虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

言葉のかけ方で集中力が変化してくる 

2013-12-09 20:22:40 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

 

 

0歳の赤ちゃんも、ガラガラに手を伸ばそうとしたり、ハイハイして何かを触りに行ったりするなど

目的を定めて、集中して自分の課題に取り組もうとする性質を持っていますよね。

 

子どもがそのように自分で定めた課題にチャレンジしようとしているとき、

非常に多くの親御さんが

子どもの邪魔をして、気を散らして、

成長につながる課題は「つまらないもの」という印象を与えて、

あまりやらせたくない悪さは「魅力的で楽しいこと」という印象を刷り込んでいるのを

見かけます。

 

特にひとり目ちゃんには、そうした接し方になりがちです。

 

大人が、なぜ子どもの邪魔をしてしまうのかと言えば、

ひとことで言うと、「急ぎ過ぎるから」です。

幼い子相手に、高い濃度のもの、刺激の強いものを与えてしまうから

とも言えます。

 

子どもが何かに興味を持つとき、最初にするのは

「眺める」という行為です。

「見ること」「眺めること」は、次に「ちょっと手を出して触れてみること」に

発展します。

 

子どもが飽きっぽくて、すぐに目移りするという場合、

親御さんが、子どもにこの「見ること」「眺めること」を十分させてあげず、

子どもが注意を向けた段階で、「○○してごらん」という指示を出してしまっていることが

多々あります。

そんな風に大人の口出しが多いと、

子どもにすると、対象をよく観察して、それについてよく見て理解した上で、

取りかからずに、大人の声で動かされていじるので、

何をしようとしていたのかわからなくなって

すぐ嫌になってしまいます。

また、注意力や観察力も弱くなってしまいます。

 

「はやくできるようになってほしい」「すぐに事が進行してほしい」という

大人の時間感覚で子どもを動かさずに、

子どもが自分からそれに触ってみようとするまで、黙っているのがいいと思います。

子どもといい関係ができてくると、手を出す前に、「これ触ってもいい?」という様子で

こちらを振り返って表情を読んでから、やってみようとすることと思います。

 

子どもが遊び始めた時、「こうしてごらん」「ああしてごらん」と言葉で指示を与えるのも

集中力を失って、すぐ飽きる原因になります。

まず自由にさせてみせて、間違った使い方をしていたら、

言葉で指示せず、正しいお手本をゆっくり見せます。

それでも、好きなようにしているときは、

子どもにとって今、ちょうど良い課題は何なのか

その遊び方から察するようにします。

ちょうど良い課題というのは、子どもが何度もやりたがり、

うまくできたときに全身で喜びを表現するような課題です。

どんなおもちゃでも、その子にとってちょうど楽しい課題というのがあります。

たとえば、★ちゃんは、

ひらがなのカードを1枚ずつめくっては、

「ハイ」と言いながら、自分の傍らに積んでいく作業を

楽しんでいました。

指で薄っぺらなものをめくる作業と、まるでゲームをしているような雰囲気でカードを

置いていく作業が面白いようなのです。

置くと同時に「ハイ」と声を出して、

動作と声を合わせていくことも楽しいようでした。

こうした子どもが編み出した遊び方の邪魔をせずに、

これと似た作業を体験できて、よりそれを洗練させていけるような

遊びをいろいろ用意してあげるといいように思いました。

めくるのが楽しいときは、簡単なかるた遊びも楽しいですし、紙類を箱にしまったり出したりするのも

楽しいです。ビーズなどを分類していくことも、

紙を糊で貼っていく作業も好むかもしれません。

 

★ちゃんが自分流の遊び方を始めたときに、

「こうしてごらん」「ああしてごらん」と大人の思うように動かそうとすると、

たちまちその遊びに飽きてしまいます。

でも、ちゃんとした遊び方を教えないと、他人の話を聞かない子になるんじゃないか

と心配になるかもしれませんね。

でも子どもは「手を使う」「目を使う」「耳を使う」といった活動に

それぞれ敏感になる時期があるので、

その子のその時期の課題に十分対応さえしてあげれば、

時期がくると、他の人の指示通りに動くことをものすごく好む時期がくるので

安心なんですよ。

それより、子どもの発達や敏感期を無視して、

大人の期待を押し付けることによって、他人の指示に従うことを

極端に避けるようになることの方が心配です。

 

幼い子が集中して耳を傾けるのは、

子どもが強い要求を出しているときです。

でも親というのは妙なもので、子どもがなにも望まずにぼんやりしているときは、

「あれしてごらん」「これしてごらん」と構うけれど、

子どもがしつこくやりたがるときは

めんどくさがったり、適当にあしらったりしがちなのです。

でも、そうした気まぐれなあやし方はやめて、

子どもがそっとしてもらいたがっているときは

そっとしておき、

しつこくやりたがる時は、「○○がしたいのね。それなら、きちんと聞いてちょうだい」

「○と△とどっちにするの?」「それがしたいなら、お母さんのすることをきちんと見ていなさい」

など、こちらの言葉と、することに子どもを集中させることが

大事だと思っています。

1歳代の子も、強い要求を出している最中は

真剣な表情でこちらの話を聞いています。

その後、見本通りにできなくても、しつこくせずに、

「きちんとお話が聞けてえらかったね」と褒めてあげるだけでいいと思っています。

 


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おもちゃと集中力 (かりん)
2014-04-16 12:24:17
こんにちは。
親である私にとって、とてもためになる記事です。

今、1歳5ヶ月の男の子がいます。
少しモンテッソーリの真似事をし、家でおもちゃの置き方を工夫してみました。

本棚と、オープンラックのひとつひとつにおもちゃを個別に置いて、すべておもちゃを見えるように手が届くようにしました。

ひとつのおもちゃで遊び、直してから次のおもちゃを出す・・・というふうにしたかったのですが、手が届くから散らかし放題、遊ばなくてもとりあえず床に散らばして満足、次から次へと散らばして終わり・・というふうになっています。

少し前までレゴなど集中して遊んでいたのですが、今は散らばすだけとなり、おもちゃの置き方がよくないのかなぁと試行錯誤中です。

それとも今はそういうふうに目移りする時期なのでしょうか?

記事を拝見させていただいて、無理やり「これで遊ぼうね」と強制するのはよくないと思い、もう好きに放置したらいいのでしょうか。

おもちゃが散らかっていると、ひとつのおもちゃに集中して遊ばないような気がしています。
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