ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

人生は小説よりも奇なり

2019-03-09 17:08:22 | 映画


amazonプライムで見つけた素敵な映画を紹介します。

「人生は小説よりも奇なり」(アイラ・サックス監督 2014年)

これ、ゲイの老カップルの話です。
同じ世代の人たちには身につまされること必至。

かくいう私も、白内障の手術の後、全く見えなかった右眼の視力も少しずつ回復してきていますが、まだ活字は読めません。
PCだと拡大できるので片目でも何とか見えるのでありがたい。
最近のテクノロジーはすごいね。

視力を奪われることがどれほどしんどいか身をもって知りました。
ま、これも人生経験の一つ。
得難い経験ではあるけれど、まだ見たいもの読みたい本がたくさんあるので、何とか回復する道をさぐろうと思っています。

ともあれ、歳を取るといろんなことが起きてきます。
でも、愛する人がそばにいてくれればどんな困難も乗り越えることができるはず。
(残念ながら私にはおらんが)

39年も一緒にいたゲイの老カップルが結婚式をあげた直後に、ゲイであることを理由に職場と家を追われます。
二人は別れ別れになって知人宅に身を寄せることになりますが、それぞれの家族と共存することが難しい。
受け入れる家族の側にも葛藤があります。

老境に入った二人が遠慮しながら別々の知人宅に居候させてもらうのはどんなに肩身が狭いだろう。
時おり逃げ出して相手のところに駆け込み、抱き合って泣いたりします。

以前書いたアン・リー監督作品「推手」と少し似てますね。
ここでは異文化というより、同じアメリカ人の中でも、よく知らない家族との同居はやはり難しい。そして、そうであるからこそ、互いに相手を思いやり愛情を深めていく様子が描かれます。

これね、とても地味な映画なのですが、しみじみといいのです!
大上段に差別を訴えることなく、すべてが静かに進行し、心に響きます。

ゲイだからではなく「愛」というのは人類共通の優れた資質なのだということがよくわかります。

原題は「Love is strange」(愛って奇妙なもの)
日本のタイトルはひどすぎる。

二人の老カップルがいいのよ。
一人は音楽教師、もう一人は絵描き。
二人とも静かで穏やかで、決して人を責めたり声を荒げたりすることなく、困難を受け入れます。

背景に流れるショパンのピアノ曲を初めクラシック音楽がいい。
そして、NYの風景がまたいい。NYってなんだか雑然として汚いイメージだったのですが、こんなに美しい通りや住宅街もあったのですね。
ますますNYに行ってみたくなりました。

最後のシーンもいい、思いがけないことが起きて別れを告げることになるのですが、泣けます。老境にさしかかったすべての人(予備軍も含め)必見の映画です!
コメント
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