虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『星の王子様』と創作活動

2016-01-24 08:51:57 | 工作 ワークショップ
 
 
 

サンテグジュペリの『星の王子様』は、
「子ども時代、何度か読んだことがあるけれど、
当時はよく意味がわかっていなかったな~、
今だと心の深い部分でしっくりするな~」と感じる童話のひとつです。

サハラ砂漠の不時着した主人公が
星の王子様に「羊の絵を描いて」とたのまれて、
しまいに投げやりになって、簡単な箱を描いて、
「君の欲しがっている羊はこの中にいる」と告げると王子様が顔を輝かせて

「これはまさに私が欲しかったものだ!!」と大喜びし、
「中に羊の餌も一緒に入っていますか?」とたずねるシーンが、
あります。

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「ただの箱」の中に想像するものをありありと見て、
心を躍らせるのって、子どもだからこそできる
すごい才能だな~っと思います。


虹色教室通信 別館  つくるんクラブ
で、ティッシュ箱に折り紙2枚貼って、少し切り込みを入れただけ……
という「へんてこりんなゴミ収集車の工作」を紹介したところ、
次のようなコメントをいただきました。
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先日このごみ収集車を一緒に作ったところ、めちゃめちゃ喜ばれました~!ありがとうございます!
初めは、かなりいい加減な仕上がり具合になってしまい「こ…これを大好きなごみ収集車(息子はごみ収集車大好きなんです)だと言って納得するんだろうか」と心配しましたが、とんでもない!すごく喜んで遊びました♪そして今日またこのごみ収集車を出してきて「[息子]のごみ収集車…カッコイイ☆」とうっとりしたカンジで言ったんです~!つくづく簡単工作ってすごいな~と思いました。それにこの作品の魅力がイマイチ把握できてなかった自分…まだまだだなぁと思いました(笑)
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そうなんですよ!
子どもって……

想像力で補う部分が多いほど目を輝かせるんです。

子どもって、どの子も星の王子様そっくり!

おりがみをくるくる丸めて、「まきずし」「望遠鏡」なんて作品でも
とっても満足して、大事そうに持って帰りますから。

そういえば、今朝、
うちの子たちと携帯のゲームについて話していたとき、
息子がこんなことを言ってました。
「ゲームで自分の技を磨いて、攻略していくことに
喜びを見出すのじゃなくて、
誰かに自分の代わりに点数を稼いでもらって、
とにかく得点だけ競いたいって子が増えているんだね。
(私のは話を聞いて言ってます)

最近さ、もうどの子も受け身な遊びには飽き飽きしてきては、
いるんだよね。
ゲームするのも、テレビ見るのもめんどくさい~て声も
よく聞くから。

遊びって、結局
自分で主体的に創造的に関わらないと
本気で楽しいって思えないものだよ。
でもさ、最近は、自分で何かしよって思うと、
外遊びでもハードルが高くなってるよね。
あれやってみよ、これやってみよって
気楽に何かできない雰囲気があるじゃない……」

そうか……ハードルが高いのか……と考えていて、
あっという間工作に子どもが目を輝かせる理由が
ちょっとわかった気がしました。
「またやりたい」「お友だちにできること見せてあげたい」
「自分で遊びを提案したい」と子どもが思ったとき、
ハードルが低いのですよ。簡単な工作は……!!
 
簡単実験もです。
たくさんこうした体験を積むと、
自分自身で、自分の時間を豊かにしたり、
自分の欲求を満たしたり
自分で自分を喜ばせることが上手になってきます。

それで、いつもいきいきとして意欲的で
情緒が落ち着いた子になってくるのです。


☆工作をさせるときのポイント (3、4歳児3人レッスン)

☆ミニティッシュの箱で作る工作♪ と算数学習

☆ブロック教室で学んでいる 5つの機械を作る基本的なしくみ です。
 
    
 
     
 
      
 
 
 
 
ペダル式のゴミ箱の仕組みに興味を抱いて以来、
いつもお家で気づいたことを「大発見大発見!!」と
意気込んで知らせてくれる3歳の★くん。
今回のレッスンで、
★くんが目を丸くして必死で説明してくれた大発見は、
「あのねぇ、ティッシュをねぇ、引っ張るとね~出てくるの。
もっともっとって。ティッシュを引っ張ると、ティッシュがぁ出てくるの」
という話でした。

「本当???それはすごいね~!!ティッシュ引っ張ったら、
もっとティッシュが出てくるんだ。へぇ~」と
いっしょに感動を味わってから、
いっしょにテュッシュが次々出てくるしかけを作ってみました。

ティッシュの量が少なくなっている本物のティッシュ箱を
使ってもできますよ。

ティッシュを取り出して、
半分に折るとき次のティッシュをかませて折り、
それを折るとき折るとき、次のティッシュをかませて折る……

と、交互にティッシュ引っかけた状態で折っていきます。
それを箱に入れたらできあがり。
(下から紙製のバネで押し上げる仕組みを作ると取り出しやすいです)

これがティッシュが次々出てくる仕組みです。
この説明ではわからない……という方は、ティッシュ箱から
ある程度の束でティッシュを取り出して、どのようにして出てくるのか
観察してみてください。

おもしろかったのが、3歳の子たちがレッスンに来たとき、
「あのねぇ、ティッシュを引っ張るとねどうなるかわかる?」
とたずねて「わからない」と言うので、
「ティッシュを引っ張ると、次のティッシュが出てきて、
それをまた引っ張ると次のティッシュが出てくるんだって!
かいくんが見つけたんだって!」とオーバーに言うと、
目をまん丸くして「ほんと?」「ほんと?」とびっくりするのです。

その後、本物のティッシュを引っ張って見せると、
「ふぅわぁぁ~!!」とため息をついて一同びっくりしていました。
(見たことあると思うのだけど、よく観察していなかったんですね。
それにしてもこんなに驚くとは……!)

工作というと、
「学校でする図画工作の成績をアップさせるためにするもの」
「工作教室や工作イベントでするもの」と捉えていらっしゃる方も
たくさんいます。
幼稚園選びも工作が十分できるかをチェックする方は
それほどいないようです。
子育て中の方の意識の中で工作の価値はかなり低いのかもしれません。

そんな「ついで」感覚で扱われている工作ですが、
現実に幼児の工作に付き合ってみると、
(工作教室に連れて行くだけではあまり効果はないでしょうね。
それならテレビのワクワクさんを見せる方が効果的かもしれません)
工作が「難しい概念」を、「幼児が簡単に考えられるもの」に
変えてしまう、まるで魔法のような力を持っていることに
気づくはずです。

子どもというのは、
子ども特有の物の見方をしていて、長い短い、太い細い、深い浅い、
厚い薄いなどを正確に捉えているわけではありません。
お人形用のお風呂に自分も入れると思って
足を突っ込もうとする1歳代の子の姿を見てもわかりますよね。
ですから、最初のうちは、子どもが工作をしている間中、
あれれ?と思うようなことがたくさんあるんです。

大きな箱一面に紙を貼りたいと言ってた子が、
1センチくらいのちんまりした紙を切って貼ってから
「小さい……」と言う……
貼りたい絵柄の面にノリを貼っては、
「絵がなくなった」と不思議がるなど。
でもそれを繰り返した幼児は小学生レベルの立体図形のイメージなんて
全て頭に入っているように
きちん空間についての理解が進んでいます。

また、子どもにとっては電化製品も生活用品も
おもちゃと同じように捉えていて、
その機能についてきちんと把握していないことはよくあります。

たとえば、懐中電灯には「電池」を入れるけれど、
「コード」がついていないといった事実は、
子どもがとてもびっくりするネタで、
工作をするとき、一番「力」が入る部分になったりするのです。

子どものこうした姿を見ていると、
工作とは、子どもが世界を知るため、理解するための手段であって、
工作することで、
観察する姿や考える力が変化してくることがわかるはずです。

それでも子どもが「映るテレビが作りたい」と言ってきたら
どうしてあげたら良いかわからないという方もいますよね。

まず、子どもといっしょにテレビを観察します。
電源を入れると明るくなって、消すと消えますね。
「何に似ているかな?」と子どもにたずねると、
「懐中電灯」と答えるかもしれませんね。

それなら、子どもの描いた絵。リモコンの絵。
懐中電灯を用意して、リモコンを押すと同時に
子どもの描いた絵の背後から懐中電灯を照らせば「
テレビのスイッチオン!」。
懐中電灯を消せば「消えた!」といったものができますよね。

それ以外にも、子どもと観察してみて、絵が動くから長い絵を描いて、
輪にして箱の中で動かすというアイデアを思いつくかもしれません。

また鏡にテレビの枠を貼り付け、
マイクを持ってその枠の中に自分が写るようにするのでも
よいかもしれませんよね。

良いアイデアが浮かばないときは、
「何かいいアイデアないかな?」と家の中を探索するだけでも、
子どもはとても喜びますよ。
 

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2 コメント

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Unknown (ともまさ)
2016-01-24 10:26:20
奈緒美先生こんにちは

息子さんとの会話、凄く頷けます。
長男(小3)を含む周りの子達は、最近ゲーム機だけでない遊びに夢中になっています。
クオリティの低い秘密基地、マンガ書き、片栗粉や重曹を水に混ぜ混ぜ程度の実験。手を貸す私自身気の利いたアドバイス出来るわけでもないので、ほんとに大した物ではないし、失敗して終わり~なんて事も有るのですが…長男次男共に満足そうです。
友達に見せてあげよう!と目を輝かせています。
いつもありがとうございます。
返信する
もう少し書かせて下さい (ともまさ)
2016-01-24 10:46:37
落とし穴とか危ないブランコ遊びなんかも流行っていて、迷惑かけないだろうか…とヒヤヒヤします。
仲間と外へ出て、ちょっと面白そうな事を思いついて試してみる。かと言って責任もって後片付けしてくるとか丁度良い所で歯止めが効くとか周りが見渡せてるとかと言うわけでも無くて…
親への報告も何処までが正しいのか…怪しいものです。
そんな息子たちの行動をバシッと叱ってくださる地域の方がいらっしゃる事を願っています。
家庭だけでは子供は育ちませんからね。
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