虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子育ての迷いや悩みから抜け出すため の あれこれ 14

2014-08-27 18:31:03 | 日々思うこと 雑感

 Bくんのお母さんは子どもの遊びを軽く扱う方ではありません。

また勉強以外のものへのBくんの興味にも心を配って、きちんと対応しておられます。

 

ここで、「扱いの差」と書いたのは、あくまでも

「Bくんはこんな子!」というお母さんの評価にそれがいかほど影響を与えているか、

という点での差異のことです。

 

 

わたしが小学生だった頃を振り返ると、かつてと今では、

『宿題』に対する大人のスタンスが、様変わりした印象があります。

 

教室の親御さんの話を聞いたり、小学生の子を持つお母さん方のブログを読んだり

していると、

低学年の子の宿題の話をしているのか、

納期までに完成品を納めなくてはならない仕事の話をしているのか

わからなくなることがあるのです。

 

宿題のみならず子ども自身についても、

ある時期、ある時期に、理想的な子どものあり様がある前提のもと、

それぞれの納期までに子どもの完成品を納めなくちゃならないのに……と、

(親が子どもの)宿題提出のたびに焦っているようでもあります。

 

それもそのはず。

就学前から通信教材のDMは、毎日、机に座る習慣をつけることがいかに大切か、

時に親の不安を煽りながら畳みかけてくるし、

ママ友仲間の掲示板やラインやブログでは、

「隣のクラスはこれだけ宿題が出ている」とか

「別のクラスはここまで進んでいる」といった、

これが理想形なんだという思いや不安感を刺激する情報が絶え間なく

流れているのです。

子どもがすることは何であれ、する前から親の頭の中は情報でパンパンになって

いることでしょう。

 

それこそ、「子どもの宿題」のような

 ネットや携帯がない時代なら、わざわざ本を買って調べるほどの情報でなし、

いちいち電話して確かめるほどの話題でなし、

子どもが学校に行けばもらってくるだろうし、もらってきたらどんなものか

わかるだろう……と適当に構えていたものにまで、

知らない間に頭でっかちになっていても誰も気づかないのかもしれません。

 

情報過多の何がまずいかというと、

レベル1段階の子を、

レベル10の視点でチェックしてしまう、ということがあります。

 

レベル1の課題に取り組んでいる子に、

最終段階の完成形を求めていじくって、

チャレンジ精神を枯らせたり、自分はダメだと思い込ませたりすることも

よくあることです。

 

たとえば、自由研究でしたら、

その子が無の状態からイメージして何かを作り出す力があるかいなかによって、

その子の今取り組めるレベルが決まってくるのでしょう。

言葉上で好き勝手なアイデアを出すのも難しく、

「何も思いつかない」とお手上げ状態なら、

わたしの子ども時代の子なら、友だちといっしょに宿題をして、

中身を少しだけ変えて真似をして、未完成なまま提出していました。

そうしたことが叶わない今の子なら、自由研究の本を見て、

できそうなものを選んで、その型にはめる形で、未完成ながら何とか空白を

埋めるくらいで十分なのでしょう。

 

大切なのは、取り組むのがレベル1の課題であっても、

レベル1内でしっかり身についていくものがあって、意欲や達成感につながったり、

責任感が生じたりするということです。

先生や外からの評価に合わせて、

本人の今のあり様とかけ離れたものを要求するよりも、

Bくんでしたら、自分が作ったラキューの作品やゲームの写真を撮って、

短い説明をつけて、ラキューやゲームについて調べたことを、書き添えておく……

くらいの自由研究が楽しくできたら、

Bくんの心の中に、「ぼくにもできるんじゃないか」「次もできそう」という

思いが芽生えるのでは? と思いました。

 

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (いっこ)
2014-08-28 03:24:44
宿題について、周囲と自分の考えが違って驚いているところです。
夏休みの最後になり、絵日記や読書感想文に親が付きっ切りで数時間かけて作り上げる話を聞くと、そこまで完成度をあげる必要があるのか、、、親が完成度をあげてしまっているのではないかな?と感じます。
宿題って必ずしなければならないものなのかな?
私はするもしないも本人が決めて本人がすればいいと思っていて、
でも、周りでは、宿題ぐらいはさせないと!とか、
しなかったら成績が悪くなるから!とか、
とにかく、宿題ってこんなに親が干渉するものなのかな?と驚いています。
もちろん、ほったらかしで、全てを任すというわけではないのですが、
親がさせる事に必死で、ますます完成度をあげて、親子ともに苦しんでる姿をみると、違和感を感じるというか、、
実際にまだ、娘が小学生ではないので言えることかもしれませんが。
もう少し、大きな枠の中で、自由度があればいいのになぁーと思います。
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私の考え (ワーキングマザー)
2014-08-29 13:10:19
気付かないうちに落ちいってしまう子育ての罠に入り込みやすい今の社会の中で、しっかりと地に足をつけて親になるためには、どうしたらいいのでしょうか。
現段階の私の考えとしては、子どもが心の底で何を欲しがっているか、親は親で何を求めているのかを感覚を研ぎすませて、考えるしかないかなあと思っていますが、でも親も子もこれだけ色々な情報がある中では、自分たちがどうしたいのか本当のところを整理しきれずにわけがわからなくなってしまいがちですよね(実際、うちでは子どもが習い事をしたいと言っただけでも、多いに悩みましたし)。
先生の助言などをもとに抜け出したくても、どうしてもとくに親のやりたいこと子どもに求めるものを優先しがちで、わかっていてもやめられない部分も多いにありそうです。そういう場合は突き進むしかないのでしょうか(ここまでアドバイスをしてくださる先生に対して、ちょっと問題発言ですよね。でも私の経験では失敗しないとわからないということが多いですので)。でも先生がまいてくれた種がしっかりと残っていて、機が熟したら、芽を出すのかなと思います。
これからもブログの発信、またこれに懲りずに個人的にも助言の方宜しくお願いします。
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