虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

「失われた時を求めて」が漫画化だそうで

2007年09月27日 | 
 私としては、この本は当時の風俗が良くわかる資料的に正確な映像化があればな~とか思っていたのですが、どうなるでしょうねえ。漫画では紙上の絵のみなのが残念。
 あの本のスノッブ風味の横溢はどうも実質第一な家庭環境で育成された私にはピンと来ないところがあって、読んでいてもどかしい感じが最後まで付きまとっちゃってました。コスチューム・プレイの映画も巧くあの小説とリンクするのが見つからない。絵だけでなく音があれば話し方なんかも、もちろんフランス語はわからないけど、聞けば昔のジャン・ギャバン、アラン・ドロンの映画と比べて感覚つかめるかな、と思ったのです。
 大英帝国時代の上流社会の感覚も今ひとつ腑に落ちないところがあって、クリスティの小説の描写とか、映画の「ゴスフォードパーク」漫画の「エマ」などで、その辺拾ってる処なんですが。
 ただ「資料的に正確な映像化」では面白くはないかもしれませんが、雰囲気のわかる漫画になっていると嬉しいなあ。 

 最近「カラマゾフの兄弟」の新訳が出て人気らしいです。本屋で少し読んできましたが、字も大きいし言葉が今風で読みやすそう。家に帰って昭和30年出版(誰が買ったんだろう)の3段組で字が小さく行間の狭い全1冊の「カラマゾフ」を15年ぶりくらいに読みなおし。昔読んだ文体には馴染があってそれなりに読みやすいけど、新訳買ってみようと思う。年取りますと、あの悪魔的にパワフルな親父から受ける印象がかなり変わっていました。

 スティーヴンソンの「自殺クラブ」だったかが再刊した時に読んで違和感バリバリだったのは、訳が古いためか、登場人物の高等遊民的な生活している男性が「~でげすな」などという話し方をしていたことです。話し言葉で人物の階層的なポジションや教養レベルなど表現されますが、それも世代で感覚が変わっていってしまいます。

墨攻(2006/中国、日本、香港、韓国)

2007年09月27日 | 映画感想は行
A BATTLE OF WITS
監督: ジェィコブ・チャン
出演: アンディ・ラウ   革離
   アン・ソンギ    巷淹中
   ワン・チーウェン    梁王
   ファン・ビンビン    逸悦
   ウー・チーロン    子団
    チェ・シウォン    梁適

 紀元前370年頃の戦国時代、大国・趙が送り込んだ猛将・巷淹中率いる10万の大軍に、全住民わずか4千人の梁城は落城寸前の危機に瀕していた。梁王は攻撃をせずに守り抜く“非攻”を信念とする集団・墨家に援軍を求めるが、やって来たのは粗末な身なりの革離ただ1人だった。

 正直余り期待していなかったのですが、その分お得に感じた映画でした。
 アンディ・ラウかっこよかったし。ちゃんとアクションも見せるし、城と周囲の位置関係掴むのは難しかったけど人もいっぱいでダイナミックな戦闘シーンが続いたし。逸悦が強そうよりも綺麗が重点なのがちょっと残念かも。
 原作(酒見賢一)読みます。まあ、酒見賢一ですから映画ほどのスペクタクルがあるかはわからないが、この設定は面白い。
 権謀術数の戦国時代に、見返りを受けずにただ平和を希求するがゆえに、戦を「守り抜く」ことに力を貸す。そのために戦のスペシャリストになるという、一見不思議な墨家。ぶっちゃけてしまうと、手を貸した相手が敵よりも卑劣で品性下劣であったので、ムカッとするラストを迎えねばならないのだ。
 理想が現実に負け、死んで欲しくない人間がバタバタ死に、主人公は結果的に敗北したと思わざるを得ない。
 とはいえ、後味は悪くない。人間の救いがたい様相も、そうあれかしという姿も、結局人は様々なのである。

 アンディ・ラウはひさびさしみじみい~な~、と思ったが、この映画でもアン・ソンギ素敵でした。やっぱり主人公の意思や行動を受ける側に重みがあるとよろしいです。同じ意味でワン・チーウェンも。