の続きです。
★くんといっしょに過ごしている間、「クイズですよ」と言うと、「はい、はい」と元気に手を挙げて
「工作の時間よ。さぁ、椅子を持ってきて」と言うと、
「はい、はい」と椅子を取ってきて席に着く☆くんには、
集団での活動の問題はほとんどないように見えます。
でも、以前、他のグループでのレッスンの際は、他の子が呼ばれて集まっていても
ひとりだけうろうろしたり、「○○の時間」というみんなでする活動には参加しようとしませんでした。
☆くんのお母さんは、保育園や習い事の場でもそうした指示の通りにくさや
集団活動での問題が見られることを気にかけておられました。
が、今回、わたしと☆くんと★くんの3人だけで遊んでいる間中、
☆くんはずっと上機嫌で、わたしの言葉かけに即座に反応し、何かするたびに★くんといっしょにすることを欲し、★くんに話しかけたり、
★くんについてのクイズに答えようとしていました。
★くんは、☆くんを安心させ、積極的に振舞わせる要素を持っているようです。
★くんはムスッとした表情をしたまま、誰かが近づくと嫌がるそぶりをする
友好的とは言いがたい態度を取る子です。
そんな★くんを気遣って、わたしは新しい活動に入るたびに、
ゆっくり、わかりやすい短い言葉で、片手を挙げて合図をしたり、手を打ち合わせて合図をしたりして、
次にする活動を言葉にしていました。
目で見てわかるものを提示したり、そっと背中をとんとんして知らせたりして
何をするか気づかせてから、ひとつひとつ行動に移し終えるまで見守っていました。
また、行動の急所や理由に気づくように、身振りを交えた解説やクイズを出していました。
そうした関わり方をしていると、1度耳にした時は無視しているように見える★くんも
ゆったりともう一度うながした時には
行動に移すことがわかりました。
自分が次に行うことを判断することだけに集中できるような
静けさや刺激の少なさも自発的な行動につながるようでした。
そうした★くんへのていねいな提示や★くんが行動に移すまでに
少し時間がかかることは、
☆くんにとってもとても過ごしやすい環境を作りだしていたようです。
☆くんの積極的な言動からは、
「自分が何をしたらいいのかよくわかる」ことからくる自信が
伝わってきました。
☆くんは状況を読んだり、何をすべきか判断したりすることに
困り感を抱えているようです。情報の処理にもかなり
時間がかかっているようです。
人が好きで従順な子ですから、本人としては困っていても、
外から見ると困り感が見えにくいし、
扱いやすい子でもあります。
ほんの少していねいなサポート(☆くんの場合、よりわかりやすい提示の仕方や解説)
があれば、☆くんのお母さんが気にかけておられるような
「指示が通りにくく、一人だけうろうろ……」といった場面は減ってくるのかもしれないのに、
適切な配慮を受けにくいのが気にかかるところです。
★くんは自分から☆くんに話しかけていくことはありません。
急に「こうしよう」「ああしよう」と誘いかけることもありません。
そのおかげ……といったら変なのですが、☆くんは★くんの世話をあれこれ焼いたり、ちょっと一方通行な
おしゃべりを繰り返したり、「★くんは、~なのかな?」と★くんの気持ちを推測したり
するのがうれしくてたまらないようでした。
途中ですが、次回に続きます。