虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

コメントへのお返事  子どもの絵にどんな働きかけをしていましたか?

2009-08-19 07:18:58 | 工作 ワークショップ
コメント欄で次のようなご質問をいただきました。


子供の態度に惑わされず、必要なものを
与えていく・・・肝に銘じて、前向きな態度が見えてくるまで気長に待ちたいと思います。なかなかできないんですけど(汗)
ついつい近視眼的になっている自分がいます。 息子さんは卒園時に棒人間を描いていたとのこと、今は息子さんも絵がお上手ですよね。
なおみ先生は子供さん達に絵に関して何か働きかけはされましたか?
うちの息子は3歳2ヶ月です。
最近顔を書くようになってきました。
輪郭と目と鼻口のみです。ママの頭についてるのなーんだ?って聞くと髪を書いたりします。そこで調子に乗って他の部分も描かせようとすると嫌がるのでやめます。うまく描かせようなんて気はないんですが・・
(心の底にはあるのかしら)先生は何か働きかけしてらっしゃいました?


うちの息子は、不器用だったので、卒園時、棒人間を描いていただけでなく、
小学校にあがってから読めないようなくねくねした字を書いて漢字テストなどはそれでバツばかりでした。
娘が器用だったので、少しびっくりしましたが、特に注意したり直させたりはしていません。
当時、息子はアイデアを形にしたくて白いコピー用紙を乱雑に切ってあれこれ作るのが好きだったので、とにかく雑でそこらじゅうゴミだらけにしていました。
何度もやりたがるエネルギーを大事にして、
乱雑な作り方や、散らかしすぎて掃除が大変なことについては
黙っていました。
そうするうちに、高学年には、
クラスから1人~2人選ばれる絵画展で受賞するようになりました。
子どもに接するとき、近視眼的になると、あれもこれもと口出したくなります。
でも、私はわが子に関しては、大事な1,2点さえチェックしたら、
ザルのような漏れている部分の多い適当な親でいたい気持ちがあったので、
その通りにして楽していました。
常識的な良い親になろうとしてそうしていたのでなく、
自分が子どもならそんな親でいて欲しい親でありたかったからです。

大事な1,2点とは、
対象に対して、自分は下手だとか、できないとか、自己卑下していないか……?
ということ。
実際客観的に見て、明らかにぐちゃぐちゃでも、
本人が自分の作品に自信を持っているのなら、
それでよしとして、いっしょに作品を喜びました。

もうひとつは、それと接しているとき
気持ちがいいかどうか、親しみが持てるか?ということ。
早く結果を出すより、何度でもそれにチャレンジしたいという思いを
育てることが大事だと感じていました。

絵だけでなく、勉強に関しても上の2点以外の
成績などはまったく気にしませんでした。
勉強が好きになれば、いずれ精神的に自立のときを迎えれば
どんどん伸びてきます。

テストの点が悪いときは、本人も傷ついているわけですし、
がんばろうかな?という気持ちが生じるいいチャンスですから、
テストの点には触れず、勉強に関する子どもの長所を言葉にして勇気付けるようにしていました。

こうして言葉にすると、すごく良い親をがんばっていたように見えますが、
不完全で適当なところが多い自分をそれで良しとしていただけなので、
あまり褒めれたものではありません。

絵や音楽に関することでは、
私は自分の子ども時代の記憶を頼りに「これくらいでいい」という
教育の目安を持っています。
私の母は、保母になりたくて、保育所でのパート勤めもしていましたが、
ピアノが弾けなかったため資格を取れませんでした。(他に方法があったかは思いもしなかった様子)
それで、私には、2~3歳の頃から
クラシック音楽と絵本がセットになった全集を与えて、ヤマハ音楽教室にも通わせました。
6歳になる頃には
団地の狭い部屋に本物のピアノを置いて、個人レッスンにも通わせました。
当時の思い出
[レッスンのテキストを音楽家が弾いているレコード]も購入していました。
とにかく母は私にピアノが上手になってもらいたかったのですが、
私は大の練習嫌い。いっこうに上達はしませんでした。

母が私にピアノをさせようとしたことが
すべて無駄だったかというとそうでもありません。
私は音楽を耳にすると、色の洪水が頭の中にすごく美しい形を作りながら
流れていく映像が浮かんできます。
色の洪水を、さまざまな光の点が舞う画像です。
幼児期は、
共感覚を持っているという話をよく聞くので、そうした記憶かもしれません。
(今の私は、文字に色が浮かぶようなことはありません。)
そうして頭の中に見えるものを描いて詩画集を作ったりしています。
また、そうした映像のおかげで短時間に気分がリフレッシュできて
明るい前向きな気持ちになれるのです。


それが、2~3歳の頃、音楽全集のクラシック曲を聴きながら
岩崎ちひろ他さまざまな一流画家の描く美しい画集の絵本(さっきの全集です)を眺めていた記憶から
生じているのがよくわかるのです。
幼児期に聴いた音楽のおかげで絶対音感も持っています。
そうしたものがすべて、今にも残って役立っている理由は
私の母が練習熱心でない私を
責めたり評価したりしなかったからだと思います。

とりあえず、ピアノがうまくはならなくても、きらいにはなりませんでした。
ピアノという楽器を技術的にマスターする点では
成果がありませんでしたが、母が近視眼的な結果を求めなかったために、
当時の音楽との出会いは私の生活を豊かにしてくれているのです。
また、母は私にそろばんやお習字や塾などいろいろ習わせましたが、
私はすべて、1,2回通ったらサボりだし、そこらをうろうろして暇をつぶしていました。あまり叱られませんでしたが……。
結局、習い事は身につきませんでいたが、当時のさまざまな記憶は
今の仕事に役立っています。ぶらぶらしたあげく高学年頃には勉強が大好きになっていました。

きちんとしたご質問の答えになっていませんが、
こうした話はまた別の機会にくわしく書かせていただきますね。

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8 コメント

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大事な2点とも・・・ (がんも)
2009-08-19 10:39:28
すっかり見失っている親子です~(号泣)

自己卑下、してますしてます。
楽しんでるか・・・微妙です。遊び面は先生との出会いでだいぶ改善されましたが、勉強面は楽しいどころか修行です~

ほんとに気がつくといつもつい超ド近眼になってしまいますね。子どもの食いつきが悪かったり上達しないと、私のやり方が悪いのか、教材が悪いのかとふらふら迷ったり、結局不機嫌に怒って親子で後味悪~い想いをしたり。。

環境を整えて後は気長に待つ・・・キモに命じます。
返信する
質問です (たくまま)
2009-08-19 12:43:06
いつもながら、為になる記事をありがとうございます。
この記事で書かれている事が、私がずっと気にかかっている事であったので、コメント欄から失礼ですが、質問させて下さい。
私の年長の息子は、絵が下手で嫌いです。
私も絵の上手い下手よりも、先生のおっしゃる
対象に対して、自分は下手だとか、できないとか、自己卑下していないか……?
ということを気にかけながら、子供に接してきたつもりでしたけれど、息子は自分は絵が下手だといい、卑下しています。
自分なりに、他の子と冷静に比べて判断している所があります。
確かに上手いとはいい難く、逆に他に大人びた事ができる割には絵が幼稚だとは思いますので、その評価は間違いではありません。
それでもそんな事ないよ、と良い所を探して褒めてみたり、絵は上手い下手じゃなくって楽しく書いたらいいよ。と言ってみても、息子自身が、他の子と比べて下手だから・・。と言い絵を描く事自体を嫌がります。
一時が万事そんな調子で、他にもいろいろ苦手意識を持ってる事があります。
自分で、自己評価を下してしまう子に対しては、どんな働きかけをしていってあげたらいいのでしょう?
苦手意識を持ってる事には触れない方がいいのでしょうか?自分には、得意な事もある事に目を向けさせた方がよいのでしょうか?
それとも、逆に下手でも楽しんで書いている所を見せてやった方がよいのでしょうか?
長々と申し訳ありませんが、お時間がある時に宜しくお願いします。



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Unknown (あさひ)
2009-08-19 13:52:26
教室には通ってないのですが、いつもブログを拝見させてもらっているあさひです。

今、私の娘がピアノに興味をもっております。実際に鍵盤をポロポロと引き始めまもなく一年になるのですが、習うタイミングを見計らっているのです。

私は3歳から個人教室で習っていました。なぜかというと私がしたいといったからだそうですが、母は自分が弾けないから余計躍起になっていました。特に裕福でない家計からも高いピアノを購入しお稽古代やら発表会代やらだしてくれたので感謝はしているのですが、練習が大っ嫌いでした。母が見ていない隙に寝ていたのを覚えています。

ご近所の方との母の競争心もあったようです。

ピアノがすきになったのは中学のとき。クラスの音楽会なんかで伴奏したりで、流行の歌や映画音楽を弾くようになってからです。幸いそのときのピアノの先生が温和な方で雑談に花咲いたのもあってよかったのかと思います。

だからこそ、娘には音楽を楽しんで欲しい、でも絶対音感は多少つけるとあとあといい事もあるかと悩んでいたので、なおみ先生のお話は大変ためになりました。
近視眼気をつけたいです。

親子レッスンにいってみたいのですが、今はいっぱいですよね。新規の募集があったら是非参加してみたいと思ってます。


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適当な母・・ (もんまま)
2009-08-19 14:00:11
不完全で適当なところが多い自分をそれで良しとしていただけなので、
あまり褒めれたものではありません。


私は先生よりも至らない所だらけですが、何かを一生懸命子供にさせようというより、適当すぎて、何もしてあげてないあまりに、何をしてあげたらいいのだろう、という思いから虹色教室に出会いました。
私みたいにゆるゆるだと、刺激されて丁度よいくらいですが、大事な点は、覚えておきます♪
返信する
夫婦間 (なのたんぱぱ)
2009-08-19 17:17:07
今なのたん家では夫婦間の考え方の違いが大きくなっています。
僕は先生のおっしゃるような「自分が子どもならそんな親でいて欲しい親」を目指してます。(まぁ出来てるかどうかは怪しいですが)
一方かあたんはしっかりとした子供になって欲しいのか、躾を中心とする子育てをしようとしてる気がします。
なんども話し合うのですが、いつも平行線のままなんですよね^^;
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偏食について (みんみん)
2009-08-19 17:50:12
はじめまして
最近こちらのブログを知り目からウロコの毎日です。
我が家には「働く車」(特にショベルカー)が大好きな五才の年中児がいます。
好き嫌いが大変多く、お手上げ状態です。
発達障害があるのでしょうか?
お友達とは遊んでいますが…マイペースだし、ひらがなもたどたどしいです。
カレーに細かくして…とかハンバーグやコロッケの中に…とか言いますよね…もうそれ以前の問題で食べる姿を見てても、情けなくなりイライラしてしまいます。いけない事ですが
何か方法はないでしょうか?よろしくお願いします。
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ありがとうございます! (タイママ)
2009-08-20 23:24:31
お忙しい中、お返事いただきありがとうございます!

自分が子どもならそんな親でいて欲しい親
、確かに私もそんな親になりたいです。
とてもわかりやすく、今自分はそういう親かな?と考える行動指針になりそうです。

自己卑下していないか、親しみを持てているか・・・とても参考になりました。
干渉せず、でもほったらかしにせず、見守ることって本当に大事ですね。
どうもありがとうございました。

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子供の気持ちに寄り添う (やすなお)
2009-08-21 03:19:11
「自分が子どもならそんな親でいて欲しい親」
という部分、ドキッとしました。

子供の取り組みを評価しないでほめる、というのは意識しているのですが、
最近、息子に躾的な視点で接することが多くなっている気がします。
もっと子供の心に寄り添ってあげたいな、と思いました。

私は適当すぎて、もう少し「取り組み」をしてあげるべきだと思って、ブログをいつも拝見しています。
先生も適当だったということを読むと、勇気付けられます!

ちなみにわたしも、吹田出身です♪
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