ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

シェイプ・オブ・ウォーター/空海~美しき王妃の謎

2019-03-29 10:02:13 | 映画



(これは2018年3月3日の記事です)

立川税務署に確定申告をしに行ったついでに映画を見てきました。

今年度のアカデミー賞有力候補の「シェイプ・オブ・ウォーター」
そして、今話題の「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」
どちらも劇場で見たほうがいい映画です。

「シェイプ・オブ・ウォーター」

ギレルモ・デル・トロ監督作品(「パンズ・ラビリンス」の監督)なので、すごく期待していたのだけどね、残念ながら私的には今一つでした。

「人魚姫」と「美女と野獣」を掛け合わせたような作品といえばいいか、大人のラブロマンス・ファンタジーです。(以下、少しだけネタバレ)

舞台は1960年代。アメリカとソ連の冷戦下で、アメリカの軍の研究施設で掃除婦として働いているイライザという女性が主人公。
舞台設定が面白い。軍の研究施設という無機質で硬質な空間と、彼女が住んでいる古いアパート(劇場の上にある)のレトロな雰囲気、両方を毎日行き来するイライザは、耳は聞こえるけれど喋れないという障害を持っています。

このイライザ(サリー・ホーキンス)がとてもいい。これはサリー・ホーキンスで持っている映画だといってもいいくらい。

イライザがしゃべれない、という時点で、これって人魚姫だよね、と想像がつきます。人間になるのと引き換えに声を失った人魚姫。
陸に上がったけれど王子様とは結婚できずにそのまま人間として暮らし続けた結果、今ここにいる・・

イライザの働いている施設に、軍の機密事項になっている半魚人が運ばれてきます。アマゾンの奥地で発見された珍しい生き物で、研究者たちは彼を殺して解剖しようとしています。

掃除をするためにここに入ったイライザは、半魚人が人間と同じ知性を持っていることに気づきます。彼と意思疎通ができるようになり、次第に彼に惹かれていき、何とかして彼を助けようとします。

半魚人をただの獲物として扱う冷酷な司令官、彼を助けようとするイライザ。そして何とロシアのスパイも関わってきて、こういうストーリーには付きものの逃亡劇が展開され、そして最後はまあ、これもお約束通りで・・
全体的に大したサプライズがないというのが一番残念でした。基本、ラブストーリーなので仕方ないといえば仕方ないけど。

それにねえ、半魚人がやっぱりキモい。
人魚姫なら、彼をすんなり受け入れるのは当然かもしれないけど。
でも、「美女と野獣」は最後の方で野獣が素敵に見えてくるのだけど、半魚人は最後まで半魚人で素敵に見えてこないところが見ていて辛かったなあ。

「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」

チェン・カイコー監督による壮大なエンターテイメント大作です。こういうのは劇場で見ないとね。

原作が夢枕獏の小説というので、たぶん「陰陽師」路線だろうと思っていたら、その通りでした。

タイトルに「空海」と入っているけど、これは空海と白楽天(という架空の人物)による、シャーロック・ホームズとワトソンのような名探偵謎解きドラマなのです。

空海じゃなくても別にいいわけ。
それでも、空海だからこそ、幻術の謎を解き明かすことができたというところはあるにはあるけど、空海である必然性はない。

でもまあ、エンターテイメントとしてはよく出来ているのでそういうところは「どないやねん?」などと問い詰めないほうがいいでしょう。

それに、空海を演じた染谷将太と、白楽天を演じたホワン・シュアンのコンビがとてもいいので、まあいっか、となります。

他にも、阿倍仲麻呂に阿部寛とか、阿倍仲麻呂の妻に松坂慶子とか、日本人も参加していて、中国と日本の合作映画になっています。

お気楽に唐代の中国の豪華絢爛な宮廷の様子を堪能するとか、CGを駆使した幻術に酔いしれるとか、そういう楽しみ方をすればよろしい。

ただし、今回劇場で見られるのは、日本語吹き替え版のみ。こういうのは、やっぱり中国語(字幕付き)で見たいよね。なぜ吹き替え版しか上映されないのだろうか?

映画の楽しみっていろいろあるけど、こういう映像技術をフル活用したエンターテイメントはけっこう好きです。 「ジュラシック・パーク」とかね。

それにしても、中国ってすごい国だなあとこういう映画を見るたびに思います。 (アン・リー監督作品も同様)

中国四千年の歴史、文化、芸術・・どれをとってもスケール感が全く違っていて、非常に興味深く面白い。
是非一度中国を訪ねてみたい、そう思わせてくれます。
私たちはもっと中国を知って、中国をリスペクトするべきなんじゃないかしら。

というわけで、謎解きの謎をここで明かすわけにはいきませんが、楽しい映画なので、興味ある人はぜひ劇場で鑑賞してください。
コメント
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