1年生の女の子たちのレッスンで、★ちゃんが素敵な旅行のスクラップブックを持ってきて
くれました。
道の駅のパンフレットやご当地キャラクターの切り抜きや買い物のレシートなどを
貼ったノートです。
他の子らがうらやましそうにスクラップブックを眺める中、
★ちゃんはキャンプ小屋の名前について……「あさがお」とか「ぼたん」なんて名前がついているのですが……
説明してから、「お父さんが作っているこういうノートには、もっといろんなものが貼ってあるよ。」と
言いました。
「そういえば★ちゃんのお父さん、面白い絵本を作ってたわよね」とわたしが言うよ、
★ちゃんは、「そうそう、お父さんはね、毎年、わたしの誕生日に絵本作ってくれるのよ。
ぺらぺらさんとか忍者のなんとかとかお父さんが考えたキャラクターが出てきて、
動くようになっている絵本よ。
でも、今年の誕生日は仕事が忙しかったから絵本をもらってないわ」と言いました。
そこで、「★ちゃんも、今年はさ、★ちゃんが絵本を作ってお父さんにあげたら?
みんなもどう?」とたずねると、そこにいた☆ちゃんも○ちゃんもふたつ返事で
「作りたい!作りたい!」と大乗り気でした。
お友だちが何か作ってきた時、「すごいな」「面白いな」と夢中になって眺めたり、
それに刺激を受けて、「自分もやってみたい」と思ったりする子らは、
それまでさまざまな物作りを体験してきた子たちでもあります。
家庭でも想像力や創造力を使う場面をたくさん設けてもらっているのです。
さっそく絵本に登場するキャラクター作りを始めた子たち。
製本の仕方に凝りたいようで、糸綴じにしたい子とホッチキスで見開きごとにつなげていきたい子に
分かれました。
そうしながら、どんな話を書くのかアイデアが飛び交っていました。
大きなサイズの紙に「毎日、お正月とクリスマスだけが順番にやってくる世界の話」
を書き始めていた☆ちゃんが、
「先生、絵はなしにして、文章ばっかりの本にしてもいいかな?」
とたずねました。
「そりゃ、いいんじゃない?ほら、読むのがめんどくさいって子の勉強にもなるじゃない?
音読教材?」と言うと、☆ちゃんはうれしそうに
「そうそう、そういうのにしたいのよ。漢字ができるだけやめとくわ。1年生の子が
本を読む練習になるようなのを作りたいから」と言うやいなや
ものすごいスピードで紙を文字で埋めていきました。
「☆ちゃん。音読教材が作りたいんだったら、カセットテープがあるけど、録音する?
それだけ文字があったら、読むのがめんどくさいって子もいるでしょ?
カセットを付録につけておいたら、読むのも聞くのもできて一石二鳥でしょ?
教室に置いておいてくれるんなら、小さい子たちがきた時、勉強に使わせてもらうわ」
そうたずねると、☆ちゃん、★ちゃん、○ちゃんが口をそろえて、
「いいね~いいね~カセット絵本を作りたい!」と大きな声をあげました。
次に続きます。