いない。
老いることは、悲しいかもしれない。けれど、晩秋の紅葉がこの世のものとも思われない、華麗な色彩を溢れださせるように、人も散ってゆく前に、素晴らしい心の風景を見ることができるはずだと思うのだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます