ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

手紙教室

2016-03-09 15:18:19 | ある日の日記

同人誌のサークルに入った頃から、手紙を頂く機会が増えた。

この手紙というのが面白い。実は、もともと紙やステーショナリーが大好きな私にとって、手紙も好きなテーマ。
昔は、フィレンツェで買った伝統工芸の手作りのレターセットやこの街独特の花模様のカードなどをせっせと愛用していたのだが、そこまで凝るより、大事なのはやはり中身!

「心」のない手紙はすぐ見破られるし、ありきたりのことを書いても面白くもなんともない。パソコンのEメールなら軽いノリで、それとなくまとめることができても、手紙はとなると話は別。 といっても、字がとっても下手な私は、便箋にパソコンで文章を印刷してなどいるのだから、「心がこもっていない」と言われても、仕方ないかも。


失礼のないように、といっても押しつけがましくなく、温かみのある手紙を書けるようになると、どんなにいいだろうと思いながら、いつも「手紙タイム」しているのだけど、自分のこと以上に興味深いのが、頂く手紙。
たいていの方は、シンプルな白封筒か、花模様の封筒という体裁で、黒いボールペンで文字を書いてくださるのだが、あたりさわりのない文章にも、その方の人柄が感じ取れるのが楽しい。
感受性の豊かな方だな、とかとぼけた味わいがあって面白いというのもあれば、何だかこの方は四角四面だなあ、というものもあるLetter.

ここでふと思い出したのだが、確か三島由紀夫が「手紙教室」とかいうユーモラスな手紙の書き方指南の本を出しているのを、書店で見た記憶が(実は、読んでいない)…。
ずっと昔には、文通というコミュニケーションが一大文化だったし、平安時代の王朝文化では、香をたきしめた紙に和歌とか花さく枝を添えて贈ることが美意識の先端だったりしたこともあるのだ。 この現代でも、「手紙の書き方教室」というカルチャー教室があれば、人気が沸騰するのでは? なんて。


<追伸>
若い頃、欧米の翻訳ミステリーや怪奇小説を偏愛していました。そこで、小道具として登場するのが、謎を秘めたり、、奇妙だったりする手紙。
シャーロック・ホームズものの冒険譚には、貴族から寄越された手紙の描写が出ていたり、A・クリスティーの本には、「蜘蛛の巣のようにもつれた、細いペンで書かれた手紙」なるものがあったり、と「一体、どんな手紙なんだろう」と好奇心を刺激されたものです。
今は、広く見られるようになった赤い封蝋や押印のスタンプも、当時はどんな使われ方をしていたのでしょうか?
こんな偏愛(?)趣味のせいで、「Jからの手紙」という怪奇小説もどきの短編を書いたこともありました。