虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 2

2012-06-28 09:54:34 | 子どもの個性と学習タイプ

IMG_0585.jpg

「サークル活動をしているのですが、どうも行き詰まりを感じているので

アドバイスをいただきたいです」という相談をいただいて

活動の様子を見にうかがう機会があります。

するとひとりひとりの子からは能力の高さが感じ取れるのに、

それが場のなかで発揮され、大きく展開していかずに

潜在したままくすぶっているように感じることがあります。

 

一方で虹色教室でグループで活動していると、

知力や社会性の発達にハンディーを持っている子であっても

いつの間にか個性的で高い能力を人の輪のなかで

開花させていく姿を目の当たりにしています。

 

どこがどう違うのかと考えるうちに

ひとつハッと思い当たることがありました。

 

いろいろあるうち最も影響が大きいと思われるポイントは、

 

「親御さんがわが子ではない子の相手をしてあげているかどうか」

 

です。

 

その場の雰囲気が、

自分の子以外の子にも優しいまなざしや手間をかけてあげることができるような

ものかどうかにかかっているな、と思っているのです。

 

親御さんの目がわが子ばかりを追っているときに、

子どもはまるで昆虫の標本箱にピンで止められた昆虫のように

身体も頭も心も身動きできない状態になっています。

 

「ママ友同士」という閉鎖的な関係のなかでの「よその子」ではなく、

年上の子、年下の子、ハンディーを持っている子、ちょっと乱暴で気難しい子といった

さまざまな子たちと大人が、

気持ちと気持ち、言葉と言葉を通い合わせているかどうかと、

子どもの視野の広がりと発達の伸びの大きさは多いに関係していると

実感しているのです。

 

子どもはお母さんが台所仕事をすれば、

ままごとに関心を持ちますし、

お父さんが野球好きなら野球に興味を持ちますよね。

 

人間関係だってそれと同じような面があって、

身近なお母さんが自らよその子の相手をしていけば、

子どもはそれを真似て、お友だちに興味を持つし、

どのように関わっていけばいいか学びます。

よその子の名前を呼びかければ、自分もお友だちの名前を

呼んでみようと思います。

 

子どもたちは、子ども同士で遊びながら

さまざまなものを交換しています。

それは、おもちゃや手紙のような目に見えるものだけではありません。

 

「不思議だなぁ!」と思う好奇心。

「どうしてなぜだろう?」と理由を問う心。

「きっと~だからでしょ」と原因を探求する思い。

「こうじゃないかな?」と予測するということ。

 

そうした頭の使い方、感情のエネルギーの高め方のひとつひとつをお友だちからもらい

お友だちに与えているのです。

写真は、わたしが提案したビー玉を紙に貫通させる方法を

みんなで考えているところです。「われこそは」

と思う子が、自分のアイデアを試しています。

それに引き寄せられて、

前のめりになりながら、「こうしたらいいんじゃない?」「これはきっとこうなんだ」

と意見が飛び交っています。

その熱意に支えられて、

紙にビー玉を通す方法を考えることから、

ビー玉が自動的に紙の向こうに行って

後から戻ってくる仕組みを考えることに移っていってます。

 

 

次回に続きます。


子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 1

2012-06-28 07:11:08 | 子どもの個性と学習タイプ

『ピーチ』で九州に行ってきました。

大阪と九州の往復の運賃が7千円台ですから、

本当に安い……でも、機内の通路も座るスペースも狭くて狭くて、どこにいても自分の身体が場所にピチピチサイズ。

このごろ中年太りが進んでいるわたしに向かって、「健康のためにもダイエットせい!」と忠告されているような

旅行でした。斜め前に座っていた1、2歳の子ども連れの方も

人と人が密着したスペースで子どもの声が大音響で響き渡るためすっかり恐縮して、

周囲にぺこぺこ頭を下げながら「帰りは新幹線にします」とおっしゃっていました。

『遊びのアトリエ』のスタッフの方々と交流を兼ねて、

それぞれ十組前後の親御さんたちと、

「大人のための勉強会」「ベビーのレッスン」「算数のワークショップ」「工作のワークショップ」の

4つをバタバタとこなしてきました。

 

ひとつひとつ充実した思い出深い時間になってよかったです。

 

レッスンの様子を見てくださっていた遊びのアトリエのジジさんから、

「子ども同士がうまく関わりあっているのがいいね。循環しているのがいい。そこをこちらも見習わなくちゃいけないね」

と感想をいただきました。

『循環』というキーワードは、子どもたちが集まる場を演出するときにわたしが最も

気をつけている点なので、

そこに注目していただいてうれしい気持ちになりました。

 

言葉と言葉、願望、楽しさ、好奇心、感動、学ぶ姿勢、尊敬、他の子への気遣い、

お手伝い、発想、物語……

そうしたひとりひとりの子から生まれるものが、

子どもから子どもへ、子どもから他所の大人、大人から他所の子、子どもからお母さん、お母さんから子どもへ、

幼い子から年上の子へ、年上の子から幼い子たちへ、

とくるくる循環して、みんなが豊かに満たされるような流れが生まれるように

ささやかながらさまざまな場面や時間に工夫を凝らしているのです。

 

工夫の内容と子どもの姿は今日の晩までに書きますね。

 

次回に続きます。

 

 

 


自閉っ子が、ファンタジーの世界から出て、お友だちとの遊びに興味を抱きだすとき 3

2012-06-26 06:26:38 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

熊本のレオ」さんのところでパソコンをお借りして書いています。

 

●くんと☆くんの間にこんないざこざが起きました。

●くんはお家のプラレールの電車同士を連結することができるそうで、

教室にある電車も連結させたがっていました。

 

教室のおもちゃにそうした加工をしたがる場合、輪ゴムに連結する素材をつけて

取り付けるよう教えているのですが、

●くんには少し甘めのルールで

直接セロテープで磁石を貼らせてあげました。

 

☆くんの持っている電車にも磁石をつけて互いに連結させて遊べるように

してあげようとしたところ、☆くんは強い調子でそれを拒絶しました。

このサイズの電車は、

上の写真の2台しかなくて、●くんと☆くんのそれぞれが1台ずつ手にしていました。

 

●くんは自分と同じように電車に磁石をつけようとしない☆くんに怒り口調で

「ダメだよ!貸しなさい!」と言って、無理やり電車を奪い取ろうとしました。

 

「●くん!」と●くんのお母さんが小さな声で静止すると、

怒りをくすぶらせている表情のまま、手を引っ込めてその場に立ちすくんでいました。

手はグーの形で強く握られています。

 

少しすると、●くんが再び☆くんの電車を取り上げようとし、

再びお母さんがそれを静止しようとしたので、

少しの間注意するのを控えていただくことにしました。(家庭では見守るだけでなく声をかけて注意する必要がある子だと思っています)

 

●くんに、「☆くんには☆くんの気持ちがあって、●くんがどんなにそうしてほしいと思っても、☆くんがやりたくない場合

無理強いすることはできないよ」と理解させることは難しすぎるようでした。

まずは、「お友だちに暴力をふるっちゃだめ」

「無理やり他の子のものを取ったらダメ」と

衝動的な行動を理屈抜きに禁止することは大事そうです。

 

が、それと同時に、、なぜ手を出したらいけないのか、なぜこの場面で強い口調で抗議したらダメなのかを

本人に理解できるレベルで少しずつ学んで欲しいとも思いました。

 

また自分のなかに湧き上がってくる感情の種類や強さを

暴力で表現せずに、ただ抑え込んでしまうのでもなく、「どんな気持ちか」「何に腹を立てているのか」

「どのくらいの(感情の)強さか」

言葉で表現できるようにサポートしていく必要も感じました。

 

「☆くん、☆くんは連結の磁石を付けたくないのね」と☆くんにたずねると、

けわしい表情で「付けたくない」と答えました。

 

「●くん、☆くんは今、磁石を付けたくないんだって」

そう説明すると●くんはにぎっていたこぶしをふりあげて、

「もぉ~そんなのダメだからね。付けなさい!」とキンキンする声で言いました。

 

アニメか何かの一シーンをそのまんま真似ているようなポーズでした。

さらに拒絶する☆くんを叩きにいこうとする●くんをそっと引き離すと、

しばらくの間はそれぞれ静かにひとり遊びをしていました。

 

 

 

ところが、「連結いや!」と拒絶していた☆くんにしても、●くんのすることにはとても興味があったようで、

今度は勝手に●くんの電車を取り上げて、セロテープで引っ付けてしましました。

このセロテープの連結、曲がる時もスムーズでなかなか面白い動きでした。

 

すると●くんが、「ダメ、引っ付けたら」と言いながら、慌てて自分の電車を取り返すと

テープをはがして、「あ~汚れちゃった」とでも言うように神経質そうな

素振りで、電車をなでていました。

「こらぁ!」とこれもテレビやDVDの声やポーズを丸ままコピーする

ような雰囲気でこぶしを振り上げました。

といってもポーズですから、本当に叩くために力を込めて

ふりかざしているようではありません。

こういう場面で、こんな風に怒るべきだから

怒っている真似をしているかのようです。

言葉で表現しにくいのですが、

演技の苦手な子が、学校の劇で半ば棒読み状態で、怒る役を

演じているような雰囲気なのです。

そこでわたしは今回☆くんと●くんの間で起こった出来事を

人形劇として演じてみることにしました。

 

次回に続きます。


会話のもととなる原型 

2012-06-25 17:38:51 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達


よちよち歩きの子が、「あいっ」っと、お母さんにおもちゃを渡したかとおもうと、また取り返す、それから渡して、また取り返す……

という行動を取ることがありますよね。
こうした相手に渡して返してもらう行動は、
自由なやり取りや、開かれた会話の素だと言われています。

そうした行動は他に、入れ物にいっぱいいれて、空っぽにする動作
などにも見られます。

『ナチュラルな子ども時代』ジョン・B. トムソン,  発行:産調出版 

という本によれば、
それらは、子どもの中に原型が見えるジェスチャーなのだそうです。

子どもの意識は幼いうちは自分の中心に集まっておらず、
周辺的な意識であり、
そうした行動や遊びを通して
自我と世界が別ものだということを
経験していくのです。

3、4歳の子が小さな隠れ家を作りたがるのは、自分の魂のすみかとなる
からだを作っている最中だからなのだそうです。

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パソコンが発達するにつれて、私たちの子育て観に、

子どもが大きくなって学ぶべきものを
より早い時期から『インプット』していく

というイメージが加わりました。

人の脳という機械に外部から何かをインプットして、
覚えこませていくというイメージに、
教育が重ねられるようにもなってきたのです。

でも、上の例にあるような
幼児の驚異的な内在する力は、
人が機械から推測して想像できるようなものをはるかに超えています。

幼児が水を容器で汲んでは、ザーッと自分の足にかけることを繰り返すとき、
すっかり夢中になって、くつろいでいるときがありますよね。

これこそが学んでいる状態なのだそうです。

私たちは、たびたび、
幼児の中で今後の成長の素となるもっとも重要な何かが形成される過程を
邪魔して、
大人たちの教えたい何かを押し付けようとします。
それはとても危険な行為でもあります。

こんな例えを想像してみてください。
どんなに医療が発達しても、お腹の中の胎児が成長していく過程を邪魔して、
大事な身体の形成をいいかげんにしてしまうと、
いくら後からそうした素をつくろうにも取り返しがつかないですよね。

それと同じで、心の発達や会話のやりとりに欠かせない
子どもの原型となる行動を十分させず、

何か大事そうな……ほとんどが、
幼児教育産業の宣伝用の情報でしょうが……
それに振り回されて、自然の摂理に基づいた
遊びが少なくなると、

子どもが物を学ぶために必要な基本的な素となるものを
習得しそびれてしまうかもしれません。

子どもは、大人と逆に学びます。
動いて、その動きから認知に至るのです。

ですから大人の学び方をどれほど易しくかみくだいても、
どれほど薄めてみても、

根本的に学び方がちがうので、
子どもの学ぶ力を混乱させて壊してしまうことにしかならない場合があるのです。


0~3歳の子を育てている親御さんたちは、
人生の中で最も大切な時期を過している幼児の
自然なあり方を、
ていねいに見守ってあげてくださいね。
 
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<2歳後半  理由が気になるとき>
 
最近、台所仕事に興味しんしん~という2歳後半の☆ちゃん。
「台所育児でもはじめようかと思いまして……」と
☆ちゃんのお母さん。
☆ちゃん、教室でもおままごとに熱心です。
遊んでいる姿を観察していると、
前回来たときよりも、物の背後にある意味やストーリーの展開にとても敏感になっていることがわかりました。
ハンドソープに見立てて遊んでいるおもちゃを、
数回押して手を洗うまねをしてから、
「ハンドソープがきれちゃったから、つめかえ用を買いにいかなくちゃ」と言います。
そして、ハンドソープのおもちゃをショッピングカートに入れて
スーパーにお出かけするシチュエーションで遊んでいました。
☆ちゃんは読み聞かせと会話をお母さんにたっぷりしてもらっている子です。
想像力が豊かで次々楽しいことを思いつきます。

☆ちゃんは発達の面からいうと、成長がとてもはやい子です。
ただ、教室に通っている☆ちゃんと同年代の子たちの遊び方と、
☆ちゃんの遊び方を比べてみると、
問題解決の方法をすべて言葉に頼っているところだけが少し気にかかりました。

教室の2歳児、3歳児さんの成長を見ていると、
この時期を通して工作やブロック製作、簡単な理科実験などにたくさん触れさせてきた子は、実際に何がどれくらいできるという技術的な面はさておき、
問題にぶつかったときの解決方法の中に
「テープでひっつけるから、テープかして」「紙をかして!紙でまるまるするの」「じしゃくは?」「ブロックで作るの~」等、
何か具体的で創造的な解決案を思いつくのです。
ところが、その時期に作ってもらったり、見せてもらったりするものが少ないと、
言葉だけで解決して、簡単にスルーしてしまう感じは受けます。
そこでさっそく
☆ちゃんと基本の手作業を学ぶ工作をいくつかしました。

丸める→たこやき作り
緑の折り紙の千切りの仕方→青のり作り
プラコップで入れ物
ストローを使って空気を回転させる仕組み→ミキサーでジュース作り

などすると、どれにも熱心で、
素早く仕組みをマスターしていました。

お家で☆ちゃんが大好きな台所仕事をさせ場合、
「台所育児」というひとつの方法だけに
とらわれず、
科学、社会、ものの仕組み、理由、基本の扱い方などに、
☆ちゃんが見るだけで直感的に理解できる形でたくさん触れられるように
してあげると良いかと思いました。
手を使った楽しい具体的な活動を通して、それらを理解することで、
問題を解決するときや
何かをしようとするときの
アイデアのもととなりますよね

ゴミ収集車をデュプロで作る方法

2012-06-24 21:44:25 | レゴ デュプロ ブロック
2歳3ヶ月の☆ちゃんは、ゴミ収集車の通る音楽が聞こえると
とても喜んでいました。
そこでいっしょにゴミ収集車を作ることにしました。

写真の3タイプ。
どれも簡単ですが、子どもはとても喜びます。
また仕組みがわかりやすいので、
自分で応用させて何かを作るきっかけにもなります。
 
輪ゴムを使ってとめています。

2年生の算数でつまずく要注意箇所 

2012-06-24 18:31:25 | 算数

小学2年生の学習の気がかりな子たちのレッスンで。

学校でもうすぐ習う「長さの足し算引き算」で

つまずいた子が何人かいました。

 

このあたりの学習から、「わからないわからない」とパニックを起こす子や

「勉強が難しいから学校へ行くのが嫌」と登校しぶりをする子がけっこういるようですから、

次のような特徴がある子たちには早めの対策が必要です。

 

①一般化するのが苦手な子

 

(個別の具体的な場面で理解できていたことも、それとよく似た別の場面では

できなくなる子です。)

 

②書き写すことが苦手な子。

 

(目と手の協応作業がうまくできなかったり、視覚的な情報処理に何か問題を抱えている子)

 

③言葉を耳で聞いてイメージするのが苦手な子。

 

たとえば、

 

3cm3mm-1cm7mmという問題でしたら、

mmとcmを別々に分けて計算していくということが

イメージできずに、

3+3-1-7といった数だけ適当に足し引きしてしまう子がいるのです。

「そんなちんぷんかんぷんな状態の子も、

ミリはミリ同士、センチはセンチ同士で、こうやって計算していくのよ」と説明して

訓練していけば、できるにはできるようになるのでしょうが、

最初の時点で少しもイメージがつかめていないものですから、

たとえできるようになっても、わかっているわけではないのです。

学校での学習がこうした表面的な

その場限りの「なんとなく覚えている間だけできる」というものに

なっていないか注意が必要です。

 

一般化するのが苦手な子は、

33-17

という繰り下がりのある計算ができるようになっても、

それが

3cm3mm-1cm7mm

と関連していることに思いがおよびません。

 

「これはこれ」「あれはあれ」

なのです。

 

また「1センチは何ミリ?」とたずねると、

「10ミリ」と答えることができても、

3cm3mm-1cm7mmで

センチをミリに変換して借りてくる

という発想がどうしてもピンとこないのです。

 

一般化することが苦手な子らは、

3cm3mm-1cm7mmができるようになっても、

3dl3mlー1dl7mlの学習で役立てることができなかったり、

その一方で、3時間3分-1時間7分の問題に

長さの時と同じ解き方をしようとする場合があります。

 

対策は、具体的なひとつひとつのケースを

1からていねいに教えることと、

同じ方法で解くものと別の方法で解くものを

色で分けたりして、感覚的に同じか違うかを感じ取れるようにしてあげることです。

 

 

書き写すことが苦手な子

 (目と手の協応作業がうまくできなかったり、視覚的な情報処理に何か問題を抱えている子)は、

三角を横に写させてみたり、

漢字の書き取りをさせたりすると気づきやすいです。

書き写す作業に苦手があると、cmやmmを書く困難に加えて、

見分ける時点で混乱してしまうことがあります。

 

幼い頃から

明らかに異なる2つのものを「いっしょ」と言い張る子には

その後の成長を気をつけて見守る必要があるかもしれません。

 

曲線を描くのが極端に苦手な子もいます。

 

対策として、授業の予習として、事前に「mm、cm、dl」などの

書く練習しておくことをおすすめします。

 

大人にするとこうした単元は易しく見えるため

つい予習させるのを怠りがちですが、

「書くこと、見ること、聞くこと、一般化すること」に

何か引っかかる点がある子たちは、

こうした記号が書きにくそうな学習の予習は必須です。

 

「言葉を耳で聞いてイメージするのが苦手な子」については

次回書きますね。

 

 

 


明日から3日間、九州の遊びのアトリエさんのところへ行ってきます。

2012-06-24 18:24:16 | 連絡事項

明日から3日間、九州の遊びのアトリエさんのところへ行ってきます。

一度大阪に遊びに来ていただいたこともあるアトリエのレオ先生。

再会するのが楽しみです。

 

その間、予約配信で記事をアップする予定です。

(もしかして一日くらいお休みさせていただくかもしれません)

 

 


プロフ帳作り

2012-06-24 18:14:19 | 工作 ワークショップ

学習に気がかりなところのある子たちのレッスンで。

「プロフ作りたい」と言うので、

「プロフ?あぁ、名前とか好きな人とか書いてお友達と交換するもの?」とたずねると、

「そうそう~」という話。

そこで、子どもたちはプロフ帳のカバーを作り、わたしは中の台紙を子どもたちと相談しながら

書いて何枚かコピーしました。

書くことにちょっと苦手意識がある子たち。

交換するために質問の答えを書き終えた後で、

「疲れた~」とバテバテでした。


親がこんな力をつけると子どもは伸びる 2

2012-06-24 07:43:02 | 教育論 読者の方からのQ&A

親がこんな力をつけると子どもは伸びる 1

の続きです。

 

異年齢の子の集団を作ると、「年上の子たちと過ごさせたい」とおっしゃる

方々は多いです。

きびきびと行動できる子、しっかりしたお兄ちゃんお姉ちゃんと過ごさせて、

「あんな風になりたいな」というあこがれを

子どものなかに生じさせてて、がんばる意欲につなげたい、と考える方がいるのです。

 

でも子どもの性質と、普段の親御さんの考え方や、子どもの置かれた環境によって、

そうして年上の子らやその子よりしっかりした子たちと過ごさせることが

逆効果となることもあるので注意が必要です。

つまり自分より何かができる子に囲まれたとたん、

自虐的で無気力な状態がひどくなるということです。

 

次のようなケースです。

 

①普段から親御さんが「もっとしっかりしてほしい」「もっと成長してほしい」という

無言のプレッシャーを子どもに与えている場合。

 

自分よりできる子がたくさんいる場面では、普段、肌で感じているプレッシャーが

さらにリアルに自分に迫ってくるので、

めげてしまって、ダラダラとやる気のない態度に終始する可能性があります。

 

②不安的な状態を脱して、ようやく「しっかりしてきた」という状態で、

すぐにさらなる高い目標を子どもに与えたいと思ってしまう親御さんの場合。

 

不安的な状態を脱して、ようやく「しっかりしてきた」という状態は、

親御さんにとって「子どもとしてあたり前」の姿のように思えても、

いつもとのダラダラした困ったちゃんにもどるかもしれない……という

危うい状態です。

「いい」状態の時に、その状態に満足し、子どもの心を存分に満たす必要があります。

 

③子どもにとって新しいチャレンジする環境を次々与えるのに熱心だけれど、

「テレビ」や「お菓子」など

その子が楽しみにしているものは、

親の気持ちで簡単に取り上げてしまう場合。

 

こうした環境は、自発性や意欲のもととなる

子どもの核となるものが育っていないことがよくあります。

 

④神経質で情緒的で他の子の出来不出来が気になる子の場合。

 

こうしたタイプの子は、自分より苦手が多い子や年下の子らと過ごすと

実力を発揮して、

自発的に何でも取り組むのに、

自分より何かが得意な子が近くにいると

たちまち落ち込んで頭で何も考えられなくなることがあります。

 

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親御さんの気持ちや願望や思いや評価が

常に子どもの生活環境や感情のあり方に

影響を与えているような場合、

親御さんがよかれと思って選ぶものが

子どもの自発性やがんばる気持ちを奪ってしまうこともあります。

 

また、子どもの環境を親御さんが先回りして

選びすぎることも、

子どもの発達にゆがみを与えがちだと思います。

 

自然に出会うものは、

つまらない雨の日も、

ちょっともやもやといやな気分で終わる出来事も

子どもの心を感受性豊かに、たくましく成長させていきます。

子どもにはいろんな日々、いろんな体験、

退屈、無駄などもあまるほどあってちょうどいいと思っています。

 

昨日、年下の子がひとり参加することになったグループで

年上の子のひとり、○くんにこんな変化がありました。

下の子にいいところを見せたい、できるところを見せたい、自分のが年が上だから……

という気持ちで、物つくりでも学習タイムにも

責任感を持って、きびきびとした意欲的な態度で取り組んでいたのです。

○くんのお母さんは先に挙げたケースに当てはまる方ではありませんが、

○くんはちょっと甘えん坊の性質で、昨年まで自分よりできることが多い同年代の子と学んでいたときは、

「え~、できない」「え~難しい、やりたくない」とだらだらした態度をしめすことも

よくあったのです。

○くんは情緒的で感情が繊細な子なので、自分よりしっかりした子らといっしょにいると

あこがれるよりも、心が負けてしまうのです。

 

子どもにどんな体験や環境が必要かは、

あまり選びすぎず、自然に任せて、そのときそのときに

しっかり関わることが大事だと感じています。

 

うちの子にしても、当時はどうしたものかと悩んでいた「ダラダラした」無駄時間が

どんな体験より成長をもたらしてくれたと感じることが多々あります。

 

息子が小学3年生くらいの頃、とにかくテレビゲームが好きで、あまりに執着するもので、

一日何時間までならOKかと取り決めていた時期があります。

紙で何かを作ったり、友だちと遊んだりもよくしていたのですが、

とにかく怖いほどにゲームに執着するので、頭を抱えていました。

ゲーム時間を取り決めていても、何度もルールを破ったり、

ゲームをしない間はごろごろしてゲームの攻略本ばかり読んでいたりしましたが、

親子で何度もルールについて話し合ったり、

子ども側の言い分をしっかり聞くのもいいだろう……とも思って

そのまま数ヶ月が過ぎた頃、こんなことがありました。

 

「RPGつくーる」というRPGを自分で製作するゲームをおこづかいで買っていたものの

家族の誰も遊び方はわからないし、本人も攻略本に載っている数値の意味が

さっぱりわかっていなかったようなのですが、

あるとき、攻略本をのぞきこんでいた息子が「わかったよ。このゲームの仕方」と言い出したのです。

そこで息子の説明に耳を傾けることにすると、数字の羅列から

関数のような計算方法を編み出して、

このゲームを扱えるようになっていたのです。

それからその計算を使って

家族を登場させるゲームなどを作っていました。

このとき、ごろごろとわけがわからない攻略本を見続けていた時間が、

その後、深く考えを練ることで手がつけられないような問題の解法を探り出していく

力の土台となってくれたと感じています。

こうした力はなかなか習い事では身につかないものですよね。

当時のわたしはテレビゲームに好感を持っていたわけではありませんが、

息子が「好き」と思う気持ちは大事にしてあげたいと感じていました。

 

こうした出来事を振り返っても、子どもにどのような時間の過ごし方や

環境を与えるのベストかなんて

親にはわからないのですから、肝心のところはしっかり押さえていても

つねに余白と無駄を残しておくことが大切だと

感じています。

 

 

 

 

 

 

 

 


「飽き性の子」「持続力が弱い子」への働きかけ  (絵本大好きクラブ)2

2012-06-23 20:34:42 | 幼児教育の基本

「飽き性の子」「持続力が弱い子」への働きかけ 1

の続きです。

注意の移り方と話の聞き方がちょっと気になった●くん。

 

こんな風に飽きっぽさが目立つ子は、ひとつひとつの物事を五感で感じ取ったり、

感情で味わったりした経験が少ない子が多いです。

 

たとえば雨が降っているとしますよね。

傘をさしてお出かけしながら、耳をすますと、傘にあたる雨音はどんな風でしょう?

音を聞いてから、誰かの傘の上を見れば、

雨粒がはねてダンスしているように見えるかもしれません。

地面には湖のような水溜りができます。水溜りをのぞけば、鏡のように自分が映ります。

それに不思議なことに、そこには空も映っているのです。

「雨はどこから降ってくるんだろう?」ってお話することもできますね。

手のひらで雨粒を受け止めると、冷たいでしょうか?

雨の色は何色でしょう?

雨の日の匂いは?どうしてレインコートや長靴を履くんでしょう?

お日様はどうしているでしょう?

雨の日に鳥や猫や虫たちはどうしているでしょう?

雨はどんな味でしょう?

 

「雨が降ってきた」というだけで、

1歳児さんも2歳児さんも、もちろんいくつの子も、

目と鼻と耳と皮膚と舌を使って

こんなにもさまざまなことを味わって、考えて、想像して楽しめるのです。

それから、目と目を見詰め合って、そうして感じたことを

共感しあうことができます。

 

電車に乗るのにしても、

「ガタンガタン」という振動を足で感じ取ったり、窓から流れていく風景に驚いたり、

外と電車のなかの空気のちがいを感じたり、車掌さんは何をしているのかとお話したり、

「どうして切符がいるのかな?」と考えるなど

毎回毎回、五感を使ってフルで味わうことができるのです。

 

そんなときに大人が矢継ぎ早に質問したり、

自分が気づかせたいことに気づかせようと

するのではなくて、子どもといっしょにゆっくり世界を感受するのを

楽しめたら、

子どもはひとつひとつの物事に対して、感情を込めてていねいに

向き合えるようになっていきます。

 

東大パパさんが、迷路を簡単に描く方法

という記事で、迷路に自己流の工夫をたくさん盛り込んだ娘さんの作品を見て、

子どもの教材などに迷路が頻繁に登場するからこそ、

迷路の入り口は一つだけという思い込みに囚われがちなのかもしれませんね。

現実世界の洞窟探検なんて、入り口どころか出口も複数あるのがむしろ当たり前なのに。」

と感想を述べておられます。


思わず、この記事にコメントしてしまいました。

<子どもの発想はいつも「目から鱗」の面白さですね。
はさみで切る遊びも迷路もプリントで教育的に合理的に
学ばせようと思う方が増えて、

狭い思い込みに囚われている

老人のように頭の固い幼児も増産されていますが……。
きょーちゃんの迷路の作品は、「子どもの自分の時間」をじっくりのんびり幸福に……

それから一生懸命、生きている子の作品ですね。>

と。

子どもにはワークブックであれこれ教え込むより先に、世界を直に五感で味わう

時間がたっぷりないと、

匂いも味も温度も色も音も動きもあるものの

一部だけ、つまりワークブックでそこにだけ注意を向けるように

刷り込まれてしまった細部を、ひとつの機能だけで処理して

感受するように育っていきます。

すると成長するにつれ、「だるい」「つまらない」「それが?」「面白くない」「何もない」

といった言葉を連発するようになりがちです。

 

何度か紹介していますが、そうした思いを詩にしたことがあります。

よかったら読んでくださいね。

 

小さな友へ

という詩です。

 

話をもとに戻しますが、すぐに注意が移ってしまう子には、

大人が知的なインプットをしたい時とか、子どもに何か質問したい時とか、子どもの世話をする時だけ

相手をするのではなく、

何気ない日常の一場面一場面を、子どもとゆったり味わう習慣をつけていくことが

お勧めです。

子どもの発見に感激したり、驚いたり、疑問を投げかけたりして、

いっしょにおしゃべりを楽むのも、

物事とよりていねいに関わる力を養うことにつながります。

 

 

(↑『ぼくまいごになったんだ』という絵本を読んで、

子どもたちとまいごの気分を味わいながら、「ママはここかな?」と探して

まわっています。)