虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

経験で培った知恵は、経験を通過していない人に伝わるか 6

2017-09-05 09:36:57 | 日々思うこと 雑感

ユースホステルで、数人ごとのグループで過ごす部屋に移った時のことです。

Aちゃんが熱心に何か書いているのを見て覗くと、

ごっこ遊び用の店の看板らしきものでした。

部屋を見渡すと、2段ベッドの上段で、

花屋さんの看板と商品を描いた絵札を飾り付けているBちゃんの姿がありました。

 

Aちゃんが描いていた看板のようなものは、Bちゃんの看板作りを模倣したものの

ようです。

Aちゃんは絵を描くのが好きで、普段の教室ではプリキュア、

お友だちの立ち姿などをたくさん描いています。

一度見たものが写真のように画像の記憶に残っているようで、

ラッピング電車やかばんを柄や留め具まで細かく描いたり、

給食のメニュー表や時間割などを枠組みから内容まで、

まるでコピーしたように書き出したりしています。

 

ただ描く題材はどれも、Aちゃんのこだわりに基づくもので、

他の子を模倣したり、他の子らとの交流の中で描きたいものが

生まれたりすることは、ほぼありませんでした。

またAちゃんは、ごっこ遊びに対する強い拒絶心があって、

長い間、誘われると大きな声で嫌がるか、他の子がごっこを始めると、

自分のこだわっている作業の没頭して誘いがかからないようにしていました。

 

最近になって、少しの間だけ、ごっこ遊びやブロック制作の輪に入る

ことができるようになりましたが、こちらが時間を決めて指示した場合だけで、

しぶしぶその場にいるという感じでした。

 

ですから、この日、グループごとの部屋にいるAちゃんが、

自然な感じで、ごっこ遊び用の看板を作っていたことは、

Aちゃんの心の中で、興味の対象や取り入れ方が

変化しつつあることを感じさせました。

 

こうした子どもの自発的な行動なりモチベーションなりが書き換えられる

前には、必ず、その「めばえ」ともいえる

外からパッと見た感じではわからないけれど、いつもと異なる変化が内面で

起きている雰囲気のようなものを感じる時があります。

 

また、「めばえ」の手前には

「潜在的に変化への準備を整えている」という経験を溜めている

段階があるのも実感しています。

 

話の途中ですが、次回に続きます。


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