(これは2018年1月26日の記事です)
今回はイギリス発のコメディです!
私しゃ、これ見てもうお腹の皮がよじれて、おかし涙で顔ぐちゃぐちゃになりまして、
特に最後の方、私くらいの婆さんがライフルをぶっ放すシーンなんてもう鳥肌もんで、
私もライフルや二丁拳銃をぶっ放してみたい!
とまあ、そんな衝動にかられちゃう映画です!
この映画を作ったのは、サイモン・ペグとニック・フロスト(映画の主人公も演じている)。監督はエドガー・ライトで、この三人コンビで他にもコメディを作っていて、どれも傑作。
「ショーン・オブ・ザ・デッド」とか「ワールズ・エンド/酔っ払いが世界を救う」とか。そうそう「宇宙人ポール」も彼らが作ったのでした(ダメな中年男が主人公というのは皆同じ)。
特に、最初に見た「ショーン・オブ・ザ・デッド」は衝撃的だったなあ。
ゾンビ映画は好きじゃないのだけど、これだけは別格。
何しろゾンビ映画でしかもコメディ。
ゾンビ&コメディよ!
これ、ジョージ・A・ロメロ監督の有名なゾンビ映画「ゾンビ」(原題が「ドーン・オブ・ザ・デッド」)へのオマージュというから、なるほどね。
(「ゾンビ」のほうはシリアスです)
「ショーン・オブ・ザ・デッド」のストーリーはこう。
周囲の人たちが次々とゾンビ化していく中で(なぜゾンビになったかの説明はなし)、あいもかわらぬダメ男の日常を送っているショーン。
恋人に別れ話を持ち出されてすっかり落ち込み、近所をゾンビが徘徊していても気づかない。
ホームレスのゾンビに出会うと「ゴメン、今日は小銭がないんだ」なんていっちゃう。
やがてゾンビがどんどん増えてきて、近所のあの人もこの人も皆ゾンビになっていき、さすがに鈍感なショーンと友人のエドも気づかないわけにはいかなくなり、行きつけのパブに籠城するのだけど、仲間もまたゾンビに噛まれてゾンビ化していく。そして、彼らもついに命がけでゾンビと闘う・・というお話。最後はわりとあっけなく終わるのだけどね。
で、この三人が次に作ったのが「ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!」でした。
ロンドンで鳴らした敏腕警察官のニコラス・エンジェルが、その敏腕さ故に煙たがられ、田舎に左遷されます。
小さな田舎町で不審な連続殺人事件が起きるも、なぜか人々は無関心。
一体何が起きているのか突きとめようとしたエンジェル巡査部長は、やがてとんでもない事実に突きあたり、危うく命を落としかける。
これ、日本映画「トリック」にも共通する部分があってなかなか興味深い。
周囲でどんなに奇妙な事件が起きても、人々は安泰な日常を手放したくないがゆえに、洗脳されてどんどん鈍感になっていく・・という現実をコミカルに描いているのですね。
エンジェル巡査部長が真相を突き止めたとき、町を牛耳って暗躍しているグループとの闘いになるのだけど、ここで婆さんたちがライフルや二丁拳銃をぶっ放し、エンジェルたちと闘うわけ。
ハリウッドの西部劇もかくやと思われる激しい銃撃戦。この最後の銃撃戦がハンパなく凄くてカッコいい。
こんなものをコメディに仕立ててしまった彼らの力量は大したものだと思う。
というわけで、ストレスがたまっているあなた!
笑ってストレス発散したいあなた!
二丁拳銃をぶっ放したいあなた!
見るべし。
でも、お腹の皮がよじれるので、そこだけは要注意ね。
「宇宙人ポール」も変な映画で面白かったなあ(サイモン・ペグとニック・フロスト。監督は別の人)。
これはスピルバーグへのオマージュだそうです。なるほどね。
こういう皮肉、ギャグ、コメディは日本ではほとんど見かけないのよねえ。
なぜだろう。誰か作って。
PS :最後の銃撃戦について、町山智弘氏は、アメリカの刑事アクション映画へのオマージュだと言っていますね。参考までに。