「一枚のハガキ」

2012-07-21 03:12:14 | 映画
明日(今日)仕事休みじゃないんですが、観てしまったので、忘れぬうちに感じたこと書きます。問題発言はお許し下さいませm(__)m

言わずと知れた、故・新藤兼人監督の最後の作品。

しのぶさん演じる友子さんは、私のおばあちゃんと同じで、戦死した長男の弟と二度目の結婚をして私の母が生まれました。

私のおばあちゃんだけでなく、昔はそういう兄弟間の再婚が多かったのは聞いて知ってました。

昔は今と違って風習に従わざるを得なかった時代だったから、いかに昔は男尊女卑の思想が強かったのがこの映画からも窺い知れます。

そして戦争が残した爪痕も。終戦を迎えたとはいえども、その爪痕は今もなお根深く消え去ることはない。日本に米軍基地がある限り消えることはない。もちろん日本が外国に残した爪痕も。

一枚のハガキを巡っての生きるか死ぬかの運命の分かれ道。←ちょっと違うか…。

自分が決めた運命でない他人が決めた運命によって生と死が決まった二人の男と残された妻やその家族。

生きても地獄、死んでも地獄。いかにして戦争が人間の尊厳を奪ったかを見事なコントラストで描かれていました。

ストーリー的に、ブラジルに移住する話が出たときに、ブラジルに行くの!?えっ、友子さんもついていくの!?非国民!とついつい負の感情が出てしまいましたが、そこはちゃんと安心できる展開になっていたので、思わず監督の狙い通りにのっかってしまったと…。

それはさておき、家が焼けるシーンでのしのぶさんの迫真の演技に涙がこぼれました。

この映画、是非ともたくさんの方に観てもらいたいと心から思いました。

新藤監督が残したメッセージ、お米でなく麦であったことに強く胸を打たれました。私の勝手な解釈ですが、日本だってアメリカに頼らずとも麦を栽培出来る国家なんや!と。いくら防衛目的であれ、もちろんそれだけではないけれど、戦争を前提にした米軍基地はいらない。でも今は仕方ない…。これ以上は書きませんが、アメリカに守ってもらわないといけないからね…。

台詞の中に宝塚大劇場云々を聞いたときに、乙羽信子さんが浮かびました。どこまでが本当でどこまでが想像の話なのかはわかりませんが、監督の奥さんへの愛情を感じましたね。私自身にとっても思わぬ単語だったのでドキッとしましたが…。

私個人、あまり新藤監督の作品には縁がなくてほとんど観たことない中、たまたま拳さんの「北斎漫画」を観た時に印象的だったタコと樋口さんとの絡みを彷彿させるような、しのぶさんと竜の絡みがここでも印象的でした。もちろん「北斎漫画」みたいなエロさはないですよ。

この竜の絡みはよしとして、内容はとても深いので本当オススメします!重たくもなくそれでいて軽くもないのでとても観やすいですよ。

しのぶさん、マジ本気で演じてます。映画で、しのぶさんのこんなにマジな演技初めて観たかも。あ、誤解のないように書いときます。しのぶさんはいつも本気で演じてますが、今回はもっと本気度が高い。どちらかというと舞台で見るしのぶさんに近い。

新藤監督、あの世で奥さんと一緒に日本の映画界を見守っていて下さいね!

遅ればせながら、監督のご冥福をお祈り申し上げます。

今日のまとめ:やはり人間には必ず何某の役割を持って生まれ、そして生かされているんだと、この作品を観て感じました。たとえ他人が決めた運命であっても…。

まとまりのない文章でごめんなさいm(__)m


追記:特典映像見ました。自分が書いた感想が的外れしてないか、一瞬ドキッとしましたが、多分大丈夫かと…。麦は怪しいけど…。あ、竜でなくて大蛇です。広島は田舎…、都会じゃないという意味でなくて、母親の生まれ故郷です。おばあちゃんの家があるとこ。で両親の墓もある。小さい頃や両親が亡くなってからは毎年一回は広島に行ってるけど、広島にあんな神楽があるの知らなかった。ま、地域が違うからやろうけど。宮崎で観た本場の(?)神楽より断然ええわと思った。滑稽なのはエエとしてめちゃエロいねんもん(笑)そう、映像で日本文化を残すことって大事だと思った。「八日目の蝉」の小豆島のシーン同様にね。あの神楽気に入ったので、また広島に行くので親戚に聞いてみます。

こんなこと書いたら失礼ですが、新藤監督ってめちゃカワイイ方ですね、全てが。ユーモアセンスも抜群でたくさん笑わせてもらいました。

出演者がウケを狙った発言にも微動だに変わらない無表情がとても素敵でした。もちろん、耳が遠くなったせいでもあると思いますが、その無表情の中に熱い情熱はひしひしと伝わってきました。あれっ…撮影中は役者さんの台詞聞こえてましたよね…?今ふと不思議に思いました。

新藤監督を見て思ったこと…、

人間、乗り越えられない壁はない…。

しのぶさんも言われてましたが、お金がなければ撮影出来ない。興行が失敗すると次はない。毎撮影が最後の気持ちで取り組まれていた事実に胸を打たれました。無駄に生きているつもりはないけど、監督みたいにあんなに必死に生きてないな…とちょっと反省。

生きているかぎり…

何か…

ですね…。

今は買いませんが、必ずDVD買います!贅沢しすぎでお金が…(笑)






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