猫田ジャレの 『 天然!にゃー語 』

~ 見ネコ聞くネコ言うネコの とびきり天然な日常 ~

和田登作品3

2008年04月19日 | 本・文学・取材等
●『少年の森の物語』 

第二次世界大戦のさなか、長野市の郊外で混血の母を持つクォーターの少年が、その容姿から外国人のようだとクラスでいじめを受け不登校となるが、独学で中学卒業の資格を得て、幼い頃受けた昆虫への熱い思いからやがて大学を経て生物学者までになるという実話を下にしたお話。
ラストの部分がやや性急な感がして、もう少しじっくり描いてほしかった気もする。


●『悲しすぎる夏』 

第二次大戦中の軽井沢を舞台に繰り広げられる、ぼく(誠)とユダヤ系ドイツ人の少年ハンスとの友情、加えてアメリカ人とのハーフの少女エリとの交流を描いた、美しくも悲しい友情の物語。
本当に悲しすぎて、なんともいえない気分になってしまった。
で、この話に救いがあるのか、といったら、やはりあるのだ、と思いたかった。


ふふふ。ついに読み終えましたよ、借りてあった和田登作品、全部♪

ページをめくるたびにする、かすかなカビのにおいが、この本を愛し、長い間大切に保管してきたのだという所有者の思いが伝わってきて、かえって心地よかった。

こんな大切な、貴重なものを快く貸してくれた友人に感謝です。


色々読んでみて思ったのは、どの作品も作者の強い思い(動機)と、執拗なほど念密な取材力、そしてどこまでが本当の話なんだろうか?と思わせる卓越した想像力とに裏打ちされている。

ああ、和田先生はやはりすごいな、かなわないな、と思わせるものがあった。


「幸せだったら、文学なんて書けないよ」

先日和田先生を囲んで皆で飲んだときの、先生のおっしゃったひと言が忘れられない。

「災い転じて、福となす」。

私の現在の困難を、乗り越えて、文学に結実させることのできる日が、いつか来ることがあるのだろうか。

そうあることを信じたい。

勇気を与えてくれる「和田文学」の数々であった。









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2 コメント

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文学の力 (おず)
2008-04-27 21:47:45
作品を一通り読み終えたようですね。かなりシビアなテーマで書かれてあるようで深そう。
「勇気を与えてくれる和田文学」というのがまさに今の時期に読むべくして手元に届いたのでしょう。縁ね~
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ほんとよね~ (ジャレ)
2008-04-28 17:48:42
縁て不思議だわ。和田先生の本を貸してもらえたのも縁あってのことだもの。そう考えると人と人とのつながりって、今更ながら大切にしないといけないって思うわ。和田先生とのご縁も不思議なの。長くなるので省略するけど、大切にしたいですね。
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