コメント欄に次のような質問をいただきました。
-----------------------------------------------------------------------------------------------
3歳半の息子が、一緒に遊ぶ友達(同年代)の好き嫌いをするようになり、どう対応していいものか迷っています。
海外(オーストラリア)在住のため、息子には現地の友達と日本人の友達がいるのですが、最近、ある日本人の友達と遊ぶのをしぶるようになりました。理由は、使っているおもちゃを奪われたり、遊びついでに理不尽に叩かれたり、作った物を壊されたり、といった被害者意識が強いようです。
とは言っても、子ども同士の揉め事は付き物ですし、今後幼稚園などへ通い始めれば、自分の思うようにいかないこともたくさん出てくるので、多少の不快感への抵抗は本人に必要だと思っています。でも、気になるのは、その時の親の対応と、現地の親と日本人の親の間に見られる子育て観の違いです。
現地の友達とは、息子もおもちゃを共有したり、順番を守ったり、時にはもめながらも自分たちで解決できるくらいの社会性が見られます。友達のことも大好きです。どうしても子ども同士で決着が付かないことがあると、親同士が仲介となって、その場の子ども全員に対してきちんと状況の説明をし、一人一人の子どもの意見を尊重しながら妥協策を一緒に考える、という姿勢です。どんな場合でも、暴力に対しては厳しく注意します。
でも、日本人ママは、「まだ小さくてわからないから」という理由で子どもを子ども扱いしすぎて、社会のルールを教えていない方もいます。叱って聞かせることはあっても、その場限りの注意で、子どもは本当の理由をあまり理解していないようです。そして、グループで集まって遊ぶと、親と子どもを切り離してしまい、子どもたちは野放しで親同士おしゃべりに夢中、ということが多いです。子どもも、共有ができない、順番を待たない、言葉を使わず力任せ、親の前ではいい子でも、見えない所ではやりたい放題、という子が見られます。親はそれに気付いていないか、気にしていません。子どもが取っ組み合いのケンカをし始めても、「男の子は元気だからねー」と呆れて笑いながら眺めているだけです。そういう場合、私自身は仲介しながらみんな平等に注意するのですが、中にはそれを「過保護」と思う方もいるようです。
こういう経験を重ねるうちに、息子はある子に対して遊びたくない、と言うようになり、私もどう対応していいものか迷うようになりました。親として日本人に接する機会は与えてあげたいのですが、小さなコミュニティですから、嫌な子だけを避けるわけにもいきません。
息子は、言葉で伝えているのに無視されることにフラストレーションを感じ、理不尽に叩かれた時は怒りから叩き返そうとするけれど私にそれを止められて号泣する、というパターンが多いです。その時は、本人と一緒に悔しい気持ちを受け止めるようにしていますが、私は叩き返そうとするのを止めない方がいいのでしょうか?でも、そうしたところで根本解決にはならないように思えてしまい、迷っています。
大変長くなり申し訳ありません。普段、頼れる家族が近くにいないので、先生のブログやオンライン教材がとても参考になっています。工作を始めてから、息子があれ作って、これやろう、と本人の興味が広がってきたことがとても嬉しいです。お忙しい中大変恐縮ですが、どうか先生のご意見をお願い致します。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
オーストラリアで暮らしているということや、親の子育て観の違いなど
状況が複雑なので、簡単に答えを出せるものでもないと思います。
ただ3歳の子の「あのお友だちと遊びたくない」という気持ちは
一時的でもいいので、その言葉通りに従ってあげるのがいいように思います。
大人のはいろいろな事情や先のことに思いをめぐらせて、子どものその時の気持ちや訴えを軽く扱ってしまうこともありますが、
こういう場合、まず子どもの言葉と気持ちを優先し、
「そのお友だちと遊ばない」か「遊ぶ回数を減らす」か「大人が近くにいて、そのお友だちとの接触を減らす」ようにして、
「耐性をつけていくこと」とか「幼稚園ではいろいろな子と付き合わなくてはならないはず」ということや
「日本人の子と遊ばせてあげたい」という大人の考えをいったん脇に退けた方がいいように思います。
その上で、別の方法で、迷っているさまざまな問題への対処をしていくといいのではないでしょうか。
↑(2歳4ヶ月~3歳0ヶ月の子どもたち)
虹色教室でのグループレッスンでも3歳半ともなると、大半の子らが、
コメント主さんがおっしゃる現地のお子さんとお友だちとの遊び方
(おもちゃを共有したり、順番を守ったり、時にはもめながらも自分たちで解決できるくらいの社会性が見られます)
をするようになって、
仲良く協力しあって遊ぶための基盤が整ってきます。
もちろん勝気な子、活発な子、感情の起伏が激しい子といった子どもの個性や、発達の早い遅いもあって、
3歳代ではまだまだお友だちの物を奪ったり、暴力に訴えたり、順番が待てなかったりする子も
けっこういるはずです。
まだ子ども同士で集団で仲良く遊ぶのは難しい年齢ですから、
大人は
そこで起こる揉め事にゆっくり付き合いながら、それぞれの子どもの思いを受け止めて
成長への指針を示していく必要があると思います。
虹色教室でそうした年代の子らを育てているお母さんたちと接していると、
ほとんどの方がそうした「もうすぐ幼稚園」という子たちにどう関わっていくのかという
イメージがないことに困っているか、
イメージがないのに、ないことに気づいておられません。
子どもが聞き分けのいい子の場合、大人の指示に赤ちゃん状態のまま従わせていて、
子どもに意思や判断力がないかのように扱っているし、
子どもがやんちゃな子の場合、子どもを叱りすぎるか、親が悩みを抱え込むか、
「幼稚園に行ったら先生が教えてくれるのでは?」と放置してしまうか、
専門家の意見をマニュアルのようにして、ただその通りするかという状態に陥っているようです。
保健所で相談をすると、
「保育所などに早く入れて集団生活をさせたらいい」とアドバイスを受けることも多いので、
ますます日本のお母さんたちの間プレ幼稚園時期の子育てのイメージがないという問題がうやむやになっている気もします。
次回に続きます。
成長の指針を示していく、というのがとても難しいです。
親の関わりや環境が本当に大事だし、後の人格形成に関わる重要な時期なのかなと感覚的に感じてもいます。
葛藤など抱えながらも、子どもが自分の成長を感じ、喜べるようにサポートしたいのですが…
次回も楽しみにしています。
長女が(日本の幼稚園で)年中ですが、「子供の自主性を尊重する」幼稚園だからか、公園などで幼稚園のお友達と遊ばせると、上記の日本人の子供のようなふるまいを見ることがあります。私は(海外育ちです)、きちんと社会のルールは教えるべきと思っており、他のお母さんの手前注意すべきか悩んでいます。他のお母さんたちは、「子供同士で解決すべき」という考えのもと、(意識的か無意識的か)介入しないようにしているようです。でも子供同士で解決させると、小学校低学年くらいまでは弱肉強食になる気がします。「みんながhappyになるにはどうしたらいいかな?」という課題設定くらいは大人がすべきだと思うのですが・・・高学年になればわかってくる、くらいのタイムスパンで見守るべきなのでしょうか。
「過保護」という意見があって迷っていたため、今は子どもの気持ちを優先していいと聞き安心しました。大人の事情を考えず、ゆったりと子どもと向き合うことが大切なんですね。
次回も楽しみにしています。