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FUR(邦題:「毛皮のエロス」)

2009-05-13 05:28:44 | ニコール・キッドマン
まもなく大阪でも美輪さんの「毛皮のマリー」が上演されるということもあり、よく似たタイトルということで、ニコール主演の「毛皮のエロス」を紹介します。

私は映画館でこの作品を観ました。見終えた後の感想は…邦題のタイトルが気に入らない!タイトルに「エロス」って入れるな!でした。

今回、紹介にあたり改めて鑑賞しました。確かに、「エロス」は間違いではないな…って思いましたね。決してやらしくはないのですが、見方によってはやらしく感じると思いました。誤解されそうなシーンは見てのお楽しみ!

内容的には「エレファントマン」「美女と野獣」「ヒューマン・ネイチャー」、一部「おくりびと」が混じったような作品です。寺山修司氏に代表されるアングラ演劇的な要素もあります。

ニコールの作品としては珍しくセリフが少ないです。抑えた演技が特徴で、内面の微妙な心理を表情と雰囲気で上手く演じてます。少しずつニコールが淫らに変化して行く過程が見所です。

作品的にもセリフによる説明部分が少なく、映像の雰囲気、役者の演技力やエキストラ的登場人物がとても重要な役割を占めてます。セットや美術を含め全体的に芸術的な作品になってます。

この作品、原題も邦題も「毛皮」がタイトルでテーマにもなっています。この毛皮には深い意味と愛が込められています。

毛皮のファッションショーとその毛皮となる動物たちが登場するシーンがあるのですが、あらためてこのシーンを見ると、陰ではファッションのために動物たちが殺されていることに再認識されます。それに対比して、自分の体毛でウィッグを作るシーンがあり、どちらが人道的で野蛮なのか考えさせられます。

そして、ニコールが最初に着ている毛皮のコートこそ原題のタイトル「FUR(ファー)」の真意だということが最後には分かると思います。なので、邦題の「エロス」は完全なる蛇足ということも分かってもらえるはずです。

突然ですが、ここで、上記以外でこの映画の見所と私のお気に入りを紹介します。

毛皮のファッションショーに興じる人達とロバート・ダウニーJr.演じる謎の男やその仲間たち。とても対象的に映像に写し出されています。何故、ニコール演じる女性が後者の人達に惹かれていくのかよく分かると思います。

ニコールのアパートの地下に住む女性。この女性、よく出てきますがどのシーンも魅力的に写し出されています。得に紅茶を飲むシーンが私は好きです。

ニコールのカメラ。アンティークで可愛くて魅力的。主人公の体の一部であり、作品中のキーアイテム。

白ウサギ。これもキーアイテム。最後に行く場所は…。

ニコール夫妻の次女。ニコール夫妻も対象的ならば娘二人も対象的。

ニコールの旦那の口髭。男はしょうもないところでライバル心を持つもんですね。

ニコールが隠し撮りしたフイルムたち。現像した中身は…。これも対象的なアイテムなので要注意。

ロバートの仲間達がパーティーで興じるシーン。雰囲気がとても好き。仲間に入りたい。

ニコールがロバートのプレゼントを受け取るシーン全体。癒されます。

ニコールがエアークッションの空気を感じてるシーン。斬新な発想。愛を感じます。

今回再鑑賞して1番のお気に入りが、ニコールとロバートがバスに乗ってる時のロバートの覆面。とてもチャーミング。

ロバートの演技は最高によかった。目が印象的で雰囲気も知的で惚れました。正直、〇〇がある時の演技の方が好きでしたが…。

最後に、どこに「おくりびと」的な要素があるのか探し出すのも見所です。

以上、ネタばれにならないように注意して書いてみました。

少しでも興味を持たれた方は、「エロス」ということで躊躇することなく勇気を持ってレンタルして下さい。きっと、その勇気がこの作品を観ることで勇気倍増なること間違いない!でしょう…。

今日のまとめ:スティーブン・シャインバーグ監督はかなりの奇才。
ダイアン・アーバスが実際に撮った写真に興味が出たので検索したら数枚しか見つからなかった…。