虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

親御さんへの「ダメ出し」 続きの続き 3

2017-02-20 13:34:38 | 日々思うこと 雑感

今日の午後からユースホステルでのレッスンです。

記事の続きは明日の午後以降に書きますね。

 

親御さんへの「ダメ出し」6 の続きです。

■くんと美術工房でスライム作りをしていたとき、「■くんは感覚が優れている子かもしれない」と

感じました。

なぜかというと、スライムで遊ぶときの楽しみ方が

ぬるぬるする時、ベタベタする時、弾力がある時、水に入れた後にくらげのようなつるっと手をすべる感じがする時といった

ひとつひとつの感触をそれはうれしそうに味わいながら、長い時間を過ごすものだったからです。

 

それほど変化が見られないようなものを混ぜることにも積極的でした。

直観が優れている子たちもスライム作りを喜びますが、感触を長い時間味わうように楽しむ子はまれで、

「これを利用して面白いことをしよう」という

いたずらに近い喜びを見出すことが多いのです。

 

■くんはこのレッスンの前にカードゲーム類で遊んだときには、

「ルールを察して、理解する」ことがあまり得意ではないようでした。

まるで考えようとせずに参加しているようでもあったのです。

それが、スライム作りの後の「理科クイズ」や「量に関わる算数問題」では、

よく考えていて、きちんと理由を説明することができていました。

前のカードゲーム類は直観が優れている子たちが得意なもので、

後の「理科クイズ」や「量に関わる算数問題」は感覚が優れている子たちが得意な分野でした。

 

私が■くんについてとても感心したのは、

うまくいかなくても、もたつくことが多くても

けっして投げ出すことなく長時間熱中し続けることができる点でした。

 

ここでも「■くんは直観が優れているのではなく、感覚が優れている子なのかな?」という疑問が湧きました。

 

直観が優れている子も自分の得意分野ではこうした熱心さをしめすのですが、

感情を揺さぶるような刺激や変化がないにも関わらず、もくもくと熱中するというのは

非常に苦手です。そのため、頭の回転はいいのに、コツコツする学習習慣をつけようとしても

どうにもうまくいかない子が多いのです。

 

感覚が優れている子はしている活動が心地よければ

外から見ると何が楽しいのかわからないようなことも長時間喜んでします。

発掘作業のような地味な遊びも大好きです。

 

私がこのように■くんの性格タイプについて気にかけ始めたのは、

■くんが自分の意見を言うときのぎこちなさの原因が、

お母さんと■くんの性格タイプのちがいによってもたらされているのかもしれないと

感じたからです。

私自身は直観が優れているタイプです。ですから劣等機能である感覚について学ぶのに

とても苦労しました。

感覚が優れている子たちに対する誤解や

誤った働きかけをしがちな自分の態度を修正するのに

たくさんの試行錯誤が必要でした。

 

それだけに、直観タイプの親御さんがよかれと思ってする

ちょっとした言動の数々が

感覚が優れた子たちを優柔不断にしたり、自信を失わせたり、

自分の意見を言いにくい状態にしているシーンに

敏感になっているのです。

 

善し悪しじゃないのです。わかりにくいのです。直観が優れている人にすれば

感覚が優れているという状態やその良い面が。

 

たとえば、感覚が優れている子たちは、一度何かが気に入ると、

何度も何度も、言葉が悪いですが、バカの一つ覚えみたいに

同じことをしたがることが多いです。

感覚が優れている親御さんは、同じことを何度もすることに

少しも抵抗がない方が多くて、お菓子のレシピでもひとつ覚えると

何十回でも同じお菓子を作っているのを見かけますが、

直観が優れている方にすると、「えっまたー?」と、

何がやりたいのか聞いた時点で、ネガティブな反応を返してしまうことがあるのです。

 

直観が優れている親御さんというのはチャレンジャーで好奇心旺盛で

新しい学びの要素や考える必要があることが含まれている活動が好きですから、

子どももそうした新しい体験に連れ出そうとしたり、

「外で遊んどいで~」と追っ払って、外でいろいろな体験に遭遇することを期待したりしがちです。

でも、感覚が優れている子たちの多くは

そうした新しい体験の場でも、

家で繰り返しやっていたことをやりたがることが多い「遊びの保守派」です。

ですから、どんなに子ども思いを尊重して、子どもの気持ちに添った接し方をしようと心がけていても

ちょっと「ずれ」が生じるのは仕方がないのです。

でも、それは直観が優れている人が、感覚が優れている子が体験している世界の豊かさを

正しく理解していないからともいえるのです。

 


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