goo blog サービス終了のお知らせ 

市川猿之助奮闘歌舞伎公演

2023-05-27 00:52:00 | 古典芸能
さすが植田御大!と言うべきか、さすが猿之助さん!と言うべきか、

「不死鳥よ、波濤を超えて」は、

宝塚とスーパー歌舞伎が融合された、宝塚ファンには堪らん内容でした!

ベルばらと風共で宝塚史上空前の大ヒットを飛ばした御大の、もっとも脂が乗った時代の作品だけあってめちゃくちゃ良かった!

音楽は変更されたということで、猿之助さんのセンス素晴らしい!

っていうか、メッセージがめちゃくちゃタイムリー過ぎて、上の巻も下の巻も鳥肌ものだった!

團子君のお芝居を観るのは初めてだと思うが、度胸と根性が座ってる!
團子君の知盛、めちゃくちゃカッコ良かった!

そのオーラに身震いするくらい鳥肌ものだった!

いやいやいやいや、ほんまに19歳なん??

19歳とは思えない貫禄と包容力にぶったまげた!

こんな言い方したら悪いけど、

さすが猿翁さんのお孫さん!さすが世界が認めた香川照之さんの息子さん!(あえて中車さんとは書かないよ)

身長も高く宝塚的な白の衣装がめちゃ映える!

團子君だけではないが、1日で仕上げてくる集中力と責任感に感服します。めちゃくちゃ素晴らしかった!

隼人氏のお芝居を観るのは初めてではないと思うが、楊乾竜を演じた隼人氏のオーラも凄まじかった!

こちらも高身長で、歌舞伎界のトップクラスのイケメンだから、中国の派手な衣装が似合う似合う!

スーパー歌舞伎の主役を演じてきただけあって、團子君とダブル主演?と言いたくなるくらいオーラが半端なかった。

こんなこと書いたら申し訳ないけど、ただのイケメンさんだと思っていたので、ぶっちゃけ毛嫌いしていましたm(__)m

隼人氏の役者根性も伝わってきてめちゃくちゃ素晴らしかった!


ということで、團子君が猿之助さんの代役をするということで、単純にミーハー心で観てきました。

本当はね、演目が発表された時から観たかったのですが、観に行く日がなかったのです。たまたまコロナワクチン副作用療養期間のための連休があったので、ワクチン接種日を変更して観ることにしたのです。

日付を変更せずそのままワクチン接種をしてたら、元気であれば中村座の当日券を並ぶ予定にしていましたが、團子知盛観たさでコチラを優先してしまった次第でございます。それくらい食指が動かされてしまったわけでございます。もう一つ理由があるけど、それは後日。

結果、本当に素晴らしかった!

ひさびさに作品で鳥肌立ったよ!私の記憶では、お花様の東宝版エリザベート初出演以来だよ。


脚本に関しては、あらすじから予想はしてたけど、めちゃくちゃ「この恋は雲の涯まで」踏襲してましたね!

よくよく考えたら、「我が愛は山の彼方に」の方が近かったね。いずれにせよ、三作品の構図は似ている。

ほんま、この恋は〜大好き人間なので、不死鳥も必然的に好き!(笑)

この恋は〜は源義経。不死鳥〜は平知盛。

まさしく源平合戦最終地、壇ノ浦の戦いにおける敵同士を同じプロットで書き上げるなんて!

もちろん、アイヌエピソードはないが、上の巻は日本、下の巻は中国の設定であったり、義経と静御前と同じ関係性を知盛と白拍子若狭で表現したり、大仕掛けの船のシーンのクライマックスが崖であったり、若狭が飛び降りしたり、宝塚ではユキちゃんが演じた宋の武将乾王陵と同じキャラ設定の楊乾竜が出てくるし、船に女性を乗せたら沈没する件だったり、宋の国に行くことが目的であったり、金国と仲違いする件だったり、「この恋は〜」のまんまだったよ。

全然嫌いじゃない!

宝塚ではもう上演することはないと思っているので(ワタクシ的には、義経を演じられるのはカチャしかいない。だが他の役を演じられる組がね…)、主人公違いの同じプロット大歓迎だし、ぶっちゃけ、「この恋は〜」より筋が通ってた。

そう、義経率いるモンゴル軍の再集結を前に金国軍が戦わずして撤退するのがどうもいただけなくてね…。

不死鳥よ〜は、下村青さん演じる宰相武完(この恋は〜では、泉つかささん演じる役に匹敵)を知盛が殺し、その責任をとる意味合いも含めて知盛も死ぬ流れが自然だった。

ベルばらのアンドレ同様、刺されて死ぬまでが長いが…。

そりゃ、宝塚の方が出演者が多い分見せ場も多い、不死鳥〜も十分泣ける要素を盛込んでいるので全然文句なし。

キャスト陣が見事に植田御大ワールドを創り上げていたから、めちゃくちゃ世界観に入り込みやすかった。

團子君と隼人氏以外では、もちろん、ヒロインを若狭と金国の紫蘭を演じた壱太郎君の演じ分けがお見事だった。

若狭の可憐さと紫蘭の気強さ、そのギャップがお見事!宝塚では、静とカンと名前は異なるが同一人物である。コチラは全くの別人で顔が似ているという設定。知盛と紫蘭ののすったもんだ関係性も悪くない。

私は、静待てー!のシーンが最高に好きなんだけどね。

鴈治郎さん演じる通盛も、宝塚では静を踏襲しているが、気が狂った演技から素に戻る演技が大好き!なんせ、「この恋は〜」を踏襲しているシーンはどこも好き!

笑也さん演じる陽炎の粋さも素敵だった。宝塚ではリンゴさんこと小乙女幸さん演じるアイヌのチャレンカに匹敵する役でしたね。若狭と対照的な役柄設定がさすが御大!

そうそう、福ちゃんも歌も知盛の家臣として立派に役割を果たしていて、宝塚好きのハッシーが出ていないのが残念でならないが。っていうか三田ママが宝塚好きだとは知らなかった。

宝塚演出家作品に息子2人も出演していて、さぞかし三田ママも大喜びしていることでしょう。

そうそう、あの猿弥さんがめちゃくちゃ優しい人柄をイメージしたお化粧が新鮮で良かった!夜の部とのギャップがいい!

そうそう、金国の国王を演じた米吉君も数々の新作歌舞伎のヒロインを演じてきただけあって、この役は男役だけど育ちの良さが非常に活かされていたね。

ラスト、團子知盛が不死鳥となって宙乗りするシーンは最高に美しかった!

やっぱ植田歌舞伎と言われるだけあって、歌舞伎にピッタリ。ミュージカル風も全く違和感なし!ひさびさに御大作品の素晴らしさを味わえて大満足でした!



夜の部は、ぶっちゃけ書いて申し訳ないが、あまりにも昼の部の派手さとのギャップがありすぎて、正直眠たかった。ついつい鳴り物が眠気を誘う。

コチラは隼人氏が猿之助さんの代役で頑張っていたね。

ぶっちゃけ書いて申し訳ないが隼人氏の女形は似合わないねm(__)m

あんなに美型なのに、やはり立ち役顔だったというわけやね。

隼人氏にはこのまま立ち役を極めてもらって…。

團十郎さんもしかり、立ち役専科は、ケレン味たっぷりの役柄や作品がよく似合う!不死鳥〜の時もそうだったが、ど派手な立ち回りがめちゃくちゃカッコ良い!これからももっともっとを見せてもらいたいね。

夜の部に関しては、書く内容が少ないですが、

團子君の女形も意外と似合っていて、めちゃくちゃ自然でビックリ!知盛を演じた人だということを忘れさせるくらい上手かった!

やっぱ福ちゃんは歌舞伎顔だからめちゃ化粧映えする。ええ男っぷりでした。

隼人氏の役を代役することになった歌もチャンスをモノにしていて、勇ましさが増していて良かった。

若手が多いから、花道を走り抜けるとかスピード感が半端ないね!勢いがあって良いね!

最近は、玉三郎さん中心の舞台しか観てなかったし、主役によってメンバーが固定されつつあるから、今回の猿之助さんの座組は色んな意味で新鮮だった。

歌舞伎って、宝塚みたいにケレン味を売り物にしたショー要素が強かったり、演劇要素の強いお芝居があったりと見せ方が大きく二通りあるけど、

猿之助組は、圧倒的にケレン味中心の作品が多いのと同時に、玉三郎さんもそうだけどちゃんと若手にもチャンスを与えようとしている姿勢がめちゃくちゃ伝わってきた。当の猿之助さんはいませんが…。

でもね、玉三郎さんがお芝居中心に演じ方を教育しているのに対し、猿之助さんは大舞台での見せ方を伝承しようとしているのが今回の舞台で伝わってきた。どっちも大事な要素だからね。


今、若手と呼ばれる若い歌舞伎役者たちがめちゃくちゃ上手くなっていて、少なくともあと50年は歌舞伎界も安泰だと確信した。

ほんま、歌舞伎役者は、マジ男版ガラスの仮面の集団だから天才だらけ!

1日で覚えるなんて!!

追記:猿之助さん、1日も早く歌舞伎の世界にもどってきて下さいね!

猿之助さんにはまだまだ若手に教えることがたくさんある!まだまだお役目が残ってますから!