「藪原検校」

2012-07-07 23:49:37 | 舞台
見終えた後の率直な感想…、つまらなかった。でも、家に帰った後は…。


この作品、ずっと昔にすまけいさん主演で観たことがあって、めちゃくちゃ面白くて好きだったんですよ。杉の市のエロさと残忍さがすまけいさんにピッタリで、めちゃくちゃ感情移入して観てたんです。ちなみに、最後に小日向さんが演じた役は藤木孝さんでした。最後の三段斬りで度肝抜かれて、その時の印象が強く残っていて大好きな作品になったんです。もちろん文庫の戯曲も買って読んでます。今、ざっと読み直したら完全に忘れてることもあって反省してるんですが…。

大訂正:すまけいさんじゃなかったm(__)m今チケット観たら別の方でした。地人会公演・木村光一氏演出・原康義さんが杉の市でした。藤木孝さんはあってます。ホンマ記憶っていつの間にか擦り替えられるんやね。すまけいさんは別の作品だった…。しかも観てないし…。大嘘ついて本当にごめんなさいm(__)m

野村萬斎さん、小日向さん、浅野さん、秋山さん、山内さん、テレビの舞台中継でしか観たことのない方たちが出るからめちゃ興味があったし、大好きな(ではないか…)「藪原検校」だからハズレなしだと思ってたら、まさかの大ハズレでガッカリしたんですよ。家に帰るまではね。

あまりにも過去の印象が強かったからだと思うんですが、全く感情移入出来なくて、野村萬斎さんは凄く頑張ってるのに、一つ一つの表情や仕草がつまらなくて…。一幕目のワンマンショーなんて全然笑えなかったm(__)m

これは今戯曲を読み直して気付いたのが、この栗山演出版って戯曲に忠実だったってこと。

過去に観た時、浅野さん演じる盲太夫の役はいなかったと思ってたら、戯曲にはちゃんと登場してたからホント反省してます。

っていうのも、この盲太夫の説明がいちいち邪魔で、ただでなくても客観的に観る癖がついているのに、益々客観的に観てしまい、感情移入出来なくてつまらないやん!って思って観てたんですよ…。

舞台を観ながら、浅野さんにも興味あったのに、浅野さんの語り部が邪魔やって思ってたんです。なんでこんな語り部登場させるんやと栗山演出にもガッカリしてたんでね…。

家に帰って戯曲をざっと読み直したら、戯曲にはちゃんとあのまま盲太夫として登場してたから、過去の記憶って本当曖昧で美化されるんだとホント反省してます。

栗山演出、全然悪くなかったのにね。ずっと、つまらないつまらないと心の中でぼやいていたので本当反省してます。何をそんなに反省しているかというと、観劇中あからさまにつまらないオーラを出してしまったこと。周りの方にご迷惑をおかけしてすみませんでしたm(__)m

正直なところ、間違った演出ではないと分かっても、まだなんか腑に落ちないわだかまりがあるのも事実なんですけどね…。

昔は何も分かってなかったから単純に楽しめただけなのか…?栗山演出には問題なかったのか…?

昔の記憶が本当曖昧なのでなんとも言えません。

正直なところ、「日の浦姫物語」に一抹の不安が…。ひょっとしたら井上戯曲私には合わないかも…と。キャストで期待したら失敗するのではと…。いわゆるかつてのウデイ・アレン症候群(?勝手に命名しました…)みないなもの。あまり井上作品に触れてないから、井上戯曲の皮肉さについていけないのでは…?という不安。

いくら戯曲通りでも、名キャストを揃えたからといっても、ストーリーが合わなければダメでしょう…とも思ってます。

今日のまとめ:家に帰るまでと、帰った後でテンションがかなり変わってます。それくらい過去の記憶の曖昧さに衝撃を受けてます。あの時の感動ってなんやったんやろ…?

言い訳…(?):実はこの作品、友達に勧めていて、ガラカメ好きなのに、生の舞台を観たことないと言うから、これをイチオシで勧めたんです。野村萬斎さんや小日向さんが好きて言うから尚更のこと。

実際は勧めた私が落ち込んだという…。

友達は一幕目は大変気に入ったようで、野村萬斎さん凄い!って言ってました。二幕目は、一幕目が良かっただけに最後の三段斬りのシーンで、杉の市の感情が反映されてなったことにガッカリしたそうです。あっさり殺されてしまったことに。

私は一幕目より二幕目の方が良かったのですが、友達の意見を聞いてそれももっともだと思いました。

確かに、私自身、悪の戒めに対する三段斬りの流れには納得してたんですが、良く考えたら杉の市は本来何も悪くないもんね。悪の象徴のようで、実はある意味社会の犠牲者でもありますもんね。

以前ブログにも書きましたが、赤ちゃんの頃は皆かわいいのに大人になると性格が変わるのか…?

まさにそれを象徴した内容だと思うんですよ、杉の市の人生は。

母親の愛をもらって産まれたのに、目が見えないということだけで…。今思えば、時代的な世相と風刺を込めて書かれた脚本であることは分かります。

そして、本当の悪は…やはり人間の欲みたいな…。別に母親を悪く言うつもりはありませんが、もし仮に杉の母親にもっと無償の愛があれば…、もし差別のない社会であれば…、杉の市だって立派な人間になれたのではと思います。

そういう意味においても、「藪原検校」は名作の部類に入るかと思います。

そうそう、友達が言ってました。初めてこの作品を観るなら盲太夫の説明は必要だったと。

あ、確かに。私自身もストーリーの流れを知っているから感情移入出来ることを期待していたんだと…。色んな点でやはり反省しました…。

「日の浦姫物語」やはりチケット取れたら観ます!

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