虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

クローサー (2004/米)

2005年05月26日 | 映画感想か行
CLOSER
監督: マイク・ニコルズ
出演: ジュリア・ロバーツ   アンナ
   ジュード・ロウ    ダン
   ナタリー・ポートマン    アリス
   クライヴ・オーウェン    ラリー

 ロンドンの街で、作家志望のジャーナリスト、ダンはニューヨークから来た若い娘アリスに会い、やがて同棲生活を始める。本を出版したダンは本の写真を撮るためにフォトグラファーのアンナに出会い、心惹かれる。その半年後、アンナの名前でダンはネットチャットで騙した医師のラリーを水族館へ誘い出すが、そこには本物のアンナがいた。

 宣伝コピーが
「カラダを重ねるたび、
 唇が嘘を重ねる。」

 で、映画館予告編もちょっぴり深刻そうで、舞台の映画化だというし、男女の愛憎のもつれ、長ゼリフ激突劇かな、と思ってました。激突はしてましたが、長ゼリフでなくて単語をぶつけ合うような会話のほうが利いた、笑った映画です。
 個人的にツボにはまりまくり、映画館の最後列で体震わせて声を殺して笑ってました。周りが静かなんで、とても声出して笑えなかったもので。ああ苦しかった。
 ジュード・ロウとクライヴ・オーウェンのちょっとだけ世代のずれた美男二人が、ことセックスと女性に対する嫉妬(というより彼ら自身のプライドの投影)の点では幼児性丸出しにしてほんとに「駄々をこねる」と形容するにふさわしい取り乱し方をするシーンがそれぞれのパートナー相手に繰り返される。おまけに結末が二人の女性がジュード・ロウとの出会いのシーンの言葉へ納まっていくのなんか、もう転げまわって笑いたかった!
 そう、この映画では結局主体性を持つのは女性。本音のところで俺様主義をむき出しにしてしまう男たちは、彼女たちを追いかけたり、傷つけたりする自分の滑稽さを本当にはわかってない。この男たちは結局芯のところでガキからも、旧思想からも脱皮できてないんだねえ!それとも永遠に男ってそういうもの?ジュリア・ロバーツもそう言ってたけど。
 ジュード・ロウって、この人は一頃のトニー・カーティスみたいに綺麗な自分を肯定した上でカリカチュアライズできる人材になったのかな。クライヴ・オーウェンの中年ぽいくさみったらリアルすぎて悲鳴が出そう。すごい!!!
 ジュリア・ロバーツの持ってるどことなく硬いムードもこの役にはあってると思う。だから、私には彼女の選択が無理なく納得できた。ナタリー・ポートマンのふっくら顔は泣き顔が子どもっぽくて良かった。女性のほうが性懲りなくても、潔くて小気味よかった。

 ただ、時間の経過の見せ方が今ひとつかなあ、と思った。セリフから年月の経過をわからせるのが多かったのは、元が舞台だから当然かもしれないけど、せっかく映画なんだからもっと見せ方があるんじゃないのかな。でも昨日は気が重いことがあって、3時過ぎに仕事放り出して映画に行ってしまったのだが、なんとなく肩が楽になって帰ってきました。しかしこのツケは今日に回ってくる…