虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

4歳くらいの子の工作の広げ方

2014-04-21 20:01:26 | 初めてお越しの方

工作についてこんな質問をいただきました。

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 先生のブログはかれこれ2年近く読ませていただいております。

フルタイムで働きながら極力早帰りを心掛け、外遊びを一緒に楽しんだり自宅では

本人がやりがった活動を中心に最近は工作が増えました。

幼稚園で年上の子が作るものや先生が作るものに触発されて、毎日とてもたくさんの

作品を持ち帰ってきます。折り紙をぐるぐるまるめてテープで留めたものだったり、

ロール芯をくっつけたものだったり。

本人が〇〇作りたい!と思って、園にある素材を使って作っているようです。

自宅でもこれを広げてあげたいと思いつつ、かかわり方の加減がつかめず悩んで

おります。変に精巧なものを作ってみせても返って子供のやる気をそいでしまったり。

声をかけないでみていると、広がらずに行き詰ってみえるときもあります。

私自身も子供に教える、ではなく自分で自分が楽しくて、何かをつくってみる、

それをさりげなく子供にみせつつヒントを盗んでもらおうかと思っています。

先生の働きかけように絶妙にはできませんが、4歳くらいの子の「つくりたい!」を

さらに広げてあげるためのヒントなどありましたら、ご教示いただけるとうれしいです。

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4歳くらいの子の工作を広げるためにしている工夫をいくつか紹介しますね。

下の写真はもうすぐ4歳になる★ちゃんとの工作の様子です。

★ちゃんがはビー玉コースターが大好きなので、ビー玉を使って遊ぶ道具を一緒に

作ることにしました。

 

3、4歳の子と工作をするときは「材料の素材が切りやすくて、穴が開けやすいか」

 という点に注意しています。

子ども向けの工作で牛乳パックを使ったものがよく紹介されていますが、

牛乳パックは堅くて切りにくいので、握力が弱いうちは、

「ママやって」「できない、しんどい、めんどくさい」と言い出す原因を作りがちです。

ティッシュ箱やビスコやチョコ等の箱のように切ったり穴を開けたりしやすいものが

おすすめです。

 

★ちゃんは、あまり工作に慣れていない子なので、

ティッシュの箱の表面を切り抜いてから、半分にしたものをいくつか用意しました。

(工作慣れしていない子にあまりたくさんの手順を見せると、作る意欲を失うからです)

 

◆ 少し切り込みを入れて折ると、ビー玉が落ちない。

◆ えんぴつで穴を開けて、ハサミで穴を広げるように切ると、ビー玉がそこから落ちる。


といった子どもが理解しやすく、自分でできそうだと思う手順の見本を見せます。

これを重ねると、ビー玉が上から下へ落ちてくる面白いおもちゃができます。

横につないでいくのもいいし、テープを貼る位置によって

折りたたみ式の魅力的なしかけもできます。

 

 

★ちゃんは、作った箱の横をテープでとめて

ビー玉の投入口の下に鈴をつけました。

鈴にひもを通すのは幼い子には難しいので、モールを使っています。

 

★ちゃんが一生懸命この工作をしていたのは、

ビー玉を転がすおもちゃに強い関心を抱いていたからで、

こうした見本を見せたらどの子も喜んで作るかというと、そうはいかないと思います。

 

でも、★ちゃんの工作風景から、わたしが4歳くらいの子に

工作技術を教えるときに気をつけていることをお話できたら……と考えています。

 

教えるのは、常に、

「穴を開ける」「切り込みを入れる」「折る」「貼る」といった

シンプルな作業が、どのような可能性を生んでくれるのかということです。

一つできるようになった時点で、ありとあらゆることができるように

横に広げるアイデアを紹介しているのです(こうしたシンプルな工作見本は、

ブログの左上の『虹色オンライン教室 学ぶことが好きになる工作遊び』の中で

たくさん紹介しています。

よかったらクリックしてサンプル記事の部分だけでものぞいてみてくださいね)。

 

また、そうした操作は、それぞれの年齢の子が無理なくできる形で教えています。

 たとえば、穴を開けるのでしたら、最初は紙コップの底に鉛筆の先を押しあてて

開けるので十分。危険がないし、力がいりません。

 

大人が見ているところで目打ちを使わせるのもいいですが、

急に思いついて自分で作りたくなったとき、一人でできる方法を知っておいたほうが

いいと思います。

 

子どもが自分でできそうなことなら、焦ってできるようにさせようとしなくても、

最初はお手本をていねいに見せて、言葉で作り方のコツを伝えるだけで十分です。

「できそうだ」という気持ちを抱いて見ているものは、時間が経つと

必ず自分からやりたがりますから。

 

お手本を見せるとき、「子どもが自分でできそうだ」と感じることが

一番大事だと思っています。

たとえば、鈴やビーズにひもを通すのはこの年齢の子でしたら難しいので、

モールを使って通すところを見せたり、あらかじめ鈴にひもを通して輪を作っておいて

あげたりすると、子どもがやってみようとする工作の幅が広がるはずです。

(モールの先のはりがね部分に注意してください)

 

子どもはたいていお手本通りにせず、変な位置に切り込みを入れたり、

途中から好き勝手に作りだしたりします。

そんなときは、どこがどのように面白いアイデアなのか指摘したり、

一緒に見立ての世界を楽しんでおしゃべりしています。

 

でも、時期を見計らって、お手本通りにていねいにポイントを押さえながら模倣していく

大事さも体感を通して教えるようにしています。

 

たとえば、上のように両端に少しだけ切り込みを入れるつもりで

箱の中央あたりをざくざく切ってしまったようなときは、

その部分が、上の階から下の階に下りる時の滑り台になるかもしれません。

それを重ねた作品はユニークなマンションになります。

 

少しだけ基本を教えたら、後は子どもに任せるのが一番ですが、

大人は大人で、その時期の子どものできる技能を使って

どんなものができるか実験的な工作を楽しむのも、

子どもへのいいお手本になります。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お礼 (ザリガニ)
2014-04-23 21:15:37
なおみ先生
このたびは、記事にて取り上げてくださいまして、ありがとうございました。目からうろこのことばかりで、さっそく実践してみようと思いました。

シンプルな作業がどのような可能性を生み出すかみせる、自分でもできそうだを感じさせる。これを肝に銘じて、一緒に工作を楽しめたらと思いました。穴を開ける、切込みをいれる、など、思いもつかない工程でしたが今後の展開にとてもいい作業ですね。子供の「〇〇したい!つくりたい!」こんな好奇心を大切に、親が丁寧に受け止めてあげれば、下手な知育をせずとも、自分で物事をしっかり考えて行動できるようになりそうだな、なんて思ってしまいました。

今後ともたくさん先生の記事から学ばせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

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