ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

ユーゴ修道士と本を愛しすぎたクマ

2016-04-11 20:37:40 | 本のレビュー

素敵な本が、蔵書の仲間入り!

「ユーゴ修道士と本を愛しすぎたクマ」ケイティ・ビービ著。光村教育図書。
 

題名からも、推察される通り、写本を作る修道士と修道院が舞台。そして、本が宝石のように貴重だった中世が舞台なのですが、修道士ユーゴは、大切な書物をなんと、クマに食べられてしまいます。

おかしいのは、クマが本が「美味」(!)であることに目覚め、またもや大切な本をねらっていること。 ユーゴは、クマに食べられてしまった本の代わりを他の修道院に返さなけらばならないため、大急ぎで写本を作らなくてはならないはめに。
ここで、中世の写本づくりが、羊皮紙の作り方、インクの作り方から、丁寧にイラスト入りで説明され、カリグラフィー好きには、目が離せないのであります。
ページの文章の最初には、昔ながらの飾り文字が描かれるという、心にくい演出までされています。 イラストレーションは、S・D・シンドラーという方の手になるものですが、昔ながらの写本の意匠を取り入れたイラストや、飾り文字からつる草文様や熊の奇想天外な姿がとびだしてくるさまなんて、これこそ現代版「ヨーロッパ中世の美意識」。

とっても、好みにあう絵本です。題材も、イラストも、デザインも。うっとりと、何度もページを繰ってしまいました。
そして、なんと、クマが修道院の大切な本を食べてしまった、という珍事件は中世時代、本当にあったエピソードだそう。この逸話をふくらせて、ケイティさんは、絵本を書いたことになるのですが、実はこの女性も、作家というより、大学で歴史を教える学者なのですね。

素敵な絵本が、「ノエルの本棚」にやってきました。

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